2.ウサギはユニークモンスターだった。
説明回になります。
会話するとなかなか長くなってしまう。
森の中を必死にウサギについていきながら私は色々と質問をしていた。
そこでわかったことが
まずウサギはキラーラビットと言われる種族の魔物であった。
しかし通常のキラーラビットは、群れで行動し、普通の4足歩行であった。
このウサギの場合、狩人に群れを襲われたことがあり、返り討ちにすることに成功
そこから努力をしてみたら狩人が使っていた弓を使えるようになったという信じられない話が一つ。
ここは、深淵の森と呼ばれる場所で滅多に人間には出会わない場所であることが一つ。
人間の暮らしている場所は、森を抜けた反対側にあり1か月程かかることが一つ。
しかしそこに行くには森の中心部を通らなければいけなく、かなり危険ということだった。
★
「人間が珍しいと言っていたのは、そういう意味だったのね」
【そだよー、しかもこんな軽装で歩いている人なんてマジでいないよ、死にたい人かと思ったわ】
「本当、あなたに出会えて良かったよ、ところで名前はなんて言うの?」
【俺には名前はないっすよー、人間からはキラーラビットと言われているだけ】
「なるほど、、なら、うさちゃんて呼ぶね。よろしくお願いします。うさちゃん」
【別に何でもいいですよ、お兄さんはなんて名前なのさ】
「えっ」
自分の名前が思い出せない。
なんでだろう、日本に住んでいて家族もいたし、仕事もしていたという記憶はある。
そういえば、家族や仕事仲間の顔や名前も思い出せない。一般知識は覚えているのに、大事なところが抜け落ちている感覚。モヤモヤしている。もどかしい
まぁ、、いっか。そのうち思い出すだろう。
「自分の名前を忘れてしまったようです。。全然思い出せない。適当に呼んでくれていいよ」
【じゃあ雑魚で!】
「それは嫌だ!第一印象で決めすぎ!せめて、さんくれよ」
【じゃあ雑魚さんで!】
「なんか、、イントネーション変えてみよ!ZAKOさんにしよ!冒険者ぽくなるじゃん」
【言っている意味がわからないですけど、めんどくさいんで、どうでもいいです。ZAKOさんすね】
【あ、俺の家についたっす】
そこには、他の木よりも太く大きな木の上に建てられたツリーハウスであった。
枝分かれした幹の間にウッドデッキを作り、その上に小屋が立てれらている
ウッドデッキも流木のような曲がった木で柵が作られており凄い子供心くすぐってくる。
小学生の時にこんな秘密基地が欲しかった。
「めちゃくちゃお洒落な家に住んでいるだね!失礼だけど洞穴とか想像していたわ」
【もともとここは、狩人が休憩するために建てた小屋だったんですけど、奪ったんすよ、結構快適ですよ。】
そういってうさちゃんがクライミングのように、ハウスまで登りきると上からロープを垂らしてくれた
【これで登ってくるっす】
ロープを腰に巻いて手掛かり頼りに登りきると、森の全貌が把握できた。
うっそうと茂る森の景色に、一本だけ、空までまっすぐ伸びる立派な木が見える。
「あの、、遠くに見える凄い高い木はなんです?」
【あれがこの森の中心で、世界樹の木と呼ばれているっす。あそこには本当強い魔物が多いっすね】
「うさちゃんでも敵わないの?」
【敵わないわけでもないけど、めんどくさいんで、素通り一択ですね。見つからなきゃいいだけですし】
「へえ、、、私なんてワンパンで殺されてしまうんだろうな」
【ZAKOさんは、、、うん。パンチというか、鼻息でも死ぬんじゃない?火竜とかもいるし】
世知辛い、、私はこの世界では本当に雑魚のようだった。火竜なんているんだ。。やっぱ異世界なんだな。。
それにしても最初にうさちゃんに出会えて良かった。ゴブリンにドロップキックしていた自分を殴りたい
★
ツリーハウスの中は、6畳くらいの広さで、棚と机とベットがあるだけのシンプルな作りだった。壁には色々な道具が掛けられており、弓やナイフ、多分罠なんだろうと思われるギザギザしたやつが目に付いた。
【とりあえず、これ着とくっす】
うさちゃんが、渡してくれたのは革製品の服一式とブーツであった。多分狩人の持ち物だったものだろう。
半袖短パン裸足だった私にはとてもありがたいが、ちょっと抵抗があるので、服の上から着る。
ブーツはブカブカだったが、思いっきり革紐を締めらなんとか、歩ける程度にはなった。靴下が欲しい。。
【おお、見た目の雑魚感は、マシになったすね、自分を苦しめた狩人ぽくて、殺意が沸くっす。】
「ちょっとやめてぇー、渡してきたのはそっちじゃん。でも裸足よりだいぶ楽になりました!ありがと!!」
【あと、適当に武器選んで持っておいてー、俺はもう自分のあるので、他壁にかかってるのはなんでも使っていいですよ】
「至れり尽くせり!!優しすぎ!!ありがとう!!でも初対面でこんなに良くしてもらえるなんて思わなかったわ。しかも、狩人と同じ人間でしょ?普通敵対とかしないですか?」
【ZAKOさんは、、、どうやっても俺は倒せない雑魚なんで、正直どうでもいいんです。雑魚をいくら倒しても気持ちよくないですからね。それに今暇なんです。ただの暇つぶしです。】
「酷い!!でも優しい!!しっかり寄生させてもらいます!!」
うさちゃんは兄貴肌だった。頼もしい。こういう性格の人にはとことん甘えるべきだと、本能レベルで理解した。私は貰えるものは貰う性格だ。
うさちゃんの真似をして、弓を手にしてみたが、弦が全く引けない、、コンパクトタイプも、手に取ったが微動だにしないので、諦めた。
残っていたのは、鉈のような、ナイフ。ククリナイフていうんだっけこれ。50センチくらいの刃渡りがあるが、なんとか片手でも持てる。革のベルトもぶら下がっているのでこれを腰に付けてみることにした。
「どう??狩人ぽくなった??」
格好つけてククリナイフを構えた私がうさちゃんにアピールしてみる。
【まぁ、武器を手にしたところで、雑魚は変わりませんね。。飯にしましょ】
と軽く流された。結構私の中では結構テンション上がっていたのに、、残念。
でも、ようやく安全と思える場所にたどり着き
一息入れることが出来た。
安心安全って大事。
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