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われら第六遊撃隊  作者: ふぁいる
3/12

憑依霊能力

「せんせー、なんで私だけ補習なんですかー」


褐色ろ…少女が質問する

いかにも拳で戦うような格好は露出が多く、ほかの部隊から困ってると投書があったりなかったり


そんなこと知ってか知らずかメリッサの服装はいつも通りだ




魔法、能力とも最近の子は呼んでいるのもいるらしいが…メリッサの魔法は霊を憑依する、というもの


部隊長の方針で動物、魔物の霊ばかり憑依させている

その憑依した霊の特色を色濃く反映するというものだ


大抵は毛深くなって、耳が四つになる

服装はその時に弊害にならないように露出が多い

…とは部隊長の意見だ

メリッサからすればなんでもいいらしいが



「わたくしもついてあげてるんですからちゃんと覚えてくださいまし…もしも他の部隊も含めた団体戦になった時に仲間を攻撃したら困るのですわ…」


はぁとため息をつくメシア、なんだかんだで面倒見のいい性格はメリッサとドロシー相手だと大抵悪い方向で面倒こうむることになっている

ドロシーの場合は実験体だったり

メリッサの場合は語学の補習か厄介事だったり…



「覚えてるってー、うちの部隊でしょ?第一炎撃隊、第二水げきたい、第三風撃隊、第四土げきたい、第五げきたい、第六遊撃隊、カンペキー」


「全部げきたいじゃないですか、だいごげきたいってなんですの?


…もっかい言いますわよ?第一炎撃隊、第二水小隊、第三風撃隊、第四土兵隊、第五撃滅隊、第六遊撃隊、ですわ」


「…ぬぁー」


ちなみに黒髪少女の副部隊長、バンシーが先生として同じ空間にいるのだが、メリッサに教えるのはなかなか至難のようでティータイムを先程からしている

休憩キュウケイとずっと呟いている



「だいたい擊が着くとカッコイイのは分かった」


「はぁ、振り出しに戻ったのだわ…」


「…特徴を少しずつ教えていこうか、メシアもその方針で、私はもうちょっと休憩する」

バンシーがアイデアを出す


「…副部隊長ぅぅ」



「特徴?しってるよ!遊撃隊が1番働いてる!」


「働いてるのは炎撃隊ですわ…」

「なぬっ」


「第一炎撃隊はうちの部隊で最も人数が多いですわ、炎の魔法使い、戦士の集団で街の護衛もやってますわよ」


「雷の街だけど赤い衛兵の方が目立つよね、まぁ雷に囚われない領主だけど」バンシーも口を挟む


「ほぇー、凄いな第一炎撃隊」


「次は第二水小隊ですわね、人数は正確な数字は出ていませんけど、50人いるかいないかくらいだったと思いますわ」


「50人って少ないのか?」

「炎撃隊は300人は余裕で突破してますわ」


「さんっ!?はぁぇー」


「部隊長会議でも何かと人数隠したがってるんだよね、把握しといた方が絶対いいのに、あいつらはアホ、ちなみにセーラも人数隠してる、隠すほど居ないのにね」


各部隊は部隊長が許可を出してしまえば入隊できるユルユル審査だ


「第二水小隊は水の魔法のエキスパートですわね、戦士の話は聞いたことは無いですけど、いないとは思いませんわ」


「これも謎だよ、各部隊複合で組んだ方が効率上がるのに、上は頭硬い」

バンシー、緩みきっているのか言いたい放題である


メシアは同意もしにくく、苦笑いだ


「…んぁー第二部隊は訓練がキツイって聞いたことあるな、部隊長がしごくって聞いた」


「複合じゃないのは訓練の能率は上がる…かな?」



「第三風撃隊は二番目に人数が多いですわ、魔法使いも戦士も魔道具を使用するので部隊の参加条件が緩いんですの」


「あ、風撃隊のやつで用事思い出した、ちょっと留守にします」


トタタっと立ち去るバンシー


バタン…


バンシーが立ち去った扉を二人が見るが、何事も無かったようにメリッサは話を再開した


「風魔法ってちゃんと使える人いるの?」

「最近になって少しずつ増えているみたいですわ、風撃隊は全員魔道具なので使えるかどうかは知らないですけれど」


「ふぅーん」



「第四土兵隊は先導者しかいませんわ、人数も二桁いるかどうか、一番少ないですわね」


「土兵隊ってどこにいるの?」


「…その質問は二つの答えがありますわ、先導者達自体は部隊長の屋敷とその周りに住んでると聞きましたわ、ただ、兵隊はどこにもおらず、どこにでもおりますわ」


「はえ?」


「以前先導者の一人の方と依頼をご一緒したのですが、一人で何十人もの現地の人を自然に動かして解決なさってました」


「???」


「うぅ、この凄さが伝わらないのはもっと勉強してくださいまし」


「わかた…」



メリッサは考えるのをやめた


「第五は?」


「第五撃滅隊は領主の娘が部隊長を率いる一番血の気の多い部隊ですわね、一から四の部隊の条件に該当しない人もここに入るらしいので一番多い予想はあるのですが…

資料が編成当時のまま更新されてないので人数は八人になっておりますの」


「この前20人はいてワイバーンの群れ追い返してたよね?」


「追い返すどころか追いかけ回して討伐してましたわ…」


「…」


「撃滅隊は闇関連、光関連の魔法の方々が集約されてますので絶対に喧嘩は売らないでくださいませ」


「…うん」


「どうかなさいました?」


その時、遠距離連絡用魔道具に連絡が入った、この魔道具には風撃隊の印が入ってたり…


『あ、あーバンシーです、メリッサの呼び出し、地下訓練所に集合、早く、繰り返す…』


ひきつった顔のメリッサと苦笑いのメシアが見合わせる


「な、何をしたのですか?」

ひきつりながらもその声には多少の怒気が含まれていた


「あ、はは…なんだろうね」

ガタンと立ち上がり足早に部屋を出ていく

メシアもそれに続く


「別に着いてこなくてもいいよ…二回目だし」


「前科持ちですのね…」



雷の街は地下に一般公開の闘技場、更に地下には部隊の人だけが使える訓練所が作られている

地盤が崩れない理由は領主の秘密とかなんとか


「第六遊撃隊メリッサ、ただいま到着しました!」


訓練所の中央には数人集まっており、皆入口の方を見ていた


それをわかっていたのか、メリッサは客席側から憑依状態で飛び降りてその集まりに集合したのだった


「…メリッサ、前に忠告したよね?」

黒い長い髪に赤い部分が線のように何本も入っている女性が声を出した


「されたね…赤メッシュ」


ガキんっ


女性の手には黒い鎌が握られ、振り下ろされていた、その鎌をメリッサは鉤爪のように付いている半透明な爪で受け止める


「サぁ…ラっだってのっ!!」


鎌と鉤爪の打ち合いがガキンガキンと始まった


メシアがぱたぱたと走って打ち合いを見守ってる集団に入っていく


「はぁ…はぁ…副部隊長、どういう事ですの?」


「あぁ、メシアも来たのか…来ちゃったのか…」



「はい?」


「とりあえず悪いのはメリッサだ」

そう言って後ろにステップで距離をとるバンシー

メリッサは装飾はあまりされてはいないがフリフリのドレスを気にしていた



スタッと横に着地したのはメリッサ

「メシアおつかれー」



ぶおんっと音を立てながら鎌が振り下ろされる

ヒョイと後ろに下がるメリッサ


残されたメシアが前を見ると今にも胴を分断しそうな鎌が…


「ひゃぁ!?」

ガインっと鎌を弾くメシアの手袋の甲に着いた薄い鉱石


「それ盾なんだ…」

後ろからメリッサ


「あ、え?サラさん?私関係ないですわよね!?」


ゆらりと立ち、ダラりと鎌を持つサラと呼ばれた少女

髪先がワナワナと荒ぶっており呼吸も荒い

「…メシアか、久しいな」


「いやそんな、仇敵に話しかけるみたいなっ!?」

サラは残像を残しながらメシアに鎌を振り下ろす


その鎌を甲の薄い鉱石で捌くメシア


「サラさん!?」ガキんっ

「わたくし関係ないですわよね!?」

ガキんっ

「聞いてますの!?」ガキんっ!


「わっ」三回目に弾かれ大きく仰け反るサラ

先程までの怒気の含まれた声とは裏腹に高く可愛らしい声が漏れていた



「隙あり!」スっとメシアの後ろから仰け反り体を反らしているサラの目の前に走るメリッサ


「メリッサさん!?」

メシアもガードの衝撃で動けないが、表情は驚きを隠せない様子だ


どふっ…と半透明な爪が消えた拳がサラの無防備なお腹に炸裂した


「きゃぅ…」


地面に勢いのまま打ち付けられそのまま半回転、うつ伏せの状態でのびるサラ


「きゅぅ…」


「あぁ…可哀想にサラさん…」

弾いた時の構えのままメシアが呟く



「…よし、どっから出したのか知らないけど鎌は預かっとこう」


「鬼ですの!?」

自然な動作でサックり刺さった鎌を回収するメリッサ

そこにバンシーと見ない顔の二人が駆け寄る


「あの…メリッサさん…さすがに鎌を取り上げるのは…」

「サラの愛鎌だから…その…」

どうやらサラの仲間のようだ


「…副部隊長、メリッサは武器狩りでもしてますの?」

「うん?違うよ、メシア、サラが怒ってるのはメリッサが気絶させた人を強制憑依で体に取り付かせたんだ」


「…えっと?詳しく教えてくださいまし」



…どうやら

数日前、わたくしなんの関係もない、知りもしなかった事ですけれど


メリッサさんとサラさんが街で悪行を働いた男を追いかけ、路地裏で戦闘、その際に鎌を満足に振れずに頭を打たれてサラさんが気絶、逃げ出す男を追いかけるためにメリッサが『サラさんを』無理やり憑依

見事、サラさんの意識で『鎌を振り』男を捕らえる

しかし憑依を解いた時にサラさんの体は別の男に縛られ襲われかけていたと


これとほぼ同じ流れが、二回目との事ですわ


ふむ、まずやっぱり「わたくし関係ないですわね」


「あぁ」副部隊長の確認


「メリッサはなんでサラさんを憑依…あぁ…そうでしたわね」


メリッサは以前、街中で憑依した時に壁を走り、爪で傷つけ、地面を割ったので苦情殺到、『狼は』憑依禁止だったのでしたわ

…別のを憑依、でサラさんを憑依してしまったのですか?

憑依せずに追ってもよかったような…


「ちなみになんで鎌を?」

満足に振れずにサラさんは返り討ちだったのですわよね?


「憑依した瞬間に体乗っ取られて鎌を握りしめて男追いかけ回したもん、知らないよ」

ここはサラさんの方がおかしいのですわね…


「そして二回目と」


「ねー!違う男に襲われるまでほぼ同じ!サラってスタイルいいもんね!同じ服の脱がされ方はわかんないけど!」

何故か嬉しそうなメリッサ、声も大きくなっている

後で聞いた話、二回とも縄を解いたのはメリッサとか


「そう…可哀想に…」

ちらりとサラさんを見ると起き上がって顔を真っ赤にしていた


「あっ…」


「あっ、じゃないわよ!別に男一人に遅れなんて取らないわっ!むしろ既視感あって対処すら早かったわよ!」


気絶耐性に慣れなくていい慣れ…とサラさん変な耐性ついてますわね…


「二回目も守り抜いたらしいよー」

メリッサの補足、サラさんは顔を赤くして目じりに涙を浮かべ出しましたわ


鎌が無いとその場から動かないのですわね…

なるほど取り上げる…慣れてますわね、メリッサ…



鎌を返してちょっとした話し合い


最後は「次は無いから」と先程とは違ってクールに去っていきましたわ

メリッサは許されたようですわね


なんとなく…なんとなく同じことが起こりそうとは思いつつ、補習部屋に戻りましたわ





「やー、サラって弄りがいあるよね」

「やめてくださいまし、わたくし達のためにも、サラさんのためにも、無言で鎌を振るってくるさまは恐怖でしたわよ」

「はぁーい」


「はぁ…ちなみに各部隊は覚えてますの?」


長い間


「…えっと、ゲキってカッコイイよね」


「はぁぁぁー…」


メリッサの補習は延長されたようです

次回は5日に


なんか2020年っていいですね

(すっごいどうでもいい感想

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