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学生なら誰しもありそうな言い訳

作者: 床店 志帆

満点よりも赤点の方が思い出に残ります

 …ダメだな。

 第一声はそれだった。これほどペンが走らないようでは、自然と萎えてくる。反対に俺の単子葉類は枯れてなどいない、むしろ現役の如意棒だ。

 ベッドにダイブし天井を見上げたところ、一匹の小さな蝿が飛んでいる。いつもと異なる使い方だが、ティッシュを2枚取って蝿を囲んで潰した。くるめたブツをゴミ箱に放り投げる。外れた。

 ダサいワンマン劇場に一区切りついたところで、このまま現実から逃げて逃げて夢の国にでもいこうと考え始めた。こうなってしまってはどうにも他の案は手持ち無沙汰だ、行こう。



 新しい朝がきた。もっとも、希望ではなく絶望の朝だ。

夢の国は休業していた、行って帰ってきただけになってしまったのだ。唯一、息子だけはおはよう、と挨拶しながら上を向いている。俺に立ち上がれと叫ぶ。もうすでにたちあがってはいるのだが。…こんなことをもう何度も続けたろうか。恐らく俺は知っていた、ダメだと思い込んだ直後からこうなってしまうことに。


 しかし、無意識なのだろう。絶望を俺は楽しんでいる。失敗を失敗と思わない、今が一番楽しいんだと感じている。かなり愚かで、恐ろしくて、幸福なのが俺なんだ、そんな自分には桃源郷でもワンダーランドでもなく地獄がよく似合う。さぁ出かけよう。

 母親が用意してくれていた朝食は、パンと牛乳。喉に流し込んで家のドアノブを握った。試験地獄巡りがついに開幕する。

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