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第三話 ステータスを手に入れた悪ガキどもには、キツいお仕置きが必要なようだな

前回のあらすじ

世界にステータスが与えられた。

 京介は途中で出会った夏目親子と駅前の駐車場目掛けて移動していた。徒歩のため歩調は2人に合わせている。


 途中、狼のような魔物や緑色のスライムが現れて襲いかかってきたりもしたが、そんなものは京介の敵ではなかった。全てあっさりと返り討ちにしていく。


 夏目親子はそんな京介のおかげで安心して先を行くことが出来た。

 その途中だった、京介は何かに気が付き、少し待っていて欲しいと2人にお願いして駆け始めた。






「おらおら、どうしたどうした!」

「ガハッ、く、くそ!」

「おお! 正拳突き!」

「あたったらいったそ~」

「だが、当たらなければどうってことはない! ギャハハ!」


 河原で、一人の青年を囲んで殴る蹴るの暴行を加えている少年たちがいた。全部で8人おり、男はその内の5人の相手をし、残り3人は青年の連れと思われる女性を押さえ込み、ん~ん~と唸る彼女の口を塞いでいた。


「おらぁああぁあ!」


 青年は回し蹴りで反撃を試みる。だが少年は軽やかな身のこなしでひょいっとそれを躱し、逆に蹴りで反撃。ドゴッ! と鋼鉄の棒で殴られかのような鈍い音が聞こえ、青年はその場に蹲る。すかさず他の少年も彼に蹴りを次々浴びせていった。


「おいおいおいおい、空手やってるとか偉そうなこと言っておいてそんなもんかよ~」

「俺らみたいな中学生は相手できないとか言っておいてそれかよ」

「う~んこれはあれだな、ステータスの差が絶対的な戦力の差になるってやつだな!」

「くそ、卑怯だぞ……」

「俺らアウトローなジョブ持ちだしよ~卑怯上等ってなもんよ!」

「それにしても情けねぇな。いいのかよそんなことで、彼女守れないよ。ほら」

「きゃ、きゃあああああ! いや、いやぁ!」


 馬乗りになった少年が女の上着を荒々しく引き裂いた。下着が顕になり少年たちが興奮の声を上げる。


「姉ちゃんおっきぃ~いいねぇ」

「うわぁ~めっちゃ興奮する!」

「や、やめろ! お前ら何してるのかわかってんのか! 立派な犯罪だぞ!」

「うるせぇよ馬鹿が死ね!」

「ぐぶぉ!」

「世界が変わったってのにルールもくそもあるかよ!」


 少年たちの蹴りが飛び、女の泣き叫ぶ声がこだまする。


「お願い、もうやめてぇ」

「やめてって言われてやめるほど俺たち若くないし~」

「ぎゃはは! まだ若いじゃん俺ら!」

「さぁどうしたのおにいさ~ん? 自慢の格闘技で彼女を救わないと彼女NTRされちゃうよ~?」

「無理矢理でもNTRになるのかよ超ウケる~」


 げらげらと笑い続ける少年たち。そして女に馬乗りになっていた少年は鼻息を荒くさせた。


「はぁはぁ、もう我慢できねぇ」

「おいおい、あっさり壊すなよ。俺らも楽しみたいんだからよ~」

「へへ、判ってるって。それじゃあ――」

「邪魔だ」

「ぐぼぉおおぉお!」

 

 興奮した猿のような顔で女の馬乗りになっていた少年が一瞬にして消えた。いや、飛ばされた。尻と股間を蹴られかなりの速度で飛んでいき、そのまま川に突き刺さった。


「は? え、お、おい太郎!」

「な、なんだてめぇは!」


 少年の一人が眉間にシワを寄せて誰何する。仲間がやられたことに随分と腹を立てているようだが。


「俺は通りすがりの普通の高校生だ。格闘技を少々嗜んだ程度のな」

 

 無法者と化した少年の問いかけに、彼、京介は答えた。すると少年たちは目をパチクリさせ、顔を見合わせ、笑い出す。


「ぎゃはははははは! 聞いたかよ! 格闘技だってよ!」

「またこの空手家気取った雑魚と同じパターンかよ!」

「なにここ、格闘家入れ食いですか~? ですか~?」


 京介を指さし少年たちが笑い出す。


――ボキッ、と鈍い音がした。


「ぎ、ぎゃああぁあああ! 指がぁああぁあ! 俺の指があああぁああ!」

「お前は人を指でさすなとおそわらなかったのか?」


 京介の手が容赦なく近くにいた少年の指を掴み、ありえない方向に曲げていた。勿論普段なら絡んでくる程度の相手にここまでしないが、笑いながら女を暴行しようとするような連中に容赦の必要もない。


「いてぇ! なんで、ステータスで強くなたはずなのにぃいい! いてぇ、いてぇ」

「黙れ」

「ぐべっ!」


 股間を蹴り上げられ、拳骨で後頭部を殴られ少年は地面に顔をめり込ませた。


「な、なな、なんだてめぇ! 俺を誰だと思ってやがる!」


 すると近くにいた少年がナイフを取り出し、威嚇してきた。髪を赤色に染めた少年だ。どこで覚えたかしらないがバタフライナイフを両手で弄び始める。


「知らんな。誰だお前は?」

「は! 亜久良津中学の青い刃、新庄――」

「その前にナイフをしまえ」

「ぐえぶっ!?」


 京介は話している途中でも問答無用で弄んでいるナイフを取り上げ、そのまま口の中へ押し込んだ。両手で口元を押さえ、声にならない声をあげながら少年は地面を転げ回ったが、鬱陶しいと京介が股間を蹴るとグシャ! という音とともにゴムまりのように飛んでいった。


「な、なんだお前……」

「普通の高校生だ」

「な、何を馬鹿な! 舐めやがって!」

「お前たちこそこんなところで何をしている?」


 粋がる少年たちに京介は聞いた。問われた少年たちは京介を睨み続けながらも。


「は、俺たちは折角ステータスやジョブを手に入れたからな。それがどんなものか調べるために、この空手家気取ってる馬鹿に、格闘技がどの程度のものか体で聞いていたんだよ」

「その人はお前たちになにかしたのか?」

「あぁしたね。俺達の目の前で女と歩いていやがったんだ。それは十分な罪だ!」

「そうか。どうやらステータスというのは頭をおかしくさせる代物らしいな」

「あん? んだとこら!」

「それとも元からおかしいのか?」

「てめぇ、ちょっと格闘技やってるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ! こちとらギャングスターのジョブ持ちだ!」

「俺はスーパーアウトローだ!」

「シーフだ!」

「ローグだ!」

「パイレーツだ!」


 3人は基本職な上、一人は陸ではあまり意味がなさそうだが、2人は上位職である。調子に乗るのもわからなくないが。


「そんなもの知ったことか」


 全く動じることなく京介は言い放つ。ステータスをとっくに破壊している彼からすれば相手が何のジョブだろうと興味がない。


「へ、偉い自信じゃないか。何だお前、そんなにいいジョブを手に入れたのか?」

「そんなものはない。そもそもステータスは破壊した」

「は? ステータスを破壊? は、あはははは! 何言っちゃってんのこいつ! 頭イッてんじゃねぇの?」

「あれか? ラノベや漫画の読みすぎ?」

「腹いてぇ!」

「全く、頭おかしいのどっちだっての!」

「信じようが信じまいが好きにしろ。そんなことよりお前ら、格闘技を体で教えてもらいたいなら、俺がしっかり教えてやる」


 拳をポキポキと鳴らしながら宣言する。少年たちはまたゲラゲラと笑いだした。


「つまりお前はこいつと同じで、ステータスなんてなくても自分の腕があればどうにかなるとか考えてる勘違いやろうってことなんだな」

「は、お前みたいなやつがそいつみたいに後で泣きを見るんだよ」

「お前らは泣いて謝っても許すつもりはないから安心しろ」

「調子にのってんじゃねぇぞゴラ!」


 一斉にナイフを取り出す。揃いも揃ってナイフが好きな連中だな、と呆れた目を向ける。同時に学校の校則はどうなっているのかと気にならなくもないが、世界が変わった今そんなことを気にしても無意味でもある。


「さっさとてめぇをぶっころしてあの女とやりまくるぞ!」

「俺の息子ももう限界なんだよ!」

「あぁ、興奮するぜーーーー!」

「お前らみたいなのは一度欲望を徹底的に無くしてしまった方が世のためだな」


 京介は3人の攻撃を交わした上で、拳でナイフを打ち上げた。へ? と揃って間抜けな声を上げるが、直後彼らの股間に足がめり込んだ。


「「「ひょんッ!?」」」


 3人揃って悶絶し、股間を押さえたまま前のめりに倒れた。

 今、京介が打ち上げたナイフがヒュンヒュンヒュンヒュンと回転しながら落ちてきて、倒れた3人の尻のちょうどいいところに深々と突き刺さった。


「「「あぴひょぷょッッッ!?」」」


 奇声とも悲鳴ともとれる声を残し、3人揃って意識を失った。一つ言えるのは3人仲良く痔持ちになるのは間違いないということだ。


「さて、あとはお前たちだけだな」

「調子に乗るな!」

 

 スーパーアウトロー持ちの少年が地面を蹴ると大量の砂利が京介を襲った。この量は本来ありえないことであり砂かけのスキルを持った彼ならではと言える。


「これで終わりだ!」


 少年はナイフで京介を突き刺そうとする。砂かけからのナイフ。なかなかに卑怯なコンボだが、その突きは空をかすめただけだった。


「へ?」

「そんな手が俺にきくわけがないだろう」

「な! くそ!」


 いつの間にか後ろに回り込まれ驚愕しつつも振り向き様にナイフを振る、が、それは京介の小指一本で叩き折られた。


「な、ナイフが指でぇえええ!」

「お前たちの戦いには品がない」


 足をはらい、バランスを崩した少年の股間を前蹴りする。弾丸のように飛んでいった少年はそのまま土手に突き刺さった。土手から飛び出た少年の足がピクピクと震える


「後はお前だけだな」

「ヒッ!」


 残された少年は今までの強気な態度が嘘のように怯えた表情を見せた。彼の持つギャングスターは上位職だが、悪い連中のまとめ役を担うジョブである。得られるスキルも悪い仲間が揃ってこそ発揮される物が多い。


 悪友が全て倒された時点でステータス的にもかなり弱体化してしまっているのだ。


「どうした? かかってこないのか?」

「はは、参った。参ったよ。あんた強いんだな。そ、そうだ俺と組まないか? あんたと一緒なら」

「断る」

「くっ、そ、そんな怖い顔するなって。ほら、この通り、謝るからさ」

「最初に謝っても許さんと言ったはずだ」

「な! お、お前恥ずかしくないのかよ! 俺は中学生だぞ! こんないたいけな少年を甚振るっていうのかよ? ネットで拡散されたら今どきすぐに炎上だぞ? 警察にだって捕まる」

「世界は変わったんだ。ルールなんて関係ないんだろ?」

 

 な!? と少年が絶句する。目はすっかり涙目になっていた。


「お、俺の母ちゃんはPTAの役員だぞ! こんなことしたら、ひ、ひどいんだからな、それに父ちゃんは」

「知ったことかァーーーー!」


 京介の正拳突きが少年の顔面を捉えた。鼻が潰れ顔がひしゃげ、目が飛び出んばかりに見開かれる。更に回し蹴りが左右から挟むようにヒットし、汚物を撒き散らす少年の股間を潰れるほど蹴り上げ、半月を描くように足を上げた後、踵落としでとどめを刺した。


「ぐぼらぁあああぁああ!」


 地面に見事なまでの人型の凹みが出来た。型にピッタリと嵌った少年のズボンは排泄物ですっかり汚れてしまっていた。

 

 こうして京介の鉄拳制裁は終わった。囲まれていた青年を引き起こすと、彼女と揃って何度も頭を下げてお礼を言われた。


 彼女の方も服以外は特に怪我はないようであった。男の方は怪我していたが、彼女はジョブを得ていたようで魔法で治療できるようだった。

 

 なのでとりあえず大丈夫そうなのを確認し、京介は2人に別れを告げ、元の道へ戻っていく。


「京介さん、大丈夫でしたか?」

「お兄ちゃんどうかしたの~?」


 戻ると夏目親子が心配そうに聞いてきたが。


「問題無い。ちょっと河原のゴミを片付けてきただけだ」


 そう当たり前のように言葉を返した後、再び京介たちは駅前へ向けて歩きだした。

読んで頂きありがとうございます。ブックマークがまだで、この先も継続して読みたいと思少しでも思えたならブックマークのほどよろしくお願い致します。


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