壁
「あの…ハルキさんは本当に何も覚えていないんですか?」
シエラはまたそう聞いてくる。
確かにいきなり自分の家の前で倒れていたら変だよな。
「あぁ、そうだよ」
そう言うと、やっぱり何かソワソワしている。そんなに変なこと言ったかな?
「その…あの…無理なんです!」
いきなり大きな声を出した。
びっくりした。無理ってなにが?あぁ、生理的に受けつけられないほど気持ち悪いってことか、まぁ仕方ないか。
しょぼんとする。
「ごめん、無理だよね、嫌だよね、こんな知らない奴と一緒の空気吸うの。」
自分で言って悲しくなってくる。
まぁ仕方ないか、実際そうだし。
「ち、違うんです!あの…そういう事じゃなくて。」
何か言いたそうだ。けど、どうせ早く出ていけとかだろうな。
「じゃあ、僕もう出るから、助けてくれてありがとう。」
行くところ何か何処もないけど、今はここから出るのが先だ。
「ちょっと待って。」
そんな彼女の言うこともきかず家から出た。
辺りは木しか生えてないな。それに、道がない。
誰か人が通った様子もない。
どういうことだろう。
ガサ
何だろう?
ガサガサ
まただ。
すると、何か嫌な気配を感じた。
後ろを振り返ると、
「わぁぁぁ!」
つい大きな声を出してしまった。
あれ、何もいない。
でも、何かいた気がした。何か恐ろしいものが。
気のせいか、疲れてるのかなぁ。
そのまままっすぐ歩くことにした。
やっぱり、何もないなぁ
2、3時間歩いていも何もない。
ゴン!
何かに頭をぶつけた。
痛い。
けど前には何もない
やっぱり疲れているのか。
「?」
なんだ?前に進めない。
前に進もうとしても何かに邪魔されてるみたいだ。
「壁か?」
どうやら、何か透明な壁に邪魔されてるようだ。
このままだと前に進めないな。
どうしよう?周り道して他のところから行くか。
そもそもこの壁がどこまでつづいているのかもわからない。
ガサ
まただ、けどもうひっかからない。どうせまた何もいないパターンだろう。
後ろを振り向くと何か黒いものがある。
「やっぱり、ただの黒いものか」
一安心する。
そう、ただの黒いものが浮いて少しづつこっちに来ているだけ。
「?」
黒いもの?黒いものってなんだ?
ひとまず石でも投げてみるか。
落ちている石を投げてみた。
すると、
消えた。
跡形もなく消えた。
そして、分かったコイツはやばいと。