閑話 バルブレア3
相変わらずバルブレアに言い寄る勇者。そしていつものように袖にされるやり取りが延々と続いていた。
「私の王子様を探してくれるのではなかったのか?
まさか勇者でありながら私に嘘をついていたというのか?」
「い、いや、いやいや嘘ではない。魔王討伐をしていれば、きっと君の王子とも出会う。そう、そうに違いないじゃないか」
「そ、そうか! うむ、そうに違いない・・・。
魔王を前に膝を屈する我らの前に、さっそうと現れるやも知れぬ。 ほほう! なんとも言えぬワクワク感ではないか!」
「・・・・そ、そうかい?」
どういう訳か自分は魔王に屈することになっているらしい。勇者は苦笑いを浮かべ、それを見た聖女が後ろで笑い転げている。もはや日常となった光景だ。
気付けばもう半年以上、バルブレアは勇者パーティーと供に旅をしていた。はじめはパーティー入りするのを嫌がっていた聖女も、いつの間にかバルブレアの味方になっていた。聖女と勇者はいい仲らしいが、何分、勇者は浮気性だ。バルブレアに入れ込むのは気に入らなかったが、その間に他の女に走ることもないので安心感が上回ったらしい。
「そこらへんにしときな! ようやく魔王城が見えてきたぜ!」
女格闘家が自分の拳を突き合わせる。バトルジャンキーらしく嬉しさが表情に溢れていた。
勇者、聖女、女格闘家、そして聖騎士であるバルブレアの4人パーティーだ。対する魔王軍、その数1000は下るまい。
「まあ、幾ら敵がいようとも、聖騎士を攻略するよりは容易いだろう。皆、行こうぜ!」
「おおう!」
「?」
「クスクスクス‥‥」
雷撃が門を切り裂き、魔王城へと正面から突入する勇者パーティー。勇者の振るう剣が次々と魔王軍を切り裂き、女格闘家の双拳が唸り巨大な魔物を倒していく。
バルブレアも敵の正面に立って盾を構え、オーラを全開にした。瞬間、皆の力が2段階、底上げされていく。
「さあ、我が皆の盾とならん! 卑劣な魔物共をいま討ち果たそうぞ!」
自身のオーラに照らされ、バルブレアの金髪が躍るように舞う。白銀の鎧をまとった輝くその姿は、まるで神話に登場する女神のようであった。




