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第18話 遠い希望の子守歌2

吊り橋効果というものがある

味わったスリルを恋愛感情と誤認するものだ

もともと恋愛は誤認だというぐらいだから丁度良いのかも知れない

被弾すると放電する

このやっかいな放電を盾持ちスケルトンで抑え込み、槍持ちスケルトンで削る。


雑魚は2人に任せ、長老“悪しき手”を自分が抑え込む。

それがスキャパの出した答えだった。


今のレンバは頼りない。聖騎士(パラディン)をつけてようやく戦力になる。

ならば自分が頑張るしかない。

レベルも上げた。オーラの力も借りる。呪いを加えることで、十分攻略できる。


実際、長老を次々と撃破し、スケルトンを軸とした戦略に手応えを感じていた。

だが“悪しき手”はレベルが違った。

盾持ちも槍持ちもない。一瞬でスケルトンを蹴散らされた。

放電の威力は想定外だった。


これは自分の責任だ。

スキャパはスケルトンの口だけを使ってメッセージを送った。

せめてあの2人は逃がそう。自分がやられている間に逃げれるだろう。


「……骨の壁(ボーンウォール)

 ……骨の鎧(ボーンアーマー)


せめて時間を稼がなければ。

スキャパは骨の柵を“悪しき手”の前に出現させ、自らの周囲にも骨のプロテクターをまとわせる。


だが“悪しき手”は、その剛腕で骨の壁(ボーンウォール)を簡単に破壊すると、右手をスキャパにかけた。


「……スケルトン」


3体のスケルトンを召喚しその手を掴む。


「……スケルトン

 ……スケルトン

 ……スケル ……スケルトントン」


残る魔力を使って、次々とスケルトンを召喚する。


「……スケ」


その口が“悪しき手”の右手で塞がれる。

群がるスケルトンをものともせず、“悪しき手”はスキャパに伸し掛かった。


……だめだ。どうやっても防げない。

……ここまでか。


“悪しき手”は左の手を振り上げ、掴んだままのスキャパに振り下ろす。


ガキッ!!


鈍い音が響く。


あれ?


覚悟を決め、目をつぶっていたスキャパはそっと目を開いた。

そこには、“悪しき手”の左手に挟まるように槍が伸びていた。秋の稽古槍だ。


「間一髪セーフ」


秋はそのままテコの応用で、“悪しき手”の左手をひっくり返す。

攻撃とみなされないよう、そっとだ。


「……レ、レンバ?」


「壁役、お疲れ様でした。

 攻撃役(アタッカー)にバトンタッチですね」


秋はスキャパを引っ張り、後方に押し出す。


「じゃオーラをお願いします」


「了解した。

 オーラ“ビガー”」


バルブレアが輝くと、ビガーのオーラが放射された。

支援効果で移動速度もスタミナも上昇する。


秋は駆け出し、スキャパの反対側に“悪しき手”を誘導する。

そして十分に離れたところで、槍を突き入れた。


バリバリバリ…!


三日月形の雷が四方に飛ぶ。

だが、駆ける秋には雷が届かない。軽々と回避しつつ秋は、チクチクと攻撃する。


「スキャパさん、呪い(カース)をお願いします」


「……被害増幅(アンプリファイ)


“悪しき手”に呪いの炎が燃える。そこに秋は槍を突き入れた。


GYAAAAA!!!


“悪しき手”の左腕に稽古槍が当たる。激しい放電がはじまる直前、秋は槍を捻って腕を折ってのけた。

猛烈な放電があたりに飛び散るが、それに被弾する前に秋は距離をとっていた。


「……レンバ、前と動きが違う」


「驚いたろう死霊使い(ネクロマンサー)殿。

 どうやって奪い取られたのかは分からんが、復帰は近いぞ」


善戦する秋。“悪しき手”はゆっくりと下がり、低く唸った。

だがその目は赤く燃えており、いささかもひるんだ様子はない。


「戦法を変えるのかな?」


秋の心には余裕が浮かんでいた。

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