かつて、『おばあちゃんっ子』だった僕へ
15年後の君は
リハビリの仕事をしてるんだ。
それを決めたときが
高校二年生のとき。
ばあちゃんはもうほとんどしゃべれない。
「あー」
とか
「うー」
くらいだ。
でも、
ばあちゃんに僕は言ったんだ。
「ばあちゃん、俺リハビリの仕事につきたいんよ。」
「ほんで、困ってる人のために働きたいんよ。」
そしたら、
ばあちゃんが
「がんばれ」
って言ってくれたんだ。
正確には
「あぁぁぁうぅぅぅ」
とかぐらいかもしれない。
でも、
確かに
僕には
「かんばれ」
としか聞こえなかったんだ。
僕がこうして
今リハビリの仕事について
忙がしくしてるのは
その4文字のおかげかもしれない。
君なら解るだろ?
夏休み最後の日、
ばあちゃん家で
終わらない宿題を
一生懸命しあげてさ。
でも、結局終わんないんだよな。
君は誉めて貰いたかったんだよね。
僕も多分いっしょなんだ。
すごいね!って言ってもらいたくて、
やったぞ!って言いたくて、
あの終わらない宿題をまだ続けてんだ。
かつて、お婆ちゃんっこだった僕へ。
君が今、
体験しているもののほとんどは、
僕にはもう思い出せない。
でも、
だからって、
後悔はしていない。
―――強がってるだけだ?
・・・そうなのかもね。
じゃあ、
君は、
後悔しないように、
めいいっぱい今を楽しんでほしい。
どうせ、
今の僕は大きな後悔はしていない。
だから安心して、
君のやりたいことをやってくれたら、
それで十分だ。
深いことは考えなくて良い。
お互いゆるーく生こうな。
それじゃあ
一足先の未来を生きてるよ。
またね。