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剣戟の幻想物語 3 栄光の舞台  作者: やきたらこ
一章~憧れの舞台への渇望~
4/30

3.

 朝の刺すような寒さが身に染みる。

 俺はソファから体を起こして二人を見る。どうやらまだ寝てるようだった。

(毛布借りればよかったな)

 体を自らの両腕で抱き、キッチンへ向かう。


(昨日の残りの野草とか、きのこ類が使えそう)

 包丁を水洗い―昨晩、シエルが水属性の術式で出現させた水――そして、野草類に包丁を入れていく。






 朝の冷気はヒヤリとアイゼンを包み込む。

(最近冷えるな)

 アイゼンは体を起こすと、トントンという音が聞こえた。

 そちらを見やると黒髪の少年が真面目にまな板と向き合っている。

(俺も手伝いますかね)

 アイゼンが立ち上がり、キッチンに向かった。

「はよ、リアン」

 声をかけられたリアンは振り向くと、すぐに返してきた。

「おう、おはよ。起こしちゃったか?」

 いんや。と応え、リアンの隣に並んで包丁を手に取る。

「昨日のお返しといこうじゃないか」

「上等だ」

 アイゼンとリアンは黙々と野草類やきのこを切り刻む。


 その時、唐突に後ろからアイゼンたちに甘い声がかけられる。

「おはよ〜二人共早いね〜」

 振り向くと、寝癖をつけたシエルが寝ぼけまなこで立っていた。

「今日は俺らで作るから、シエルは休んでてくれ」

 リアンがシエルに向かって言った。その声はより一層優しさの色が滲んでいた。

 リアンの提案にシエルは笑顔でコクリと頷いた。

「うん。そうさせてもらうね」

 彼女はおもむろに踵を返し、ソファの方へ向かった。


 リアンはアイゼンとチラっと視線を合わせた。

「よし、頑張ろう!!」

 その目は燃えていた。

「お前のその変なやる気が空回りしないようにな」





 極々平凡なサラダ類しか出来なかった。

 食材の関係でお腹に溜まるモノは無かったのだ。

「それじゃいただきましょうか」

 リアンが口火を切る。


「シャキシャキしてて美味しい。食べやすい大きさだしね」

 シエルがささやかなフォローを入れてくれるがやはり虚しさしか無い。



「そういえばなんで、この大会?」

 リアンがフォークを動かしながら問いかけてくる。アイゼンは自分の夢を話す事にした。

「俺の憧れだったんだ。大きな武術大会で優勝するのが。子供ガキの頃からの、さ。」

「ふぅん」

 それほど突っ込む事も無くリアンは自分のお皿に視線を戻した。

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