4.
迫る拳。
アルヤ・マークフェイはその拳を弾き、長棒による打撃を放つ。
しかし黒マントの男はその長棒を暗器のナイフで受け止める。さすがに衝撃を完全に躱せなかったのか、数歩後ずさった。
「テァッッ!!!!」
長棒をクルクル回転させ、気合いと共に、振り下ろす。
即座に身をよじり、長棒による一撃を回避した黒マント。その勢いのまま、身をかがめてアルヤの足を払った。
「ッ!?」
傾く視界。転がって受け身をとることで衝撃を回避する。しかし、
黒マントのナイフが迫るのをアルヤは見た。
ギッ、と歯を食いしばり、無理な体勢だが長棒を掲げる。
――ガッギィィィ!!!!――
火花を散らした二つの得物。しかし黒マントの男の方が体勢的に有利だ。アルヤは上から抑えこまれる形になる。
「何故、そこまで本気になれる?」
唐突に黒マントの男が言葉を発した。しかしその力は衰えることを知らない。
「何故って? ボクの……夢だからだ!!」
自由な足を使い、黒マントの腹部に蹴りを入れる。
黒マントはアルヤの足が刺さった腹部を抑えながら退いた。その間にアルヤも両の足で立ち上がり、(棒の先を相手に向けて、力みすぎずに佇む)棒術の構えを直す。
「そうか………」
黒マントの男は僅かに呟き、その双眸を細めた。
突如、アルヤを目眩が襲った。
「何ッ!?」
まるで締め付けられるような激しい頭痛がアルヤを襲う。立っていられなくなり、片膝を突いた。
跪くアルヤのその瞳は眼前の黒マントの男を一心に見据えている。
「悪いが、優勝賞金はいただく」
ゆっくりと歩を進める黒マント。しかし、アルヤはボソボソと言葉を紡いでいた。
緑髪ターバン少女の周りに漆黒の剣が数本出現するのを俺は見た。隣のシエルも息を呑む。
「このぶつかり合いで決まるだろうな……」
俺は素直な意見を呟く。シエルもコクリと頷いた。
漆黒の剣を六本出現させたアルヤ。それに対し、予選で俺を破った黒マントは右手を振るい、氷の槍を同数の六本生成する。
直後、六つの衝撃と共に粉塵が巻き上げられる中、二つの影が交差した。




