3.
土埃で汚れた白マントを翻したターバン少女が、その手に持った長棒で手近な選手を殴り倒した頃。全身を黒マントで覆ったキリング・クズフトは獲物を始末していた。
「あと……三人……」
倒れている選手――勿論キリングが倒した――の腹部から勢い良くナイフを抜いた。血が流れ出すが、キリングは特に気にすることもなく歩を進めた。
目の前から飛んでくる斬撃を大盾でいなす。
アイゼンを襲った白刃はすぐに引かれ、黒い鞘に戻る。
(リアンが、闘りあったっつう“抜刀術”か……)
断続的に続く鋭い剣戟に歯噛みしつつ、剣を振るう。
対峙する東方の男のその目、それはまさしく真剣そのものだった。
「っぁあ!!」
強く力を込めて長刀を振るが、敢え無く弾かれてしまう。
(埒があかねぇ……)
アイゼンが僅かに退いたその時だった。
男が振るうカタナが、アイゼンの防御の隙間を縫うようにするりと滑り込んできた。
(ま、ずい!!)
咄嗟に体をよじるが、迫る白刃を躱しきることは…………
「何だ? …………」
煌めく刃がアイゼンの腹部に達しようとしたその時だった。
着流しを着た東方の男がグラついた。そして力無く倒れる。
視線を移すと、そこに立っていたのは土埃に汚れた白いマントを翻したターバン少女。
その姿を見て取った途端、連戦の疲れが出たのか、アイゼンは片膝を突いてしまう。
「あんたとは……最後に闘うから、それまで休んでて……」
アルヤ・マークフェイの言葉にアイゼンは苦笑で返した。
アルヤは残った黒マントを見た。奇妙な足取りでこちらへ歩を進めている。
「目的は分からないけど、ここで倒さなきゃ優勝は見えない………」
直後、黒白のマントは同時に駆け出した。




