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パラグラフ25
リーダーを倒されたオークたちは、明らかに浮き足立った。
キミはそれを次々と斬り倒してゆき、またシルヴィアも、先刻の不覚を拭い去ろうとするかのように、細身剣の剣先を、オークたちの隙だらけの体に次々と突き立ててゆく。
そうしてしばらくの後には、その場に立っているのは、キミとシルヴィアの二人だけなっていた。
二人とも今や、その全身を返り血で濡らしている。
「はぁっ、はぁっ……くぅっ……結局キミに、頼り切りになってしまったな」
荒く息を吐き、痛むお腹を庇いながら、シルヴィアはキミに苦笑を向けてくる。
だがシルヴィアがいなければ、キミとても、多勢に無勢でより苦しい戦いを強いられていたのは明白である。
相手の存在に助けられたのは、お互い様と言えるだろう。
キミはその旨をシルヴィアに伝え、彼女の前で、右手の掌を上げる。
「そうか。──まったく、大した人間だよキミは」
シルヴィアは微笑むと、自らも右手を上げ、その掌をキミのそれと打ち合わせる。
そうしてキミとシルヴィアは、お互いを戦士として認め合ったのである。
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