パラグラフ20
キミの戦士としての腕前は、オークなどよりも格段に上だ。
しかし、どんなときでも必ず無傷で倒せるほど、無敵の強さを誇っているわけではない。
加えて、今いる場所での戦闘は、オークたちが連れていた人間やエルフの少女たちを、気遣いながらの苦闘となった。
結果、キミは目の前のオークを撃退するまでに、一度だけ、オークの棍棒による一撃を受けてしまった。
そのダメージのほとんどは、キミが身に付けている鎖かたびらが吸収してくれたが、吸収しきれなかったダメージは、左腕に軽い打撲傷として負うこととなった。
「一撃貰っていたようだが、大丈夫か?」
自分が分担するオークを、からくも無傷で撃退したシルヴィアは、荒れた呼吸を整えながらキミを心配してくる。
キミはシルヴィアの配慮に対し、問題ない、舐めておけば治ると答える。
事実、自分のステータスを確認しても、HPが1点減少しているだけだった。
しかし、キミの言葉を受けて、シルヴィアがけったいな発言をする。
「そうか。ならば私が舐めてみようか?」
キミが狐につままれたような顔をしていると、エルフの騎士は慌てて「じょ、冗談だ、真に受けるな」と、赤面しながら注釈した。
同行者の不思議なジョークセンスに苦笑しつつ、キミは洞窟を先へと進むことにする。
パラグラフ21へ。