Forth Crystalline: Minotaur
種に、こんな異種存在に自分の生命を勝手に継承されてたまるか、そう考えた時には私はもう走り出していた、何処へ、そう水の在処へ。私が花の世話をしなくなり私に預けられている花が死の淵に佇んでいるという程危機的状況にあるとなった時、私と花を結ぶ糸を断ち切って別の場所に、私から発生した無数の子孫的異物に花が恥じらいと至福の中生命を吹き込む事で生まれるのだろう沢山の赤ん坊達と哀れな次なる私の立場を担う者達の間に有るべき結び目を施そうと言うのが今回の事件の発端とも言うべき隠蔽されていた目的なのだろう、だから私は糸を切りに来た鋏に親指を捻じ込んだのだ、こんな首が地上にしか向けられずしかも終始口から唾液の熱心さで漏れ出る種達にその口の中を強制的に貸し切り状態で遊技場化されている異常現状を痛い程把握しつつ、その余りの笑うしかない恐怖の有様を太陽にスポットライトで照らされつつともすれば滞りがちな二足の交互駆動に鞭する騎乗の人となったのだ、それはケンタウルスを空想すれば一番映像的にも私の精神的にも安らかで美しく雄々しく申し分無いが実際二足しかない上その二足に神経を集中しなくては上手く走れないとでも言いたげに下半身の方向だけを見つめていて丁度闘牛において赤色に突撃する雄牛位な無鉄砲さしか備えないとてもまともな知的生物とは考えにくい挙動を続ける幻想上の生き物など、誰も描くに値するとは考えてはくれまい、だからせめてその当事者である私位は自分の哀れな有様で抒情詩を綴るとしよう、まずタイトル、つまりこの生物の名前は、ミノタウルスである。何に激突したとして激突した本人が腰から砕けそうな程貧弱で病的な走り方を続けるこのミノタウルスは或る事に気が付く、種がまるで唾液に混じった無数の泡の誤認でしかなかったかの様に口から消え失せていた、つまり花の聖域においてしか二人の愛の結晶は有り得てはいけないと言う腐った恋の掟なのだろう、ミノタウルスは尚も唾で種にならない泡を作りそれを口の端からシャボン玉遊びをして無駄な所で無駄の無い様にしながら足をもつらせつつも地を蹴り続けた、鋏では親指を上手く切る事が出来ない事を糸切りの悪魔が悟ってその仕事道具入れから鋸を取り出す前に、辿り着かなくてはならない、目指すは花の聖域を離れた次の不可侵領域、水の保管以外に何の不要因子を許す事の無い神の作りし園、水仙の畔だ。




