父からの贈り物
すっかりのぼせた俺はふらふらしながら
部屋に戻る。暫くすると、ハティが水をもって
来てくれた。
「主様どうぞ…」
ちょっと気まずい空気が流れる…
「ありがとうハティ」
俺は出来るだけ平常心を心がける。
水を一気に飲み干して、ため息を一つつくと
ハティがつぎたしてくれる。
顔が近づく…ついハティを抱き締めてしまった。
ハティは顔を上げて目を閉じる。
柔らかい感触が唇を通して伝わる。
「ん…」吐息が漏れる
トントンと扉のノックする音に、
ビクッと二人が離れる!
「御子様、宴の準備が整いましたので広間に
起こし下さい。」
扉越しに声がかかる。
「あ、ありがとう。すぐに向かいます。」
焦った…このまま勢いで最後まで行ってしまいそう
だった。ちょっと、複雑な気分だが
「用意しなきゃ」といい俺は立ち上がる。
俺は用意してあった月狼族の民族衣装を着ようと
するが、勝手がわからずハティに手伝ってもらう
「良くお似合いです」ハティが笑顔で言う。
ハティは巫女の神官着を着ている。
二人揃うと、宮司と巫女に見えないこともない
二人で広間に向かうと、俺は上座に座らされ
左右にハティとフレキが座る。
ちょっと堅苦しい雰囲気があって、息がつまる…
「さぁ~始めましょう御子様の覚醒とハティの
帰還のお祝いです!皆で楽しみましょう!」
フレキが言うと皆席を立ち、回りの人に
酒を進めていく。俺の所にはフレキが
酒をついでくれる。水のように見える酒は
クセがなくすっと喉にはいる。
「これ、美味しいね!!」
「御子様かを望むなら幾らでも用意をしますよ」
フレキの鈴の音のような声は耳に心地よい。
何人かが俺の所に着て酒を注いで行く。
途中、ハティが心配そうに此方に来て声を
かけてくれた。
「主様大丈夫ですか?かなり飲んでいますが?」
「なんか知らないけど全然平気」
ラリマーの石の効果だと知ったのはこの後の事だ。
宴は盛り上がり、夜は更けていく…
「御子様、明日はちょっと見て
頂きたいものが有りますので明日、
朝食の後にお迎えに上がります」
フレキはそう言い
「御子様も長旅でお疲れです。今日はこの辺りで
終わりにしましょう。」
「ハティ御子様をお連れしなさい」
俺はハティと部屋に戻る。広場は久しぶりの
祝い事立ったのだろう。
まだ、ガヤガヤ盛り上がっていた。
部屋に戻ると上着を脱いで楽な格好になり、
ベットに座る。ハティもその横に座る
「久しぶりに美味しい料理を食べれたよ」
「気に入って貰えて良かったです。主様は
お酒も強いのですね、びっくりしました。」
「俺もびっくりしたよ。弱い方では無かったけど
全然潰れる気がしなかった。」
「ふふ、そういう時もあるのかもしれませんね」
「村が無事で良かったね」
「私が先代に転送された後、
敵も撤退したようです」
「じゃあ、ハティが目的だったのかな?」
「分かりませんがまた来る可能性は有りますね」
「ハティはこの後どうする?俺は、旅を続けるけど自分のルーツが少し気になってるんだ」
「私は主様についていきます」
「そうか、じゃあこらからもよろしくね」
「こちらこそです。そろそろ寝られますか?」
「うん、明日はフレキさんがなんか見せたいって
行ってたしね、そろそろ寝ようか。」
ハティは、明かりの魔導具を
一つを残して消した後に、再びベットに座る。
これは…そういう事だよな…やっぱり
ハティは目を閉じ顔を近づけて来る。
俺はそれに答えてハティの小さな唇に
唇を重ねる…
「俺も初めてなんだ…」
「私もです主様…」
お互い照れ笑う
口づけを交わしながらハティの双丘に
手を伸ばし、服を脱がしていく…
「ん…」
更に夜は更けて行った。
ハティが毛布に身を包みながら立ち上がり
水を注いで持ってきてくれた。二人で飲みあい
「主様、嬉しいです」とだきついて来る。
ハティの頭を撫でながら
「ハティは可愛いかったよ」
ハティは真っ赤になって行く
「恥ずかしいです」
そんな、ハティを見て可愛いにも程がある!
2Rが始まってしまった。
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翌朝、ノックの音で二人は目を覚ます。
「朝食の用意が出来ました御子様準備が出来ましたら広間に起こし下さい」従者が伝え去っていく
二人で用意をして、広間に向かう。
フレキがすでに待っていて三人で朝食をとる
「昨晩はお楽しみでしたね」
妖艶な笑みを浮かべてフレキがこちらを見る。
「!?え~と」
俺は言葉につまる…ハティは俯いて頬を赤らめる
「ホホホ、御子様は分かりやすい」
嵌められた…からかわれたようだ…
「母さま…からかわないで下さい」
ハティが抗議をする。
「これで我が一族も安泰です。」
フレキは笑う。
「さて、後程我が一族の書庫に
来て頂きたいのです御子様、御子様が
知りたい事も分かるやも知れません」
「俺が知りたいことが分かるのですか?」
「ご自身の事と琥珀の事ではないですか?」
俺は頷く…ハティのスキルを思いだし
先読み、予知の力がフレキにはあるのだろうと
俺は推測した。
「ふふ…それではこのまま向かうとしましょうか」
フレキの案内で、社の裏にある洞窟の奥に向かう。
ここは月狼族の宝物庫らしい。
洞窟の奥に扉があり、結界が張られていた。
フレキはそれを解除し鍵をあける。
部屋にはいると、すごい数の本が
棚に収まっていた。
横には、武具や宝玉らしきものも置いてある。
フレキは一冊の本を、手に取り
俺の所に持ってくる。
魔方陣が、描かれた帯で封印されたその本は
淡く光っているようにも見える。
「琥珀を持つものしか開けないと言われている
本です。私も何が書かれているか分かりません」
フレキは、少し緊張した顔で俺を見る。
俺がその本を手にした瞬間、胸の琥珀から、
琥珀色の魔力が立ち上ぼり、俺を包むた!
ハティとフレキは、驚いて後退りをする。
部屋は琥珀色の光で満たされ、洞窟の中なのに
昼間のように明るい。
本の封印が音もなく消えていく…
光は段々修まり、淡くなっていく
「これは?!」
「御子様の力に共鳴して、封印が解けたのかと」
フレキは驚きを抑え、冷静を努めている。
「開いてみる」
千年の後の子にこの本を贈る。
「千年の後って、千年前の本なの?」
「分かりません、かなり昔から月狼族の守ってきた
物なのは確かですが…」ハティが、フレキに
目線を送る。
「千年かどうかは、今となっては分かりません」
フレキは申し訳なさそうに言う。
俺は読み進める。
我等、琥珀一族は世界の調和を護る使命を
受けた一族。はるか昔、琥珀を神から授かりし
時よりその任を与えられ果たしてきた。
琥珀の力は、神より与えられし力なり。
時には、獣人と時には人と時にはエルフ
調和を乱すものと、闘ってきた。
しかし、最大の敵は魔族!奴らを永遠に
封ずる事が、我等の悲願。
我等の力は、その為にある。
我等は魔族の王を、魔宮の奥へと追い詰めた。
しかし、一族の勇者達も疲弊し傷ついていた。
魔王を倒すだけの力が足りなかった…
我等は魔王を封じる事を選んだ…
一族の命をかけて…我等は琥珀を1つにする事で
力を一つにする事で魔王を千年の獄に
封印する事が出来た…千年の獄しか出来なかった…
我等は、我等の御子を琥珀に封じ未来への
希望と成るように…我は残りの時間で
希望の助けとなるものを、後に残すとしよう。
我が子、雷火よお前は一族の中でも
琥珀に愛された子だ、その力を世界の調和の為に
千年の獄を破りし魔王を倒し、一族の再興を
果たさんことを願う。お前の琥珀には、
一族の全ての力と知識が集約されている。
お前の、成長に合わせて助けてくれるはずだ。
琥珀の一族を支えてくれる、
月狼、星竜、風矢、火狐の氏族も
お前を助けてくれるはずだ。
仲間を集め、6大宝珠の加護を受けよ。
さすれば道は開かれん…
俺は大きなため息をつく…
予想外に話が大きくて実感がわかない
「先週ぐらいまで、まぁまぁ普通の生活だったんだけと…」
「私も月狼の本当の役目を初めて知りました。」
ハティは言う。
「長い年月で、忘れ去られた伝承も
あったのでしょう…」
フレキは申し訳なさそうに言う。
「いや、月狼の一族は千年もこの呪いみたいな
伝承を信じて俺を待っていてくれたんだ、
感謝以外に言葉か無いよ」
「勿体ないお言葉です。」
フレキとハティはその場で膝をつき頭を下げる
「そんなこと、しないでよ。頭下げるのは
俺だよ。実感ないけと俺の一族の事に巻き込んで」
「それが勤めですわ」ハティが言う。
「その通りです」フレキが後に続く。
俺は、再び本に目を移す。
琥珀の力は大きく3つ「雷」「吸収」「時空」
雷は攻撃、魔法、付与を
吸収は、琥珀の力に触れた力を自分の物にする
時空は時、場所を越える力
琥珀の知識がお前の力に応じて解放して行く。
思いあたるものが、一杯あるな、
昨日酔わなかったのもラリマーの
浄化作用を吸収したおかげだな。
ボックスは時空の能力かな?
琥珀の力が少し理解できた。
最後にこれを我が子に送ろう!!
雷の魔力を通せば、いかなる攻撃も防ぐ盾となろう
その一文を読むと本は光輝く!?
俺の頭上に浮かび、更に光を発し形を変えていく
本と何かが時空転移しているようだ。
こんなこと、やらかす本当の父親の力は
とんでもないな…
光はやがて、銀色のブレスレットに形を変えていく
ブレスレットの中心には小さな琥珀が埋まっている
父親からの贈り物か…有りがたく使わせて貰おう。
「主様それは?」
呆気に取られていたハティが口を開く
「父親からの最初で最後の
プレゼントってところかな?」
俺は、ブレスレットを装備し魔力を込める
ブレスレットの琥珀を中心に琥珀色の盾が
具現化する!
「すごい!!こんなの見たことありません。」
ハティが驚く
「凄い魔導具ですね…」
「接近戦は使えそうだな、持ち運びも便利だし」
魔法障壁よりも、範囲は小さいけど強固そうだし
「さてと、これは一族の役目を果たさないと
いけないかな…なかなか大変そうだけど」
「月狼族は、一族全ての御子様の意思に従います!!」
ハティは決意のこもった目でこちらを見る。
フレキも頷く。
「ハティは6大宝珠ってしってる?」
「はい、火のルビー、水のサファイア、
土のトパーズ、風のエメラルド、光のダイヤ、
闇のブラックダイヤの事だとおもいます」
「それぞれが、神殿に奉られていますが封印されていて、普通には入れない筈です。」
フレキが捕捉してくれる。
「とりあえず近くから行くかな…他の氏族
については?」
「他の氏族については、分かりませんが
一番近い神殿は水の神殿がこの大陸にあります。」
「じゃあまず、そこから行ってみよう!!」
ドォォォン!!洞窟の奥のここまで響く爆発音が
響く!?
「なんだ?!」
三人は急いで外に出ると…
空に人が浮いている!!
俺達の方を見ると、巨大な氷塊を具現化し
此方に放つ!!
あんなの喰らったらたまったもんじゃない
「ライトニングランス!」
雷の槍を具現化し、氷塊に向けて放つ
互いにぶつかり、消滅する。
奴が此方に向かってくる!
ハティを襲った奴がまた、来たのだ!!
ちょっと話の展開が…ですが、
頑張って書いてきます。
評価、ブクマ嬉しいです。
ありがとうございます。