月狼
俺は剣を構えて、襲ってきた奴を改めて見直す。
魔眼からの情報が頭に浮かぶ。
名前:月狼ハティ
種族:獣人
クラス:神狼
LV: 25
HP:3500
MP:1500
攻撃:1500
防御:1200
魔攻:1000
魔防:1500
敏捷:1500
スキル:光魔法4 闇魔法3 月魔法2 先読3
状態:暴走 獣化 混乱 凶暴化
称号:月狼 月の巫女
ん?獣人?どうみても狼何だけど?
月狼の爪をバックステップでかわす。
俺のレベルよりは上か…暴走?混乱?獣化?
どうも、これが元の姿じゃないらしいな…
取り合えず、戦うしかないなかな?
俺は爪を剣で受ける!
かなりの衝撃を受けるが、耐えれない程じゃない!
俺は離れて、袈裟斬りに飛び込む
月狼は、あらかじめ分かっていたように
横に避け爪を脇腹めがけて払う!
「シェル」障壁を作りそれを受ける。
月狼は、障壁の手前で爪を止めて距離を取る!?
「なんか、先を読まれてるな…」
スキルに先読みってあったな…そう言えば…
「厄介だな!」
俺は月狼に向かって下から振り上げる
予想通り横に回り込まれる、俺は途中で
剣線を横に変化させる!
これもアッサリバックステップで避けられ、
バランスを崩した俺に、体当たりをかけてくる!
「!?痛ッッッて!」
もろに喰らい、吹っ飛ぶ。
俺は空中で回転して、着地する。
「やっぱり、俺の動きを先読みしてるのか…
暴走、混乱の割には冷静な気がするんだけどね」
返事が来ないと分かっていながらつい口に出す
自分に笑える。それとも、手応えのある敵が
嬉しいのか自分でも分からないが!!少し楽しく
感じている自分も確かにいた。
月狼に魔力が集まる
「レイ」
光の玉から光線が放たれる。俺が避ける方向に
光線は追いかけてくる!!
光線の通った後は、地面が焼け焦げている…
荒れは喰らいたくないな
「サンダーボール」光の玉に、雷の球がぶつかり
爆発と同時に両方消滅する。
先読みされる以上、相手の予想以上のスピードか
広範囲の魔法が有効だか…
暴走、混乱ってのが気になるんだよな…
獣人ってのもな~
獣人なら、アマンの町にもいたしね。
俺もアマンで初めてみたのだが、
大きい町では、特別な事出はなく獣人の
国も他の大陸にはあるらしい。
「やってみますか!!アムド!」
琥珀色の美しい剣が具現化していく
俺はある仮説を考えていた。
俺のスキル琥珀の知識は、俺が困った時
何かを教えてくれるのではと思ったのだ。
ロード戦の時やボックスを覚えた時も
突然頭に呪文が浮かんだ。やる価値は
あると思えた。出来るだけ傷つけずに
月狼を止めたい、異常状態なら
止めて元に戻せれば…と考えていた。
を?予想通り!!
「雷装天駆」俺の雷化が始まる。
月狼は詠唱をしている。
「プリズムランス!!」
俺に光の槍が10本俺の心臓目掛けと飛んでくる
俺は地面を蹴り、月狼から少し距離を取り
後に回り込み、思いっきり月狼の頭上に
向かってジャンプする。
雷装中に跳ねると…結構高いな
月狼は俺を見失っている。こうなれば
先読みは出来ないだろう!!
前方で、ターゲットを失った光の槍が
地面に突き刺さり爆発する。
「雷槍天突!!」
琥珀の剣から、雷か迸り雷装と重なり
さながら、俺が一本の槍のように見える!!
そのまま、雷のスピードで月狼の足元に突刺さる!!
凄まじい爆発音と衝撃が辺りの木々を蹂躙
していく!!俺を中心に30㍍程のクレーターが
出来上がる。これはまた凄いなぁ…自分でも
やり過ぎでは…と不安になる。
気を引き締め、月狼を探す。
クレーターの縁に、横たわっているのが見える。
を?予定通り気絶させれた様だ。
俺は近づき、状態異常回復魔法を唱える。
「リカバリー」
月狼のステータスは異常を示したものが
消えていく…
「!?」
同時に月狼の姿も変化していく!?
大きな狼の姿から、銀髪の少女に…
うつ伏せで良かった…お尻はモフモフの
シッポに隠れているが、全裸だった…
獣人と言っても、獣耳とシッポ以外は
人と何も変わらない、軽く理性が
飛びそうになるが、強靭な精神力?
で押さえ込む、ボックスから毛皮を取り出して
彼女の体を包み、お姫様抱っこをする!?
「可愛いい…にも程がある…」
思わず口から漏れる。
整った顔、白い肌は一層彼女の銀髪を目立たせる。
そして、首のチョーカーには青白い綺麗な
宝石がついていた。
「取り合えず、宿に戻るか…」
――――――――――――――――――――――
急いで、彼女を抱いて町に帰る。
宿で、受付嬢が慌ていろいろ用意をしてくれた。
後でお礼しとこう。
俺の隣の部屋が空いていたので、
取り合えず俺が支払い、部屋を借りる。
受付嬢、マスターの娘らしくマリアと名乗った。
マリアが、タライと冷たい水、取り合えずの服、
タオルを用意してくれた。
余り細かいことを聞かないでくれるのは
ありがたい。裸の少女を連れてきたら
何かを疑われそうで怖かったが
後で聞いたら、少しは疑われたようだか…
草食ポイからないと判断したらしい
舐められてるな…いつか後悔させてやろう!!
「う~ん」
少女が目を開ける。
「ここは?…あなたは…」
目を開けた、彼女の瞳は、蒼がかった
表現出来ない美しい色だった…
「俺はライカ、ここはアマンの町、
君は森で暴走してたんだ。」
「…」
彼女は俯く
「私はハティ…あなたが私を
止めてくれたんですね。うっすら、
記憶があります。他にも何人かの
人を傷つけてしまったようですね…」
「まぁ、皆冒険者みたいだし
大丈夫だったみたいだから、
気にしなくても平気だよ」
「それは良かったわ」
少し微笑みを返してくれた。
可愛すぎるぞ…これは!
「もう少し休んだら?座の後で食事
でもしながら話を聞こう」
下心はない!断じてない、
「ありがとう…もう少し休ませて貰うわ…」
「隣の部屋にいるから、何かあったら教えて」
彼女は頷く。
俺は部屋に戻ろうと、廊下に出る。
部屋から、彼女の嗚咽と鳴き声が聞こえる。
俺は自分の部屋に向かった。
彼女の用意が出来るまで待つしかないな…
――――――――――――――――――――
辺りが暗くなり始めた頃、扉をノックする音
で目が覚める。どうやら、寝てしまったらしい。
俺は返事をして、扉を開ける。
ハティが、笑顔でそこにいた。
さっきまで泣いていたのに…
俺は彼女を誘って、したの酒場に向かう。
まだ、開店したばかりで客は俺達だけだ。
奥の席にら向い合わせで座る。
マスターにエールとクランベリー酒を頼む
「え~とハティさんは何であそこに?」
「ハティでいいです。ライカ様」
「じゃあハティって呼ばせて貰うね。
俺もライカで良いよ」
「いえ、月狼族は助けていただいた方を
主として尽くすか夫婦にならなくては
ならない風習があるのです。
それは、捨てられるまで続きます。」
「!?なに?それ?」
なんちゅう風習だ!!嬉し…じゃない!
なんかの物語にありきたりな。
「捨てるとどうなるの?」
ふと疑問になり聞いてみる。
「捨てられるような者は死あるのみです…」
目が真剣だ…
「じゃあ……取り合えず主でお願いします」
下心はない!こんな可愛い子を死なせたら
世界の損失だ!それを止めるのに迷う必要はない!
これは仕方のない事なんだと自分を納得させる。
「で?ハティは何であそこに?」
「はい、実は私は月狼族の巫女で
ムーンストーンのジュエリストなんです。
主様にはお話をしますが先読みや予知
の能力があります。」
「先読みね…苦労させられたよ」
俺は笑う
ハティは申し訳なさそうに顔を伏せる…
クッ!!可愛いにも程があるじゃないか!
「私達の村は隠れ里、何ですが突然、
魔物が襲撃してきてそれは撃退出来たのですが…」
ハティは一口クランベリー酒を飲み
「その直後に人形の魔物?魔人とでも
言うんでしょうか…が村を蹂躙したのです。
沢山の仲間がやられました…私は怒りで
我を忘れて獣化してしまい、
魔人に挑もうとしたら、先代の巫女が
私を転送したのです!!その後は、
ご存知の通りです。」
悲しい顔をして、顔を伏せてしまう。
「俺と同じだな…」
「え?」
ハティは顔を上げる
「俺の町も魔物に教われたんだ、
人形は来なかったけど人語を操る
キマイラロードはいた!」
「SSクラスの魔物ですね?まさか…
ライカ様倒したのですか?」
「いや、ダメージは与えたけど逃げてくれた。」
「それでも、凄いです!!」
「ライカ様もジュエリストなのですね?
何の宝石でしょうか?見聞き死た事の無い
術を使われていましたが…」
俺は少し考えたが、言わなければならない
と言う思いが湧き出る。
「俺の石は琥珀…」
「!?」
ハティが急に立ち上がり、俺に抱きついてくる!!
嬉しい!じゃない…何事だ?俺は混乱する…
「主様!!ずっとお待ちしておりました。」
「?ずっと?何の事?取り合えず
落ち着いて教えて!」
俺はハティを落ち着かせて、席に座らせる。
ハティは一口飲んでから
「私達月狼の一族は、琥珀の一族に仕える
一族何です。何千年前からそうだと
聞いています。ただ琥珀の一族は
千年前から姿を消したそうです。
千年の後に血を残すと言う言い伝えを
信じて我が一族は生きてきました!」
「千年?!」
もはや呪いじゃねぇか!そんな一言に…
何なんだ琥珀の一族ってのは?
「主様が琥珀の一族だなんて、我が一族の悲願
の為、精一杯お仕えしますね!」
「普通に仲間じゃダメなの?」
「ダメです!!主従か夫婦です!」
……まだ、夫婦はちょっとな…
しかし、こんな可愛い上に強いハティが
自分の物になるのは…男としては嬉しい!!
いや、邪な考えは一切ない…はずだ…
「分かった、主従でいいよ…
でハティの村はどうなったんだ?結局?」
「詳しくは分かりません……ので主様が
良ければ、一度村に戻りたいです…」
「分かった!取り合えず今日は飯喰って寝て
明日、準備をしてハティの村に向かおう!」
ハティは頬を赤らめ
「喰って…寝るのですね…」
「ん?」なんか勘違いしてないか?
「ありがとうございます主様、私頑張ります。」
「ああ取り合えずご飯食べよう~」
俺はマスターに二人分食事を頼む…
予想外にハティは、大食いだった…
可愛くても狼の獣人だった、俺の三倍は
食べていた…
ハティの服、着せるの忘れてた…
お時間ありましたら、評価お願いします。