★★ なによ~! : 児玉かすみ
あんなに可愛くラッピングなんかしちゃって!
いつの間にリボンまで用意してたのよ! ただの調理実習でしょ?
試食タイムのとき、どうも楽しそうにしてると思ったら・・・彼氏にでもあげるのかと思ってたのに。
なんで、雪見さんなのよ〜!
何が「手作りのお菓子なんて食べる機会がないと思って」よ!
どうせ、わたしは気が利かないわよ!
どうせ、お菓子は得意じゃないわよ!
だけどね、雪見さんは毎日、わたしの作ったお弁当を食べているんですからね。
そうよ。
たまに作ったお菓子くらいでは、雪見さんの気持ちは変らないんだから!
あぁ・・・。
わたし、何をイライラしてるんだろう?
雪見さん、困ってたじゃないの。
気の毒に。
・・・わたしがあの場にいなかったら、嬉しそうにもらっていたかな?
そんなことないか。
きっと、やっぱり困った顔をしていたに違いないね。
あしたのお弁当は生姜焼きにしよう。雪見さんが、一番好きだって言ってたから。
あの子たちみたいにラッピングに気を遣ったりはできないけど・・・。
うーーーん。
べつに餌付けしているつもりではないんだけどね。
そ、それに、あの子たちと張り合うつもりもないよ。うん。
わたしが雪見さんを好きなんじゃなくて、雪見さんがわたしを好きなんだから。
余裕だよ。