★★ やっぱり・・・。 : 児玉かすみ
またドキドキしちゃったよ〜。
もう、どうして?
雪見さんの「おやすみなさい」には、何か仕掛けがあるんじゃないの?
だって、変だよ。
何時間も一緒にいて、けっこう近くで話したりもするのに。
内緒話だって平気なのに。
そういうときは何でもなくて、「おやすみなさい」にだけ、こんなにドキドキしちゃうなんて。
絶対に変だよ。
ああ、もう!
でも……。
今日はほんとうに助かっちゃった。
電器屋さんなんてあんまり行ったことがないから、一人だったら、店員さんの言うままに高いものを買ってしまっていた気がする。
2軒まわるなんてこともできなかったはずだしね。
部屋まで運んでもらっちゃったし、ほんとうにお世話になったよね。
なのにお礼が、わたしにご馳走することだなんて……。
たしかに自炊って、空しいけど。
誰かが食べてくれると思う方が、料理は楽しい。
だけど、わたし、すごくない? ちゃんと横川先生のことを思い付くなんて。
雪見さん、自分からは言い出せそうにないもんね。
あんなふうに「もしよかったら、誰かほかにも」なんて、恥ずかしがり屋というか、奥ゆかしいというか。
雪見さんの手料理を一緒に食べることよりも、横川先生を誘うことの方が断然 “お礼” に相応しいよね?
だけど……。
ふふ。
今日の夕食も、あんなに喜んでくれた。
そりゃ、そうだよね。
できたての家庭料理って、めったに食べないはずだもの。
好き嫌いはないし、美味しそうに食べてくれるから、作ったわたしも嬉しいよ。
あんなふうに食べてくれると思うと、あさってからのお弁当も、ますます作るのが楽しくなる!
ああ、あさっては球技大会だ。
体操服を忘れないように、雪見さんにメールしておこう!
「五月の章」はここまでです。
次回から「六月の章」に入ります。