表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
児玉さん。俺、頑張ります!  作者: 虹色
3 お近づきに
17/129

 ★★ 仕方ないなあ。 : 児玉かすみ


『児玉さ〜ん。助けてください。』


4月28日の日曜日。ゴールデンウィーク最初の3連休の真ん中の日。

お昼すぎにかかってきた電話から、雪見さんの情けない声が。


「どうしたんですか?」


『弁当箱を買いに来たんですけど、どれを選べばいいのか分からないんです!』


あら、まあ。


「どれをって……?」


『大きさも形も何十種類もあるんですよ〜。自分がどのくらい食べたらいいのかも全然……。』


「ぷ。」


やだ。思わず笑っちゃった!

「どのくらい食べたらいいのか」って……。

お弁当箱のコーナーで、大きな体で途方に暮れてる雪見さん? それも可笑しい!


『2段重ねとか、平らなやつとか、どんぶりみたいなのとか、保温機能付きとか……。見れば見るほど分からなくなって。フタの閉め方だっていろいろ違うんですよ〜。』


あらら。

相当困ってるのね……。


「あの、雪見さん?」


『はい。』


「とりあえず、自分が食べられそうな大きさを選んでみたら?」


それ以外、考えられないでしょう?


『そんなこと言ったら、特大サイズになっちゃいます! 児玉さんが詰めるのが大変ですよ。』


詰めるのが大変?

そうか。夕飯はお弁当2つの人だっけ。

それはちょっと困るな。


「この前のパックくらいの大きさは?」


『厚みとか形が違ってて……。』


ああ、あれは浅めだったもんね。

フタを嵌める分の縁もあったし。


『容積がいろいろ書いてあるんですけど、児玉さんなら分かりますか?』


容積? 何ミリリットルとか?


「お弁当箱の容積なんて、考えたことなかったよ……。」


『そうですよね……。』


しょんぼりした声出しちゃって。


もう。

仕方ないなあ。


「雪見さん、どこにいるの?」


『今ですか? 烏が岡の白鳥屋です。』


烏が岡の白鳥屋って……デパートじゃない! 鳩川のスーパーじゃなかったのね。

そうか。だからたくさんあって……。


「じゃあね、今から行ってあげる。」


『え?』


「一時間くらいで行けると思うけど……、あ、雪見さん、忙しい?」


『い、いえ、今日は何も用事はありません。』


「そう。じゃあ、白鳥屋の入り口のオルゴール時計の前で1時半に。大丈夫?」


『はい。…はい! ありがとうございます!』


「うん。じゃあ、あとでね。」


たしか、あそこのデパートで北海道フェアをやってたよね?

行ってみようと思ってたから、ちょうどよかったな。



それにしても、あんなふうに電話をかけて来るなんて。

すごく困ってたからなんだろうけど、ちょっとかわいい。

もしかして、わたし、懐かれてるのかな?


まあ、雪見さんって、どこか放っておけない感じがするし、いいひとだから構わないけど。

ちょっと手間のかかる弟みたいだよね。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ