1話 解体師、ギルドをクビになる
「最近、ギルドも経費を削減していこうと言う話になってな。てなわけでお前は今日限りでクビだ」
「はい⁉︎な、なんでですか?」
「お前は、一つの解体に数時間かけて回転率が悪いと報告が上がっている。使えないやつから切るのは常識だろう?」
本日、一年間務めてきた冒険者ギルドの仕事をクビになった。なんでだ?人一倍仕事をこなしていたし、なんも事件も起こしていない、なぜ俺からクビになった?
読者諸君、そもそも何でギルドで働いているかわかっていない様子だな。みなさん気になると思うので少し時を戻そう。
転移したのは一年と半年前だった、最初の頃は勇者一行のメンバーでは無いとはいえ、異世界人だったので一応、勇者たちと一緒に冒険をしていた、それが数ヶ月間、しかし周りはチートばっかり、解体しかできない俺は正直言ってお荷物だった。料理や設営、斥候などで頑張ろうにも普通に残りのメンバーの方が上手く、俺はこのままでは迷惑が掛かると思いパーティーを抜けた、みんな優しかったから、残ってもいいと言ってくれたが、覚悟を決め抜けた。
そこからさらに数ヶ月この街で冒険者をしていたのだが、持ってきた獲物の綺麗さを買われギルドの解体屋として雇ってもらえたのである。そして一年間、何もすることのなかった俺は、仕事に明け暮れたギルドで寝泊まりして、朝早くから出勤し、夜遅くまで解体をする、おかげで解体の腕にさらに磨きがかかった。解体した頭数とランクに応じて、給金が支払われるのでそこそこ儲かっていた。
そして現在、職を失った。
貯金はまぁまぁある具体的には大金貨2枚分ほどだ、ちなみにここの貨幣は銅貨→大銅貨→銀貨→大銀貨→小金貨→金貨(別名中金貨)→大金貨→小白金貨→白金貨(別名中白金貨)→大白金貨のような感じで銅貨一枚=一円程度の価値で10枚集まると次の貨幣に行くという感じである。つまり大金貨2枚とは約200万円の価値があると言うことだ。これだけあれば、質素に暮らせば一年は仕事をしなくてもくらせるだろう。
だが、しかし俺にはやりたいことがあった、それはこの世界を見て回ることだ、勇者パーティーにいた時は大体魔界へ向けての移動、人の街にはたまにの補給にしかよらなかった、抜けてからはこの街から出たことがない。なので旅に出たいのだ、どうやら亜人種とやらもいるらしい、オタクの端くれとして実際にそうゆうファンタジーなものが見れるのに見に行かないだなんてありえない。
旅の用意を整える。まずは武器を買おう。魔銀とか、神鉄鋼とか、あるといいなぁ、なんせ予算は100万ちょっと、きっと買えるさ。
武器屋にて
結果は惨敗。何あれ、ミスリルの短剣で大金貨5枚からとか、オリハルコンに至っては完全オーダーメイドで、底値が白金貨からだったよ、しかも天井なしとか終わってるって。
「よう、にぃちゃん。なんか探し物かい?」
「はい、これから旅に出ようと思っていて」
「ほう、なるほど。で、予算と武器の形の希望は?」
「予算は大金貨一枚、武器は短いのが一つと長いのが一つ、形は解体に使われるものと似たような感じがいいです。それでできるだけいいものをください」
「解体に使われるって…変なやつだな。そんなやつあったかな?あっ、思い出したぞ、確か売れ残ってるやつが、あったこれだ」
出てきた剣は一般的なロングソードではなく、片刃で長方形に近い形で先端は斜めになっていた、何よりも刀身が真っ黒だった。
「面白い形してるだろ?変な形だし物好きが買っていくかと思ったんだが、当てが外れてな。ずっと売れ残ってたんだ。ミスリルの次に硬い黒魔鉄鋼製、本当はこれ一本で大金貨一枚で売りたいところなんだが。このまま売れ残っても損だ、黒魔鉄鋼のナイフもつけて大金貨一枚で売ってやる。どうだ。買うか?」
「買います」
即決だった、なんせナイフが金貨3枚ほどだったので3割引きである。それに真っ黒い刀身ってのがかっこいい。
俺はホクホク顔で店を出て行った。
筆者天の声『実はあの剣仕入れ値が金貨5枚と小金貨5枚、売値が金貨7枚でした。なので実際は一才値下げしていない。嘘はついていない、できるだけ高く売りたいので大金貨一枚で売りたいのも本音。黒魔鉄鋼の作り方、まず鉄を鋼にします、そこに魔力を込めながら折り返して叩くを繰り返しますします、さらに魔力を込めます、黒くなります、黒魔鉄鋼の完成。って感じなので材料費も安いし、作り方も簡単な方なので結構お手頃価格で買えます。冒険者初級は鉄、中級からは黒魔鉄鋼、上級からミスリルなどが入ってくる感じ。それでは引き続き物語をお楽しみください』
その他、野営に必要な食料、テントなど買い揃えていたら結局手元に残ったのは金貨5枚だけだった。もう日も暮れてきたので、宿で一泊して次の日ここを出発しよう
筆者が書いてる別作品「異界神話」もよろしく




