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万象と悲哀の歌





女彫刻家は砕け散った。


(ハーラン、ハーラン、ハーラン)

光の粒子が女性の姿となって、石の欠片を抱いて嘆く。

(かわいそうなハーラン)

はらはらと涙を流す。



砕けた女彫刻家の破片を継ぎ合わせる。

再生した顔は涙を流している。

何の涙?


(神の気まぐれに晒されたかわいそうな物語の末裔(すえ)。それでもあなたはわたしを見ていたのに、わたしのすぐ近くまで来ていたのに )

涙は湖面に触れると光となって散った。


「なぜ泣く? なぜ彼女を憐れむ? 人に語られる神代の最後の奇跡を手にした偉大な芸術家が哀れだと? あなたは誰だ」


冷めた目で王が問う。

光の女は(もや)う空気に透き通りながら悲しげにその表情を見返した。

威厳を示す(きぬ)に包まれた、石より生じ物語から彫り出された金色の鹿の目の王。


(わたしは神々が去っても、最後まで見届けるもの。例え時の終わりが来ても、世界という薄闇(ベール)の向こうで佇み続けているもの。彼女の見ていた結末をとうに知る者でもあり、彼女の物語を永遠に傍らに置くものの影)



(世界に覆われているあなたたちの目には隠されたまま、あなた達を見つめ続けている。あなたの目にわたしの影の姿が留まるのもこの一瞬でしょう、物語の中で奇跡を求めた王よ。あなたもわたしを追うのをやめてしまったから)


光を撒くほっそりした手の輪郭が女彫刻家の刻まれた涙の跡を優しく撫でる。


(彼女の視線は世界の向こう側に佇むわたしを視界に横切らせていたのに──視線を見交わすことは叶わなかった)


切なげに、輝きを散らしながら光の女性は顔の欠片に頬擦りする。


(運命はいつもわたしが誰かを抱き締めるのを遮るわ、わたしだけが見つめながら待ち続けている。あぁハーラン)


光の飛沫を幻のように残して女は消え去る。


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