表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

剥離と心象の歌


黒い石を三つ吐いた。

水底に夜が増える。


「ハーラン」

かわいそうな子、と啜り泣く声たちがそう言っていた。

いつも霧がかった空気の中に聞こえる白昼夢の声。

眼前の水溜まりには、積み重なっていく黒い石の水底。


黒い石を吐くようになってから、未来が霧がかった意識の向こうに見える。

──嘆く石の記憶と並んで。


白昼夢の声たちよりも誰よりも、わたしが、わたしの結末を知っている。

自分の憐れむべき未来を。


絶望が体の中で凝り固まる。

何度も何度も石を吐く。

そしていずれ全て石になる。


黒い石を吐く回数がやにわに増えて、突然止まる。

それは終わりの合図で、やがて体そのものが石化し石像と化す。

そこにかつて壁画の内で永遠の青年だった彼がやってきて、石のような表情でわたしを打ち壊すのだ。


わたしだった破片は、ばらばらに床に散る。

終幕。


笑うことも泣くこともない。

只、絶望の石を吐いて、石になって、砕かれて、終わり。


物語が続く余地はない。

新しい章が紡がれることはない。

救いもない。

砕かれた後にはなにも残らないのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ