7話 景色とドラゴンの名前について
「ふぉー!! しゅごいねぇ、はやおねぇ、きりぇいねぇ!! いりょ、いろいろ。しょりぇに、きりゃきりゃもちてりゅ!!」
『そうだろう、綺麗だろう。この森は、危険な魔獣だらけだが、森自体は綺麗な物が多い森なんだ』
あっ、ぱっぱりここ、森だったんだ。今私たちの下に見えている森ね、本当の綺麗なんだ。
森全体が紅葉しているみたいに色づいていて、それだけでもかなり綺麗なのに。時々キラキラと光ったり、ポワッと柔らかく輝いたりしている場所もあって。
あんな大きな猪魔獣みたいに、危険な魔獣ばかりが住んでいる森だなんて思えないほど、とっても綺麗なの。
『この速さは平気か?』
「うん!!」
『そうか。じゃあもう少し速く飛んでみるか?』
「うん!!」
『分かった、行くぞ!!』
そう言って、もう少し速く飛んでくれる綺麗なドラゴン。
「ひょー!!」
『ハハハッ、人間は初めて俺たちに乗ると大抵怖がるが、お前は喜ぶんだな。気に入ったぞ!!』
「こわがりゅ?」
『ああ、最初はな。それでだんだんと慣れてきて、普通に俺たちに乗れるようになる。まぁ、ずっと怖がる者もいるが……』
へぇ、さっき人間と関わって生きているって言っていたやつ。背中に乗せるほど関わっているんだ。
それにしても、この状況を怖がるなんて。景色もバッチリだし、気持ちが良いし、良いことばかりなのに。
大体ドラゴンに乗って空を飛んでもらえること自体、とっても素敵なことじゃない。それなのに怖がるなんて、何がそんなに怖いのさ。
なんてことを考えていた私。考えていただけかと思ったら、どうやら声に出していたみたいで、綺麗なドラゴンが大きな声で笑ったよ。
『ハハハハハッ!! 俺たちに乗れること自体が素敵なことか。そう言ってもらえると嬉しいな!!』
「うん、あたちうれちいよ! あたちをたしゅけてくれて、あたちをのしぇてとんでくりぇて、ありがちょ!!」
『なんて事はない。子供を守るのは大人の、強い者の役目だしな。巣まではすぐに着く、ゆっくり乗っていろ』
「うん!!」
そうだ、今のうちに自己紹介しとこうかな。綺麗なドラゴンの名前もまだ聞いてないし。それに巣について聞いてみよう。
「あたち、ゆい!! よろちくね!! きりぇいなどりゃごんしゃん、おねまえは!?」
あっ、ドラゴンで良いのかな? ドラゴンって言っているのは、地球の人たちだけで、実は他の呼び名があるかもしれないのに。
「えちょ、どりゃごんしゃん?」
『そうか、ユーイと言うのか!』
「ゆいよ!!」
『だからユーイだろう?』
修正がないってことは、ドラゴンであってる? それと私の名前は、伸ばすんじゃないよ。
あれかな、地球とこの世界では発音が違うとか、聞こえ方が違うとかで、そうなっちゃうのかな? まぁ、それならそれで良いんだけど。あとで修正できたら修正してもらおう。私の両親がくれた、大切な名前だからね。
「あちょでまちゃ、おちえる!」
『分かった?』
「しょれで、どりゃごんしゃんは、どりゃごんしゃんでしゅか? おなまえは!?」
『ああ、俺はドラゴンだ。人間たちはオーロラドラゴンと呼んでいるぞ。それから俺に名前はない、俺は俺だ。ただ、契約して名前を与えられる者もいる。契約は分かるか? いや、小さいからまだ分からないか。……まぁ、後で教えれば良いだろう。俺と契約してもらう時に』
「なに!? とちゅで、きこえなくなっちゃ!!」
『いや。あとで説明してやると言っただけだ!!』
そう? そうか契約か。うん、あとでしっかりと契約については聞いた方が良いね。
私が魔獣が大好きってバカ神に言ったら、たくさんの魔獣と家族になって幸せに暮らせるようにって、魔獣と契約できる力をくれたんだ。
でもその契約の仕方を聞いてなかったんだよね。これに関しては、私のミスだから、バカ神を責められない。だから教えてもらえるのなら、しっかりと勉強しないとね。
それと名前のことだけど、あれかな。名前がないっていうのは、ライトノベルや漫画と同じで、自然界の魔獣には名前がないっていうのと同じかな? それで契約する時に名前を貰って、その後は強くなるみたいな。
まぁ、私の場合は、強くなってもそのままでも、一緒に暮らせるなら何でも良いけど。ずっと一緒に仲良く暮らす、それが私の目標だから。
ただ、うん。確かドラゴンの巣には、たくさんのドラゴンがいるんだよね? そのドラゴンたちと、いっぱい話しができたら嬉しいけど。その時に誰かを呼ぶことがあったら、ちょっと困りそう。みんな相手を呼ぶ時はどうしてるのかな?
「なまえない、よぶときどしゅりゅの?」
『ああ、それはな、『おい』とか『お前』だな。あとは色や羽の模様とか、まぁいろいろだ』
それ、そのまま名前になっちゃったらどうするのさ……。でも、今までずっとそれできてるなら、大丈夫なのかな?
「しょか!! じゃあどりゃごんしゃんは、きりぇいなどりゃごんしゃんね!!」
『綺麗か。やはりお前は他の奴らとは違うな』
「ほか?」
『ただ呼ぶだけでも、変な呼び方をする奴がいるんだ、そいつらとは大違いだ』
変な呼び方? 何だろう? まぁ、良いか。もしも私が呼ぶ時は、みんなが嫌がるような呼び方を、しないように気をつければ良いし。




