60話 私たちの部屋で一緒に暮らす?
『というかなぁ、お前たち、大事なことを忘れているだろう』
みんなが何のこと? って、考え込んでるよ。私もね。大事なことって?
『普段は俺たちの出入りが激しいからな、なるべくやらないようにしているんだが。こう被害が出るようではな。一応確認してからにはなるが、おそらく許可されるだろう』
『おじちゃん、だいじなことなに?』
『わすれてることなに?』
『俺がこの部屋に結界を張ってやるから、今回の事が解決するまで、皆この部屋で暮らせば良いだろう。外に行く時も、ユイたちには必ず我々の誰かがついているからな、そっちも問題がないし。本当にまずい時は、空へ飛んで逃げれば良い』
ん? 結界?
『けっかい?』
『このおへや?』
『結界張るの?』
『ボクたち、ここで暮らす? ん?』
『はぁ、だからな、ドラゴンの俺がこの部屋に結界を張るから、お前たちはこの問題が解決するまで、ここで暮らせば良いと言っているんだ』
エルドレッドの話はこうだったよ。
この場所は、本当は結界が必要な場所。パパたちが暮らしているし、他にも守るべき人や、魔獣たちが暮らしているからね。
でもそれだと、外から中へ入るのに、なかなか中に入れなくなっちゃって大変な事になっちゃう。だってお屋敷はいつも、ドラゴンやそのパートナーの騎士たち、それから他にもたくさんの人たちが出入りしいるでしょう?
その人たちのために毎回結界を解除して、また結界を張ってってやっていたら? 1日にそれを何回やることになるか。
だからドラゴンたちは結界を張れるけど、本当に何か問題が起きた時にしか結界を張らないって。
本当はネズズの問題も、結界を張れれば半分くらいは問題が片付くはずで。一応入ってきそうな場所には、それぞれ個々に結界を張っているらしいよ。ただここはネズミと同じようなネズズ。どこからともなく入ってきちゃうみたいでさ。
だけど今回はいつものネズズたちの動きと違うし、みんなの話から人間が関わっている可能性が高い。そうなれば話しが変わってくる。
ただ今の段階では屋敷全体に、この街全体に結界を張ることはないだろう。でもそれだと、またぴんくちゃんたちが攫われるかもしれないし、もしかしたら他の魔獣たちも攫われるかもしらない。
だから魔獣小屋や魔獣に関する場所には、強力なドラゴンの結界を張って、ネズズや他の誰かからの襲撃を防ぐ。
そしてぴんくちゃんや妖精たちは、私やガオやポヨたちと一緒に守る。そのために私の部屋に結界を張れば、皆ゆっくり過ごせるだろう、だって。
エルドレッドの話に、みんながみんな顔を見合わせたよね。そして数秒後、みんなは大騒ぎ。でもこれはさっきみたいに慌てた大騒ぎじゃなくて、喜んでの大騒ぎね。
『そうだった。なんかいろいろあって忘れてたけど、ドラゴンに守ってもらえば良いんじゃん!』
『本当だよ!』
『それに僕達の結界も合わせれば最強だよね!』
『気配を消す魔法も使ってさ』
『だね! いろいろやればいろいろ完璧!!』
みんなじゃないけど私も、ああ!! ってなったよ。何でそれに気づかなかったのか。みんなに協力してもらえれば、ぴんくちゃんたちを守る事ができる! なんて言ったって、私たちのパートナーはドラゴンなんだから! ただ……。
みんなと一緒に喜んでいた私。でもある事が気になって、すぐに喜びは終わり、そしてまだまだ盛り上がりそうなみんなに話しかけたよ。
「みんな、おはなちきいちぇ!!」
『良かったねぇ! ん? ユイなに?』
『どこに逃げようかと思ってたよ! ん? どうしたの?』
すぐに私の声に気づいてくれて、私の所へ集まってきてくれたみんな。
「ようしぇいしゃんは、ひととくらしゃない。なかよちでも、かならずいえにかえりゅでちょ? むこうでは、しょだった」
そう、妖精は人間を完璧には信用しないらしんだ。だからどれだけ仲良しでも、一緒に暮らすって事はなくて。まぁ、絶対にって事はないけどね。現に何人か、人と一緒に暮らしている妖精を知っているって、お父さんドラゴンが言ってたし。
でもみんなで暮らしていた、ドラゴンの渓谷にいた妖精たちは、私と一緒に寝てくれる事はなかったかな。
だからさ、私たちの部屋で暮らせば良いって、エルドレッドは言ったけど、妖精たちはそれで良いの?
ちゃんとそのことを聞かないと。それでもしもダメなら、今だけ私が部屋を移動したり、妖精たちやぴんくちゃんたちのために、他に部屋を用意してあげたり、そうしないといけないかも。
と、いう話をみんなにしたよ。でも、そうしたら……。
『あ、そういえば』
『俺たち人間と暮らさないんだっけ』
『忘れてたよ』
『ねぇ、私も忘れてたわ』
と話し始めた妖精たち。忘れてたって、おい。




