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56話 着いたのは裏の畑

『着いたようだな』


「着いたって、ここか? 何もないぞ?」


 ぴんくちゃんの言葉を、私とアルベルトさんは分からなくても、魔獣であるエルドレッドやガオとポヨはわかるからね。ぴんくちゃんは今、『ここ!!』って鳴いたみたい。


 でも、アルベルトさんじゃないけど、ここには何もないよ? 小屋とか何か物を入れる物とか、隠れられるような大きな木もないし、なんだったら花も咲いてない。雑草は外壁のところに少し生えているけど。


「本当にここに隠れているのか? もしかして片付けちまって、隠れるところがなくなったとかか?」


『おい、本当にここが隠れる場所なのか?』


『ぽよ! ぽよよ!!』


『違うだと? お前は今、ここだと言っただろう』


 ん? ここじゃないの? どっち?


『ぽよ、ぽよよ、ぽよよよ』


 あ、そうそう、ぴんくちゃんの鳴き声だけど、変異種だからなのか、モフリモの説明で聞いた時の鳴き声と違うんだ。相棒のモフリモも違う鳴き声だって。『ぽぬ』らしいよ。ぽよにぽぬ、可愛いよね。ぽよなんてポヨと同じだし。


『は? ここはここだけど、ここから外へ出るだと?』


『ぽよぽよ!! ぽよ~ぽよ、ぽよよ』


『くさがいっぱいのところ?』


『きがいっぱい、くさがいっぱい、そういうばしょ、いっぱいあるよ?』


『ぽよ、ぽよよ、ぽよっよ、ぽよ』


『ん? した?』


『したからいくの?』


 下? ガオとポヨが下を見たから、釣られて一緒に下を見る私。するとぴんくちゃんが私の肩から降りて、そのまま外壁に近寄って行き、そしてある部分の前で止まったの。それは外壁の下にできていた、500円玉くらいの小さな穴だったよ。


『このあなからおそとにでるの?』


『ぽよ!』


『それですこしあるいたら、かくれてるばしょにつくの?』


『ぽよ!!』


 なるほど、小さなピンクちゃんと妖精たちだから、この小さな穴から外へ出られるのか。


『そうか、じゃあここから外へ出よう』


「ほら、ユイ、あまり地べたに張り付くな。いくら汚れて良い洋服だとはいえ、あまり汚すと俺が怒られるんだ」


 小さい穴だったから、ガオとポヨと一緒に、へばり着いて穴を見てたんだ。でも、大丈夫だよ。今日はいつも以上に裾の短いスカートだから。今も膝をついた状態で、スカートを踏むことはなかったし。それにね、


「だいじょぶ。きょうはよごりぇりゅ、いっておいちゃ」


「いや、言っといたつってもな、限度ってもんがあるんだよ。ほら、立った立った」


 私を抱き上げ起こしたアルベルトさん。エルドレッドはガオとポヨを咥えて、ぽぽいっと放って起こしたよ。そしてスカートを確認すれば、ほら、汚れてないじゃん。


 そのあとは私はガオに乗って、アルベルトさんは簡単に壁を乗り越えて、エルドレッドはササッと飛んで壁の向こう側へ。


 ちなみに外壁の高さは、6メートルもあるんだけどね。それを魔法と剣を使い、軽々と超えたアルベルトさん。前に見せてもらった時に、みんなできるのって聞いたら、アルベルトさんだけできるんだって。しかも子供の頃からね。


 騎士の訓練が始まると、この技を使って逃げ訓練をサボったり、ドラゴンと模擬戦をする時は、外壁の上で戦ったり。挙句ドラゴンに乗っていないのに、空中でドラゴンと戦った、なんて逸話も残っているんだよ。


 そんなアルベルトさんに、おとなしくしていろ、洋服を汚すなと言われてもね。私たちが少しバタバタするくらい、なんて事はないんじゃないかな。


「よし、で。次はどっちだ」


 私たちが出た場所は、表の方じゃなく裏手の方。するとぴんくちゃんは、されに裏の方を指刺したんだ。


「畑の方か? という事はあそこか?」


『このまま行けば、おそらくな」


 また進み始める私たち。私はガオに乗ったまま移動することに。そうしてついた場所は、畑だったよ。


 今到着した畑は、うちの畑だよ。敷地内にもあるんだけど、それだけじゃ足りないって、裏にも畑と魔獣小屋があるんだ。

 住民の畑は街の中と、街を守っている壁の周りにあり、街の壁程はないけれど、やっぱり何重もの壁で守られているんだ。


 これは魔獣たちが攻めてきた場合と、ほら、人も攻めてくる場合があるから。そんな敵に街を囲まれちゃったら? 外から物資を得ることができなくなるでしょう? だからそうなっても大丈夫なように、街の中だけで生活ができるようになっているんだ。


 それにドラゴンが、結界で街全体を囲んでくれるからさらに安全。そう簡単にドラゴンの結界を破ることはできないからね。


『ぽよ!!』


『こっち?』


『こっちは、なーのほう』


『まずいほうに、かくれてるの?』


『おいしいほうに、かくれたほうがいいよ?』


『そう、ともっこのほうがいい』


『あたらしいかくれるばしょは、ともっこにしようよ』


 ナーとは、ナスに似ている野菜だよ。ガオとポヨはナーが嫌いなんだ。トモッコはトウモロコシに似ている野菜。こっちは2人の大好物。


『ぽよ、ぽよよ~』


『そうなんだ』


『とおるだけならいいかぁ』


 今のは、ぴんくちゃんもナーが嫌い。でも通るだけだからって言ったみたい。なんだろう。魔獣はみんなナーが嫌いなのか?


 ナーがなっている中を、葉っぱをかき分け進んだ私たち。ようやく抜けると大きな木が5本生えていている前に出た。


 この辺にいるの? 全体に見渡してみる。すると右から2番目の木の根本、その部分が少しだけキラキラと光っているように見えたんだ。

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