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49話 変異種のボスネズズ、そして……

「ここには確かに奴らの気配はなしか……。おい、エルドレッド、どうだ?」


『確かにここにはいないな。いつもの場所にもいない。気配を消していれば別だが』


「奴だけは気配を消せるからな」


『本当にあの変異種は面倒だ』


「一応ガオとポヨとユイにやらせるが、3人が怪我をしないように、気をつけておいてくれ」


『分かっている』


 私とガオとポヨが、宝物探しを始めてすぐに、こそこそ話を始めたアルベルトさんと、パートナードラゴンのエルドレッド。私は近くを通ったから、ちょっとだけ話しが聞こえちゃったの。


 変異種、それは……。原因は分からないんだけど、それまで普通だった魔獣がある日突然、凶暴な魔獣に変わってしまうことがあって。

 どんな風に変わるかというと、見た目も元々持っている力も、大幅に変わるらしい。中にはまったく別の魔物みたいになってしまう魔獣も。


 そしてその変わってしまった魔獣のほとんどが凶暴のなって、人や魔獣を襲うんだって。


 例えばこの世界には、リスにそっくりなリリッスっていう魔獣がいて。とても人懐っこい魔獣だからペットとして大人気で、一緒に暮らしている人たちも多いいんだけど。


 つい最近、変異種のリリッスが出て。本来は攻撃力が弱いリリッスが、変異種になったせいで攻撃力が上がり、襲われた冒険者が、指を食いちぎられる大怪我をしたんだ。


 だから変異種が出た場合は、騎士たちや冒険者の中でも、ランクの高い冒険者が相手をして倒すことが多いの。


 こんな風に、本来の姿から変わってしまった魔獣を変異種と言って、みんな警戒しているんだよ。


 ただ、変異種の中には、優しい変異種もいるし、生まれながらの変異種の子もいるから、全員を怖がるのはね。お父さんドラゴンたちの知り合いに、そういう子がいるって、時々あってお酒を飲むんだって。今度私も合わせてもらえないかな。


 まぁ、それは今はおいておいて、問題の屋敷のボスネズズだけど、このボスネズズは襲ってくる方の変異種ね。しかも面倒なことに、他の変異種に比べて、さらに厄介なんだ。


 ただ襲ってくるだけじゃなく考えて襲ってくる、冷静で頭の回る変異種で、気配まで消すことができるの。


 だからドラゴン騎士たちが、定期的にネズズを倒してくれているんだけど。普通のネズズは倒せるものの、頭の良い変異種ボスネズズには、何度も逃げられているらしい。アルベルトさんたちでも難しいんだって。


 そんな頭の回る、アルベルトさんたちでさえ簡単に倒せない変異種のボスネズズを、私が倒せるか分からない。だけどそれでも、できる限りやるつもり。魔法だって頑張って練習してるんだから。


 でもさ、普通に考えて凄いネズズだよね。だってドラゴンからも逃げてるんだから。仲良くしてくれる変異種だったら良かったのに。


『ポヨ、なにかあった?』


『ううん、ガオは?』


『オレもない。ゆいは?』


「あたちもない」


『そっちの、かだんのほういく?』


『そだね』


「まえは、かわいいきのみ、あっちゃね」


『あれはおいしかった』


『きょうもあるかな?』


 前々回、ここへきた時は。小鳥が落としたのか魔獣が落としたのか、木の実が数個、花壇の中に落ちていて。それをみんなで分けて食べたの。とっても美味しかったよ。


『かだんをかくにん!!』


『きのみ、ありますように!!』


 3人で花壇に歩いて行く。でも……。突然花壇を目の前にして、ガオとポヨが止まったんだ。


「どちたの? かだんみないの?」


『なんか、かだんへん』


『うん、へん』


「へん?」


『うん、いつもとちがう』


『うん、ちがう』


 ガオとポヨにそう言われて、私も花壇をジッと見てみる。う~ん、何か変なところある? 私にはいつも通りの、綺麗な花壇に見えるんだけど。


「どうした?」


『何かあったのか?』


 私たちの様子に気づき、アルベルトさんとエルドレッドが私たちのところへ来たよ。


「あのね、がおとぽよが、いちゅもとちがうっちぇ」


「いつもと違う?」


『うん、いつものかだんじゃない』


『ちがうかんじ』


「エルドレッド、何か感じるか?」


 アルベルトさんの表情が変わって、エルドレッドに聞く。


『いいや、何も感じないが』


「奴の気配は?」


『まったくしない。いや、ちょっと待て、もう1度しっかりと……』


『ポヨ、かくにん!!』


『ガオ、かくにん!!』


 と、エルドレッドが、もう1度確認しようとしたら、ガオとポヨが花壇に走って行っちゃったんだよ。慌てて追いかける私。そんな私たちを、これまた慌てて追いかけて止めようとする、アルベルトさんとエルドレッド。


 でも私たちが追いつく前に、花壇に咲いている花々に顔を突っ込むガオとポヨ。しかもその瞬間、私は小石につまずいてしまい。

 転ばないように耐えようとしたんだけど、そのままの勢いでガオとポヨの間に倒れこみ、2人みたいに花々の中に顔を突っ込んじゃったんだ。


「おい!? 大丈夫か!!」


『3人とも、そこから離れろ!!』


 後ろからアルベルトさんとエルドレッドの声が聞こえる。でも……。


 転んで膝が痛いとか、肘が痛いとか、そんなことはどうでも良くなったよね。とっても可愛い子が、私たちの顔の前にいたんだから。

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