48話 庭の最大の敵ネズズ
『こっちいない、そっちいる?』
『いない、ゆいのほうは?』
「こっちもいない、だいじょぶ!」
『もういちど、においかいどく?』
『うん、けはいは?』
『けはいしらべたけど、たぶんいない。ポヨは?』
『ボクも、みつからなかった。たぶんいない。だから、においでかくにんかな』
『うん、かくにん』
何かないか探しながら、でも周りに敵がいないか、危ない物がないかも確認しながら、歩いてきた私たち。
そうして数分後、今日最初にじっくり探検する、お庭でお茶をする時に使っているガーデンテラスへ到着。これから宝物を探すんだけど、その前にいろいろ確認作業をしているところだよ。
『しっかりかくにん。じゃないとゆっくりさがせない』
『いるのはいやだ。でもいたら、ボクたちのおやつがふえるかも』
『こまるけど、いてほしいきもする』
『だけど、にげられるかも、それもダメ』
『いろいろよくて、いろいろだめ』
『こまるねぇ』
「プッ、困るねぇ、か。確かに俺たちにとっちゃ、厄介ごとにしかならない連中だが、お前ら2人にとっては、良くもあり悪くもあるからな。そりゃあ困るよな。ユイは困るだけだな」
「たいせつなちーぷ、まもりゃないとだめ」
「この前はそれのせいで、予定していたおやつが変わっちまったもんな」
「ありぇは、むねんだった」
「無念って、難しい言葉知ってるんだな」
「おはなちちてるの、きいてちゃ。みんなたたかって、しょりぇで、まけりゅとむねんっていってちゃ」
普通、2歳の子供は無念なんて言葉知らないか。でも、まぁ、ドラゴンたちが良く言っていたのは本当だし。
ドラゴンたちたちの巣で暮らしていた時、ドラゴンたちは訓練として、よく組になって戦っていたんだよ。それで負けた方のドラゴンが、無念って言っていたの。
だからこれからも、言葉のことで何か言われたら、みんなが言っていたことにしておこうと思ってるんだ。その方が楽だしね。
「それで、お前はどうだ? 奴の気配は感じるか? ……いや、さすがにお前だって無理だよな。何か見たり、奴らの痕跡……足跡とか、うんちとか、ここにいたあとは残っているか?」
「ううん、ない」
「そうか。ガオ、ポヨ、そっちはどうだ?」
『けはいない』
『においもしない』
『『だからいない』』
「そうか。じゃあ宝物探しだ。でも途中で現れるかもしれないから、気をつけるんだぞ」
私たちが今確認していたのは、とても大切なことで、庭での最大の敵に対しての行動だよ。そしてその敵とは……。
敵の名はネズズ。姿はネズミそっくりの魔獣なんだけど、その大きさが地球のネズミサイズじゃなくて、トイ・プードルの成犬くらい。なのに動きが、小さなネズミに劣らずすばしっこくて、攻撃力もなかなかなの。
そう、ネズミにそっくりと言うことは、行動もネズミにそっくりでね。食糧庫や魔獣たちの餌が置いてある小屋に入り込み、食べ物を荒らし。それだけじゃなく、その辺の物を齧りまくり、物を破壊したり、病気をばら撒いたりと。まぁ、厄介な魔獣なんだ。
しかも集団で行動するから、さらに被害が拡大しちゃってね。街の人達も魔獣たちも、このネズズにはとっても困っているんだよ。
そんなネズズが、このお屋敷にも棲みついてて。普段はどこかの穴の中で暮らしているんだけど、そこから床をかじり中へ侵入したり、そのまま普通に歩いて侵入してきたり。ついこの間も、厨房に侵入されちゃって大騒ぎになったんだ。
ほら、食べ物を荒らされるだけじゃなく、病気を撒き散らすからね。1度でも侵入されたら、全てを綺麗にしないといけないでしょう?
そのせいで、本当はその日、チーズケーキに似ているケーキが、おやつに出るはずだったんだけど。ケーキの名前はチープケーキね。私がチープを守るって言ってたやつ。チーズのことをこの世界ではチープって言うんだ。
だけどネズズのせいで、そのチープケーキは中止に。私ね、このケーキが大好きだったから、本当に悔しくて。今度会ったら、絶対に倒してやるって決めているんだよ。
でも、ネズズがいたとしても、ケーキをダメにしたネズズか分からないだろうって? ううん、ちゃんとどのネズズがやっているか分かっているんだ。
お屋敷に住み着いているネズズを率いている、ボスネズズがいて。他のネズズよりも、体がひと回り大きいの。
あの時、厨房で見たボスネズズ。あれは確かにボスネズズで、それはみんなにも確認済み。あいつ、チープケーキを食べながら、私たちの方を見て、ニヤっと笑ったんだよ。……絶対に許すまじ!!
ちなみにネズズだけど、どこの国でも害獣に指定されていて、見つけたら駆除して良いことになっているんだ。だから倒しても問題なし。というか、倒さないとどんどん増えるから、もっと困ったことなるから倒さないとダメなの。




