44話 辺境伯家に来て1ヶ月、そしてお父さんお母さんドラゴンの睨み
『いやだわ、だから髪型がこうなったのね。まったく、あなたときたら』
『すまなかった。まさかこんなことになるとは』
私たちの到着から1ヶ月ほど遅れて、お屋敷に到着したお母さんドラゴンが、私たちの姿を見て、お父さんドラゴンから説明を受けている。
そう、私たちがお屋敷に来てから、あっという間に1ヶ月が過ぎたよ。この1ヶ月いろいろなことがあったんだ。
まず、あの日のことだけど。私たちが屋敷に到着した日ね。あの日はガオとポヨのスタイル説明のあと、お父さんドラゴンとパパたちは。さらにママのお説教を受けることになり。まさかの次の日の早朝まで、お屋敷に入れなかったっていう事態になったの。
ママがお仕置きで、パパたちをお屋敷に入れなかったんじゃないよ。ママが止まらなくなっちゃってね、気づいたら0時を超えてお説教していたらしい。それでも終わらなくて、最終的には執事長のセバスチャンさんが止めに入り、ようやくお屋敷に入ったって。
私とガオとポヨは、フェリシアお姉ちゃんが準備してくれた、カッコよくて可愛い部屋で、ぐっすりだったから。そんなことになっていたなんて、全然知らなかったよ。
あっ、私たちの部屋だけど。地球の日本では、小学の入学式が近づくと、新入学生の準備と言って。テレビや雑誌でこんな部屋はどうですか、と紹介されることがよくあるでしょう? そしてそれは、小学生らしいカッコいい部屋だったり、可愛い部屋だったり。
そんな小学低学年の部屋を、全部合わせましたって感じの、カッコよくもあり可愛くもある部屋を、フェリシアお姉ちゃんは準備してくれていたんだ。だからガオもポヨも大喜びして、ずっと飛び回っちゃって大変だったよ。
まぁ、私も地球ではいろいろあって。子供の頃はそういう部屋に憧れていたから、それを見た時は嬉しくて、いい歳してはしゃいじゃったけど。今はちびっ子だし、その辺は良いってことにしてもらおう。
と、そんな素敵な部屋での生活が始まってから1週間は、お屋敷のいろいろな事を説明してもらって。そのまた1週間後、簡単に私とガオとポヨのお披露目会が開かれたの。まぁ、何か言われる前に、先手をとっておいたって感じかな。
いきなり私が現れて、ドラゴンまで街にきたら、いろいろ聞いてくる人たちも出てくるでしょう? だからね。
今まで黙っていたが、実は私は遅くに授かった子で、しばらく体調が優れず、別の地で暮らしていた。しかし元気きなり、これからはここで暮らせるようになった。
そしてドラゴンお父さんたちの方も、子供が生まれたため、勉強のために街で暮らすことになった、ってね。
そうしてお披露目会で、私たちのことが説明された後、どうなるかと思っていたら。私はその時のことを、後で知ったんだけど。挨拶の後やっぱり、たくさんの人たちが、私の周りに集まってこようとしたんだ。
でもすぐに、その人たちは慌て始めて、軽く挨拶をして解散。その後はちらほらと、パパたちの仲のいい人たちが、少しだけ話しをしにくるだけで終わって。
お披露目会の次の日からも、これといって面倒くさい接触はなく。少しは絡まれるかと身構えていたんだけど、拍子抜けするくらいで。
それで、その話しをママににしたんだ。そうしたらお披露目会の時、私の後ろでお父さんお母さんドラゴンが、みんなを威嚇していたらしい。近づいてみろ、余計なことを聞いてみろ、命はないと思え、ってくらいの勢いでね。
それでみんな、あの時急いで解散して、後になっても接触してこなかったんだよ。お父さんお母さんドラゴン、ありがとう!!
それからは、貴族の生活について勉強したり、ママとアストラナに魔法を見せたり。街の中を案内してもらったり、その時々でいろいろ教わったりしながら、毎日楽しい生活を送っているよ。
そう、魔法についてだけど、私やガオやポヨの魔法が小さくなることや、この前起きたいろいろな事については。今、ママとアストラナが調べ中。
もちろん、ママたちにもファイヤーを見せたよ。それでやっぱり、小さな火の玉ファイヤーが2つか、指先ファイヤーになっちゃってね。でも、ママたちが見ても、やっぱりファイヤーはファイヤーねって。だからとりあえずこのまま、練習することになったんだ。
魔法の先生はママかアストラナかお母さんドラゴン。厳しい時もあるけど、いつも優しく教えてくれるんだ。
あとは……。私に2種類の洋服が用意されたよ。ママとお母さんドラゴンが、急いで作ってくれたの。
いやね、パパたちの家族になって、私は貴族の子供になったわけで。貴族らしい優雅な洋服が用意されていたんだ。
でもね、私はガオとポヨと、どこだろうが走り回り、どこにでも行こうとするから。その優雅な洋服じゃね……。
だから私たちが遊ぶ時用の服として、スカートの丈を短めにし、走りやすくして。汚れにくく、しかも洗い安い洋服を、ママたちが新しく作ってくれたの。
そうして今日も、その走り回りやすい洋服を着て、ガオとポヨと遊ぶんだ。




