43話 ガオとポヨの空気を読まないスタイル解説
「まったく、一体何をしているのよ。おかしいと思った時点で、やらせるべきじゃないでしょう」
「いや、小さいながらに、確かにファイヤーは成功していたんだ。だからもう1度やれば、もしかしたら普通のファイヤーができると思ってだな」
「普通のファイヤーって言っている時点でおかしいんです!! はぁ、本当に怪我がなくて良かったわ。もしもこれで怪我でもしていたら、あなたたちをやっていたところよ。良かったわね、胴体と首がつながったままで」
ママも目がギラッ!! と光り、鋭い視線でパパたちを睨む。ママ、やるというのはアレですか? この世から消すという事ですか? あの、そこまでしなくても。今回は私もやりたくてやったんだし。
と、そのことをママに伝えたよ。『やる』ってところはオブラードに包んで。だってパパたち、今ににもママの視線だけで倒れるんじゃってほど、顔色は悪いし、脂汗が酷いんだもん。
「ユイちゃん、あなたには先に話しを聞いて、ちゃんと悪かったところは叱ったわ。だからそれについては、本当にもう良いのよ。これから本当に気をつけてくれれば」
「……あい」
「それに、本当のことを言うと、これは子供には良くあることなのよ。魔法を始めたばかりで、魔法を使いたがっていろいろやってしまうの。だから、何があるか分からないから、そこは大人たちが、ちゃんと止めないといけない。それなのに、この馬鹿どもは。止めるどころかやらせるなんて。だからママは怒っているのよ」
「……うん」
「そして怪我をしなくても、あなたたちのあの姿。ねぇ、あなたたち。あの姿を見てどう思ったのかしら? あれだけ綺麗な髪と毛をしていたのに、だいぶカットすることになってしまったのだけれど」
またママがパパたちを睨む。
「ああ、ユイの綺麗な髪の毛が。ガオとポヨももふもふな毛が……」
私の髪の毛と、ガオとポヨの毛の話しになり、ママとフェリシアお姉ちゃんが、怒ったり再び悲しみに暮れたり。うん、パパたちごめんね。話しを終わらせられなかったよ。
でもママ、さっき自分で言っていたでしょ。毛なんてすぐに伸びるって。そうだよ、すぐに伸びるよ。毛がなかなか伸びない世界でもないんだから。というか、早いくらいだよ。
だってね、私がこの世界に来て2ヶ月。実はこの世界へ来た時は、今のセミロングくらいの長さだったんだ。でもそれが2ヶ月で、腰くらいまで伸びたんだから。
それにガオとポヨ、他の毛のあるドラゴン魔獣たちも、毛の伸びが早くてね。お母さんドラゴンや、風魔法が得意なドラゴン、そしてファッションセンス抜群のドラゴンたちが、みんなの毛をカットしていたくらいだし。
「あ~、それについても、本当に悪かった。悪かったがその、ガオとポヨの毛は何だ?」
「リリアーナが焦げたところを全て取り除き、ボリュームがなくなってしまったから、毛が伸びるまで、少しでもボリュームがあるように見せるためのカットよ。リボンはユイちゃんとのお揃いよ」
ママの話をきっかけに、それまでカットのことを話したくてうずうずしていたガオとポヨが、目を輝かせながらみんなの前へ飛び出してきた。
『オレは、ゆきんこどらごん!!』
『ボクは、たぬーどらごん!!』
『『ふたりあわせて、ゆきたぬどらごん!!』』
「……」
『……』
『ポヨ、なんかびしっじゃない』
『うん。あんまりよくない? びしっじゃない』
『あとでなまえかんがえる』
『うん、そうしよう』
2人合わせてのゆきたぬドラゴンが、いまいちしっくりこなかったらしい。
『ここみて、オレのここ。ここがゆきんこの、まるいかんじにそっくり』
『ボクのは、かおのここが、たぬーにそっくりで。そのなかで1ばんは、はなのところ』
ガオとポヨがそれぞれの気に入っているところと、どうしてそこが良いのかを、みんなに説明していく。
ちなみに、ゆきんことタヌーだけど、ちゃんと魔獣にいるんだよ。ゆきんこは、地球では雪だるまでうさぎを作る事があるでしょう? その雪うさぎにそっくりの魔獣がいるんだ。
ただ、可愛い見た目とは裏腹に性格はキツくて、喧嘩を挑むのが好きらしく。暇さえあればバトルしているって。
ただ、仲良くなれば、喧嘩を売られることはなく。ゆきんこによっては、最高の相棒になってもらえるんだ。
それからタヌーは、たぬきそっくりの魔獣で、楽しい事が大好きな魔獣らしいよ。いつも宴会をしていて、そのせいでみんな1週間の半分は二日酔いらしい。
その時に出くわすと、めちゃくちゃ機嫌が悪くて、攻撃されるって。こっちのせいじゃなく、自分たちの飲み過ぎが原因なのにね。
攻撃力はなかなか。二日酔いで具合が悪くても、どんなに酔っていても、しっかり相手を攻撃。返り討ちにするって。
『それからここが……』
『あとはここが……』
ガオとポヨのスタイル解説が続く。でもママがパパたちを叱っている最中だからね。結局途中で止められて、またブーブー文句を言っていたよ。




