39話 小さな火の玉ファイヤー?
とても小さな、火の玉みたいなファイヤーが、私の手のひらの上でゆらゆら揺れている。お父さんドラゴンのファイヤーの6分の1くらい? お父さんドラゴンのファイヤーが平均サイズじゃないのは、後で知ったけどね。
みんなが私のファイヤーを、無言で見つめていて。少し離れた場所で夕ご飯を作っていたアルディスお兄ちゃんまで、いつの間にか少し驚いた顔で、こっちを見ていたよ。
そんな中、すぐに現実に戻ってきた私。あまりにも小さなファイヤーだったから、これは本当のファイヤーなのか? もしかいて溜めた魔力が少なすぎた? 魔法を使う時に魔力が安定していなくて小さくなった? それどころか別の火魔法になっちゃったとか?
なんていろいろ考えて。私はすぐ隣で、ファイヤーを見つめているお父さんドラゴンに声をかけた。
「おとうしゃ、こりぇ、ふぁいや?」
『……』
「おとうしゃ?」
『……』
「おとうしゃ!!」
大きな声でお父さんドラゴンを呼んだ私。すると黙っていたみんながハッとなって、全員が私の周りに集まってきたんだ。
「おとうしゃ、これふぁいや?」
『あ、ああ、ファイヤーだとは思うが』
「どうにも小さいな。魔力は量的にはどうなんだ?」
『ユイの魔力ならば、魔法を初めて使う子供と、同じくらいのファイヤーができるはずだ』
「そうか、しかしこれはかなり小さいぞ」
『インフェリオ、どう思う?』
『ファイヤーで間違いないだろう。だが、小ささについては、私も説明ができない。だが、初めての魔法だ。私たちが思ってもみない、初心者の何かが作用し、このような小さなファイヤーができた可能性もある』
そんな話しをするドラゴンお父さんたち。
『では、一応これは成功で良いか?』
『ああ、良いだろう。何しろこんな小さな子供が、初めて魔法を使ったのだ。それだけでも凄いのだから、小さかろうが、大きかろうが、成功で良いだろう』
みんながもう1度私のファイヤーに注目する。どうやらお父さんドラゴンたちにも、これは予想外だったみたい。私の小さな火の玉ファイヤー。でも成功で良いって言われたんだから、ここは喜んでも良いよね。
「はじめちぇ、しぇいこ? やっちゃちてもい?」
この時の私は、皆の反応が反応だったから、どうにも喜べなくてね。だから喜んで良いいのか聞くって言う、変な行動に出てしまったんだよ。
『あ、ああ、喜んで良いに決まっている!!』
「そ、そうだぞ!! これは一応成功は成功だ。だから喜んで良いんだ。悪い、俺たちが変な反応をしてしまったからな」
『うむ。ユイ、初めてで、ここまでできれば上出来だ』
そう言われて、ようやく嬉しい気持ちが大きくなった私。手にファイヤーを浮かべたまま、体は動かさず、
「やっちゃー!!」
そう声だけで喜び、私に続いて、ガオとポヨも腕を上げ、やったー!! と言ってくれようとしたの。でも、その時。
突然、私の小さな火の玉ファイヤーの隣に、ぽんっ!! ともう1つ。小さな火の玉ファイヤーが現れたんだ。本当に突然ね。私はファイヤーなんて、ひと言も言っていなかったのにだよ?
突然のことすぎて、また固まってしまった私。それは私だけじゃなく、パパたちも同じで、その場はし~んと静まりかえった。
と、異変はそれだけで終わらなかった。ファイヤーを消す時は、的として用意した、その辺に落ちていた木の板に、私がファイヤーを投げて。誰かが水魔法で、消してくれる予定だったんだけど。
私が投げる動作をしていないのに、2つの小さな火の玉ファイヤーが、横と真上に飛んじゃって。なんで!? とパニックになりそうになった私。
ただ直後、小さな火の玉ファイヤーは、すぐに消されたんだ。ヴァルガンにぃが手で掴み、握り潰したの。パシュッ!! という音がして、手の隙間から煙が上がる。そうしてにぃがでを開けば、小さな火の玉ファイヤーは、完全に消えていたよ。
「ガハハハハッ!! 本当に変わったファイヤーだな。まさかもう1つ、ファイヤーが出てくるとは。しかも飛ばそうとしていないのに、どこかへ飛んで行こうとする。やはり俺はここにいて良かったな。言っておいた通り握り潰したぞ!」
え? 本当に握りつぶした? あれは大袈裟に言っただけじゃなかったの? もうね、消してもらったのは良かったけど、いろいろと頭の中は、大変なことになっていたよ。
この出来事で、また話し合いが始まることに。何しろ何もしていないのに、もう1つファイヤーが生まれるは、勝手に飛んでいくはだからね。
でも、いくらパパたちが話し合っても、答えが出ることはなく。そこでパパたちは、もう1度、私もファイヤーを見たいと言ってきたんだ。
もし、もう1度同じことが起きたら、魔法が得意なママとアストラナに、あとのことは任せる。だがその前にもう1度だけ見ておきたいってね。
だからね、私も気になっていたし、もう1度やってみることにしたんだ。だけどこれが間違いだった。これが後の、ボロボロの私とガオとポヨに繋がるとは、この時の私たちは、思いもしていなかったんだ。




