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29話 こんな時のキノッコ大量発生と、あっさり決まった養子縁組?

『みんな、おおいそがし』


『ボクたちも、おおいそがし』


『ゆい、そっちいった!』


「う、うん!」


 なんでこんな時に。今私たちの家である洞窟では、お父さんドラゴンたちと、グレイオル様たちとの話し合いが行われている。もちろんそれは、私についてと、私とガオとポヨの関係について、それからこれからのことについてだよ。


 昨日、子供ドラゴンたちとの約束を守った、お父さんドラゴンとグレイオル様。なんとか15分以内で挨拶を終わらせてね。まぁ、最後がなんとも言えない、中途半端なぶつ切り感で終わったけど。


 それでも約束を守ってくれたということで、子供ドラゴンたちからかなり評価されて、ドラゴンお父さんたちの株が急上昇。


 挨拶が終わり、パートナー探しは次の日からということで食事会になったら。子供ドラゴンたちが、お父さんドラゴンとグレイオルさんから離れなくなっちゃって。結局私たちの話し合いは次の日に。それで今日の朝から、話し合いが始まったんだけど……。


 話し合いの前にね、難しい話しになるだろうから、私たち子供は遊んでいて良いと言われて。でも、そんな気になれるわけもなく、邪魔をしないから側に居させてもらおうと思ったんだ。


 でもその時、洞窟でキノコ魔獣のキノッコが大量発生。2歳児の手のひらサイズで、松茸みたいな匂いのするキノコ魔獣で、これがかなりの高級品らしく。ちょうど良いってことで、子供ドラゴンたちを呼んで、一緒にキノッコ狩りをすることになっちゃったんだよ。


 キノコ狩り……。キノッコはただのキノコじゃない。手足が生えていて、目つきの悪いキノコで、短い足なのに走るのが得意だから、捕まえるのが大変なの。しかも下手すると噛まれるし。まぁ、ちょっとチクッとする程度だけど。


 捕まえた後に、パシッと軽く叩くと、それだけで討伐完了。だからすばしっこいのさえ除けば、楽って言えば楽かな。


 だけど何もこんな大事な日に、大量発生しなくても良いじゃないか。話し合いが気になって、捕まえるのは中途半端になっちゃうよ。話し合い、今どうなってるかな?


『ゆい、そっち!』


『みんなではさむ!』


「う、うん!」


 とと、キノッコがこっちに。私とガオとポヨが2匹のキノッコを囲み、そして一気に飛びかる。だけどヒョイッ!! と私たちの包囲網から逃げる2匹のキノッコ。


 そんな逃げたキノッコを、アルディス様とフェリシア様が、横からパシッと叩いた。壁に飛んでいくキノッコ2匹。そうして壁に叩きつけられると、下に落ちて動かなくなったよ。


 パシッ……。フェリシア様はバシィィィッ!! って感じかな。アルディス様より強かった。けど、きっとあれだよね。こう力の加減が上手くいかなくて、強く叩いちゃったって感じ。


 だって天使以上に天使なフェリシア様だもん。キノッコ狩りをするってフェリシア様が言ったら、家族全員がフェリシア様のことを心配していて、アルディス様に、危険なことをさせない、近づけないでって言ってたし。でも、なんかこう、姿と力に違和感が。


『ざんねん』


『つぎがんばる』


「うん」


「囲んだあと、もう少し近づいてから飛びかかってみろ」


『ちかづく?』


『もすこし?』


「そうだ。今のは飛びかかるのが遠すぎて、とどく前にお前たちの間からキノッコが逃げてしまったんだ。だからもう少し近づいて、隙間をあけずに飛び掛かれば上手くいくだろう」


「大丈夫ですわ。逃げたキノッコは、私たちがやりますから」


 ん? やりますから? ちょっと気になったものの、すぐに次のキノッコがきて、私たちはそれを捕まえることに。


 アルディス様に言われたとおり、囲んだあとさっきよりも近づいてから飛びかかると、なんと全員がキノッコを捕まえることができて、3匹ゲット。


 それからも、狩っても狩っても出てくるキノッコに、洞窟の中は大盛り上がり。ガオとポヨと私も、何匹も狩ったよ。


 ただ、キノッコ狩りが始まって、1時間も経っていなかったかな。お父さんドラゴンとたちと、グレイオル様たちが私たちの所へやってきたんだ。


 ドキッとする私。どうしたの? 何かあった? 話し合いが決裂して、早く話し合いが終わっちゃった? それとも、私に何か聞きたいことがあって、それで話し合いの途中で来たとか? だって1時間だよ? こんなに早く話し合いが終わるわけないよね?


 私は狩ったキノッコをポイッとカゴの中へ放って、すぐにお父さんドラゴンたちの所へ。アルディス様とフェリシア様もこっちに。ガオとポヨはそのまま狩を続けたよ。


「父上、話し合いは終了ですか?」


「可愛いユイは、私の妹になりますか!」


 私が聞く前に、アルディス様とフェリシア様がグレイオル様に聞く。


 フェリシア様、私のことを可愛いだなんて。私はただのチンチクリンのちびっ子だよ。周りは可愛い子供ドラゴンばかり、そしてその上をいく、天使以上の天使なフェリシア様。フェリシア様、もしかして気を遣ってくれている?


「ああ、話し合いは終わりだ」


 と、そんなことを思っていると、まさかのやっぱり話し合いが終わっていたよ。


「それでどうなのですか? ユイは私たちの家族になりますの!?」


「フェリシア落ち着きなさい。まったく」


「だって、私、可愛い妹ができると思うと嬉しくて。それでそうなのですか?」


「はぁ。ユイは私たちの家族になる。養子として迎え入れることにした。それとそれに伴い、ガオとポヨ、それから親もやってくる。ただ、群れのリーダーがここを長く離れるわけにはいかないからな。セレティーと交代でこちらへ来ることになった」


 え? 養子?


「関係性について、あまりにも珍しいことで、周りに対して多少問題はあるけれど、他にこれといって問題はありませんからね。家へ来てもらって、ゆっくり過ごしてもらうことにしたは」


『さて、詳しい話しをする前に、このキノッコたちを狩ってしまおう』


 そう言って、子供ドラゴンたちが楽しむ分のキノッコ以外を、バシバシと薙ぎ払い狩っていくドラゴンお父さんたち。私も喜ぶフェリシア様と、ガオとポヨの所へ。


 ……え? 私、本当に養子になった?

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