27話 挨拶は世界共通? 愚痴の止まらない子供ドラゴンたち
『よう、久しぶりだな』
『久しぶりね』
『途中で進行方向を変えたのに、部隊はそのままオレたちの方へ向かって来たからな。何かと思って迎えに来たんだ。どうしたんだ?』
私たちの所に飛んできた、お父さんお母さんドラゴンが、簡単にみんなに挨拶をしたよ。
『ああ、久しぶりだな。いやな、途中で人間の気配に気づいて。子供たちと共にいたから何かあったのかと思い、我らだけこちらへ来たのだ。まぁ、大きな問題はないようだが……』
辺境伯一家とパートナーのドラゴンたちが、一斉にわたしの方を見てきたから、ちょっとビビッたよ。
ただ、くるりんお兄ちゃんや子供ドラゴンたちの、本当のリーダー話しと、オリヴィア様が優しく話しかけてくれたおかげで。最初のドキドキは、もう完全に止まっていたよ。
『これはどういうことなんだ? 我々が来ないうちに何があった? しかも子供たちによると、お前の子供たちとこの人間は家族だとか?』
『あー、まぁ、いろいろあったんだ』
「久しぶりだな」
『グレイオルも元気そうだな』
「なに、いつも通りだ。確かにいろいろあったようだが、何か問題が起きたわけではないのだな?」
『ああ、問題は何もない。それどころか良いことばかりだ。まぁ、その辺の詳しい話しは、向こうへ行ってから話す。それに俺たちからお前たちに、ちょっと話しがあってな。だがその前に、やることをやってしまわなければ』
「そうだな。俺も聞きたことが山程ある」
ということで、ここでの話しは終わり、私たちは広場へ行くことに。食事の場所とか、みんながいろいろ作業する場所とか、そのための広場が何個かあって。
そのうちの1つに、新しいドラゴンがここへ来た時に、みんなで巣に迎え入れるか話し合ったり、何かを決める時に集まったりと。何かを話し合う場として使われる広場があるんだ。これからみんなでそこへ向かうの。
広場へ向かっている間に、お母さんドラゴンが教えてくれたんだけど。今回来る予定だったのは、オリヴィア様とヴァルガン様だったって。大体いつも家族の中の誰か2人が、パートナー探しの騎士たちに付き添うらしい。
それで他の家族の気配を感じて、どうかしたのか? って思っていたら、進行方向が変わったて。だから急いで様子を見にきてくれたんだ。
え? てことは、当主のグレイオル様に話しをするって言っていたのに、どうするつもりだったの? と思い聞いてみたよ。だって私たちの話しをする予定だったからね。
そうしたら、話を聞いて正しく判断するのは、実質オリヴィア様だから問題ない。
最初に出した名前がグレイオル様だったから、そのまま話を進めていただけだって。
もう、そういう事は言ってもらわないと。というか、こっちもか! グレイオル様には申し訳ないけど、こっちも影の実力者は奥さんのオリヴィア様なのか。ドラゴンも人間も変わらないんだね。
それと、これから騎士たちが、自分のパートナーを探すでしょう? そのことを人は良縁の儀って言っているらしいよ。
別に名前なんかなくても良いんだけど、名前がなかった時よりも付けた後の方が、みんな真剣にパートナー探しをするようになったから、それからはその名で定着したみたい。
まぁ、ドラゴンたちの方からすれば、名前なんかで士気が上がるのはどうなのか、って感じらしいけど。
あとは、今回はいつもよりも多く、パートナー探しの人が来ていて。いつもは20人程度なんだけど、今回は31人。なかなかの実力者もいるみたい。お母さんドラゴンたちは、気配で相手の力がどれくらいか分かるんだ。
だからドラゴンたちが、自分がその人のパートナーになれたらって、そわそわしているみたいだよ。
『ママ、おなかすいた』
『ボクも』
『オレも!!』
『今日いっぱい遊んだもんね』
『そう、楽しかった?』
『うん』
『たのしかった』
『でもガオポヨママ、今から長~いお話しでしょう?』
『違うわよ、お話しじゃなくて、長~い挨拶よ』
『長い挨拶、終わるまでご飯ダメかなぁ』
『何で人間って、挨拶が長いの?』
『こんにちは、これはからパートナー探し始めます!! で良いよね』
『あーでもないこーでもない、だからして、すなわち、ってよく分かんないこと言って、ぜんぜん終わらない』
『ねえ、ガオポヨママ、どうして人間の挨拶は長いの?』
『ボクたち、あれ嫌い』
『遊べなくてダメ』
『それにご飯も遅くなっちゃう。お腹空いてるのに』
『みんな早く終わってって、何で言わないの?』
「……」
『……』
大人組が全員黙った。あれか、あれなのか? 入学式や卒業式、運動会に終業式、そういった時の、大人たちの長い挨拶のことを言っているのか? 何? もしかしてこの世界でもそうなの?
まさか異世界に来てまで、あの地獄の時間を味わわなきゃいけない? あれさぁ、本当にどうにかならないかね。今みんなが言ったくらいまで短くなくても良いけど、せめて5~10分にまとめてくれれば良いのに。
その後も、広場に着くまで、子供ドラゴンたちの愚痴は止まらなかったよ。




