19話 軌跡中の軌跡、運命の相手……って、そんなまさか!?
『さっき出会った瞬間に、自分の相手はこの人だと、直感で分かると言っただろう?』
「うん」
『そういう出会いが1番多いというだけで、その上に、本当の出会いというものがあるんだ。そうだな、簡単に言えば、運命の相手というやつだな』
「うんめ?」
直感で分かるのも、運命みたいな物じゃないの? その上って何だ?
『そう、運命の相手よ。もちろん直感で分かる相手も、とても良い関係を作れるわ。ただ一緒にいるよりも、力が強くなるし。でもね……』
直感で分かる自分の相手。その人と契約すると、お互いの力が上がるらしいんだ。魔力も上がるし、能力も上がるしって感じにね。もちろんそれは、そういう出会いじゃなく、気があって契約したパートナーたちも、ちゃんと能力は上がるんだけど。
その力の上がり方が、それぞれ違うみたい。普通の契約の2~3倍くらい、直感の相手との契約の方が、力が多く上がるんだって。
ただ、そんな2~3倍の力を得られる直感パートナーたちも、運命の相手と契約しているパートナーには、全然及ばないらしい。それのさらに何倍も力が強くなるのが、運命の相手なの。
しかもね、力が強くなるだけじゃなく、他にもいろいろあって。もちろん絆の強さが強くなるのは当たり前だけど、心がさらに深く繋がれるようになり。
直感パートナーは、相手が心で思っていることを、なんとなく理解できるけど。運命の相手同士だと、心の中でも話しができるようになるんだって。
それからパートナーの状態も分かりようになるし。もしもパートナーが、かなり遠くまで行っちゃっても、どこにいるか必ず分かるらしい。
そんな運命の相手だけど、お父さんドラゴンたちが知る限りでは、今までに2組しかいないみたいで。
それほどの運命の相手だからね、出会えることは奇跡中の奇跡で。もしもそんなパートナーが現れたら、国中、いや世界中大騒ぎのなるって。
なるほど、それは確かに運命の相手かも。すごいね。運命の相手かぁ。いいなぁ、そんな相手に出会えたら嬉しいだろうなぁ。あっ、私が嬉しいって言ったのは、力のことじゃないよ。
いや、もちろんそんなすごい力を得られたら嬉しいけど、それ以上にお互いを思い合えて、心が深く繋がれるなんて、なんかそういうの良いって思うんだ。
『こんな感じで、俺たちは様々な種族と、いつかは契約できたらと思いながら、ずっとここで暮らしていて。時々ここへやってくる騎士たちと、契約できる者は契約をし、旅立って行く。そしてどうやら俺たち家族も、今度グレイオルたちがここへ来た時、奴らの街へ行く事になりそうなんだ』
行く事になりそう? 確か辺境伯様の名前だよね? グレイオル様の街へ行くってことは、お父さんドラゴン、誰契約する人が見つかったのかな? それかお母さんドラゴンか。それでみんなで街へ行く感じ?
『何年ぶりだろう。運命の相手のパートナーが誕生しようとしているんだ』
ええ!? 奇跡中の奇跡の、運命のパートナーが!?
「うんめい、めじゅらちい。おとうしゃんどりゃごんも、2かいちかしりゃない。しゅごいね」
『そうだろう? それは誰だろ思う?』
「どりゃごんおとうしゃんか、おかあしゃん?」
今の話しの流れだと、そうなるよね。
『それはじゃ、ユーイと俺たちの息子のガオとポヨ、お前たちのことだ』
『3人が、運命のパートナーなのよ』
「……」
は? 今なんて言った? 私とガオとポヨが運命のパートナーって言った? いやまさかね、私の聞き間違いだよね。うん、もう1度聞いてみよう。
「どりゃごんおとうしゃんとおかあしゃん?」
『違うぞ、ユーイとガオとポヨだ』
「……」
『あなたたちが運命のパートナーなのよ』
「……は?」
いやいやいやいや、まさかそんな!? だって私はこの世界に来たばかりの、元地球人の、しかもちびっ子だよ!? そんな私がガオとポヨの運命のパートナー!? 何でそんなことが分かるの!?
「あたちちがう? どちてわかりゅ?」
『それはここへ来て、3人が初めて会った時の、ともだちだけど、ともだちじゃない。ともだちよりも、ともだち。ともだちいじょう、という話しと。あの時3人を包んだ光だ』
友達だけど友達じゃない、友達以上というのは、心が深く繋がったからそう感じたのだろう。おそらく大人であれば、相手が自分のパートナーだと、すぐに気づいたはずだ。運命の相手だと。
だけど私たちは子供だから、感じた気持ちの理由を、まだちゃんと分かっておらず、友達以上という表現になった。
それが私たちの心の繋がりに対する、お父さんドラゴンたちの考えだったよ。
そして光の方だけど。昔から言い伝えられていることで。性格や心、力や価値観、全てにおいて相性が良い場合のみあの光は現れ、その対象者を包み込む。しかもその時、光からは莫大な力が溢れ出すと。
実はあの時、私とガオとポヨは気づいていなかったけど、かなりの力が光から溢れていたらしい。それですぐ、みんなが気づいたんだって。これは!! って。
「ほんちょに?」
『ああ、ほぼ確定だろう。まぁ、契約しなければ、本当に運命のパートナーかは断言できないが、状況的に間違いない』




