13話 ある一家の日常(***視点)
「兄上、そろそろあれの時期ですが、準備の方は?」
「準備? 何かあったか?」
「……いつもいろいろと準備する物があると思いますが?」
「ハハハッ、兄上はいつも通りだよ。私がきちんと用意しているから問題はない!!」
「お姉様、外に箱が置いたままなのですが。あれは持っていく物ではないのですか?」
「ん? どこに置いてある箱だ?」
「訓練場の横に、いくつか箱が置いてあったのですが」
「全部しまったはずだったが?」
「はぁ、姉上。それについて一昨日、私も伝えましたが?」
「そうだったか?」
「何だ? 何の箱だ?」
「今度の良縁の義で、ドラゴンたちへの贈り物と、他にもいろいろですよ」
「ああ! もうそんな時期だったか!! 通りで最近皆ソワソワしていると思ったぞ。ガハハハハッ!!」
「……」
「しまい忘れはないはずだが」
「……」
「アルディスお兄様、やはり共に行った方が良いのでは」
「はぁ」
「あなた達、何を騒いでいるの」
「お母様」
「兄上は完全に良縁の儀を忘れていて、姉上は一昨日から贈り物と他の荷物を、外に置きっぱなしにしているんですよ」
「2人とも何をしているのですか。まったく大切な義だというのに。本当にダメなところまであの人に似て。この様子では用意した荷物も、再確認した方が良さそうですね。ヴァルガン、急いで用意を始めなさい。それとアデリーヌ、贈り物を出しっぱなしにするとは何ですか。新しい物を用意しなさい!!」
「用意か。何を用意するって?」
「カレンに新しい贈り物を頼むか?」
ヴァルガン兄上が、本当に分かっていないのか? と思われる発言をしながら。アデリーヌ姉上は、贈り物は自分で用意しなければならないのに、人に頼もうとする発言をしながら、部屋から出て行った。
「後で必ず確認しに行かないとダメね」
「お母様! 私、お願いがありますの」
兄上と姉上が出て行く時、何とも言えない表情をしていたフェリシアだったが。気持ちを切り替えたのか、表情を明るくし、元気に母上に話しかける。
「フェリシア、どうしたの?」
「アクウェルが、久しぶりに巣に行きたいと言っていて。なので、今回の良縁の義、私も付いて行って良いですか?」
「あら、そうなの? そうね、何かあっても、あなたが戦わないというのなら良いわよ」
「お母様、ありがとう!!」
「では、私も行きます」
「そうね、アルディスがいてくれると安心だわ」
「フェリシアに怪我なんてさせられませんから。というか兄上と姉上だけに、任せておけませんからね」
「どうしてあの2人は、ああなのかしら。小さい頃からずっと言い聞かせてきたはずなのに。今の時点であの人に似ていては、もう直すことは無理かしらね。もちろん国を、街を住人を守ることは、私たちにとって1番大切なことで、2人ともよくやってくれているわ。でもその他が毎回これじゃあ」
「今更無理でしょうね。ところで父上は?」
「あの子たちと同じようなものよ。余計なことをしてくれたから、それの注意がやった終わったところよ」
「それで朝からあの騒ぎですか」
「お母様、お父様とお母様は、今回も行きませんの?」
「どうかしらね。今言った通り、余計なことをしてくれたから、それの片付けが終われば行くことができるでしょうけど」
「はぁ、父上は一体何をしたんですか?」
「私が新しく設けたばかりの外の訓練場を、半分吹き飛ばしたのよ」
「ああ、それは……」
「お父様、また壊したのね」
「ええ。だからそこの修復が終わるまでは、勝手なことをさせないように、今ラナに見張らせているわ」
「私も時々しか行けなくて、アクウェルに可愛いそうな思いをさせてしまっています。お父様もお母様は、私よりも巣へ行っていないでしょう? そろそろ行かないと、彼らも寂しがるのでは?」
「そうよねぇ、どうしようかしら。あの訓練場は、どうしても早く直さないといけないのよ。今度の訓練で使う予定でいたから」
「森での訓練ではダメなのですか?」
「新人の訓練用にね」
「ああ、他の街からの。ならやはり、こちらで訓練した方が良いですね」
「仕方ないわね。私も手伝ってこようかしら。あの人には他に罰を考えるわ。そうすれば私たちも行けるでしょう」
「私も手伝いますわ!!」
「そう? それじゃあ行きましょうか」
母上とフェリシアが部屋から出ていく。私もそれに続き部屋をでると書斎へ向かい、残っていた書類に目を通し始めた。
父上や、兄上、姉上ではないが。私も良縁の儀までに、しっかり自分俺仕事を終わらせておかなければ。
もちろん今の私には、父上や母上のような決定権はない。しかし、少しでも母上の仕事を少しでも少なくできれば。母上は父上のせいでかなり苦労しているからな。
それに、後々私がいろいろと仕事を任されるようになった時のためにも、今任されているものをしっかりこなさなければ。
ただ今回は、良縁の儀がある関係で、私も準備を始めなければならない。私は本来参加するわけではないが、もしかしたらということもある。そのための準備は必要だ。
今回は何人の騎士が、契約をすることができるだろうか。最近は契約できる騎士が減ってきたせいで、まだ問題にするほどでもないが、それでも心配する者たちがで始めた、と母上がおっしゃていた。
まったく、自分たちは何もしないくせに、文句ばかりは言ってくる。前回、父上に言われたこと、注意された事を忘れたわけじゃないだろうに。しかし……。
最低でも15組は契約ができると、私たちも動きやすくなるのは確かだ。参加するのは30人。どうにか半分でいい、彼らと契約ができれば……。




