表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

海の珍味にご注意を

作者: ドンドコ丼

 いやー毎日暑い!今日は仕事も休みだ。

 というわけで来ちゃいました海水浴!ここなんと知る人ぞ知る穴場でね、人が少ないんですよー。水も綺麗だし最高だな。日焼けするも良し!海に浸かるも良し!砂浜で一人スイカ割りも良し!さあ楽しむぞー。


 波も穏やかで最高だな。でも泳ぎ疲れたな。昼飯でも食べるか。ただここ穴場過ぎて店がないんだよな。


 お?おお?あれ、海の家じゃないか?こんな所に店出して客なんか来るのかねえ。まあ何はともあれラッキーだ。


 何があるのかなー。お、丼物が中心みたいだな。でも暑いし熱々の親子丼とかはちょっとなー。そうだよ海の近くだし海鮮丼とかあるといいな。どれどれメニューは……。


 お品書き


・プテラノ丼

・ドンドコ丼

・うさぎ丼

・ポセイ丼


 なんだこのメニューは?どれもどんなものかわからんな。うさぎ丼はうさぎ肉かな。それはやめとこう。あ、でもポセイドンって確か海の神様的なアレだろ。そしたら海鮮丼はポセイド丼っぽいな。よし、これにしよう!


 お、出てくるの早いな。これは赤身と綺麗なピンク色だからネギトロかな?こっちはイカっぽいな。いただきまーす!


 うん、うまいうまい。さすが海に近いだけあって新鮮でうまいな。でもなんかこう今まで食べたことある刺身とちょっと味が違う気がするな。なんの魚なんだろ。店の人に聞いてみるか。


「すみませーん、この丼美味しかったんですけど何の刺し身なんですか?」

「ここらで捕れるヤツですよ。お口にあったなら何よりです」


 へえ、地魚の刺身ってことか。さて満腹になったしもう一泳ぎしてみるか。


 うーん、水の中気持ちいい!でも相変わらず人がいないな。さっきの店、客が俺しか来ないんじゃないか?

 それにしてもなんだか海に潜りたくなってきたな。どれ、どこまで深く潜れるか試してみるか。よーし、息を吸い込んで。


 お、どこまでもどこまでも泳げるぞ。むしろ水面に顔を出すより海の中の方が呼吸が楽だな。いや海の中で呼吸はできないぞ。あれ?なんか変だぞ。水をかいていた手が見えない。足も見えない。なんだか見え方が変だ。よし、一度陸に上がろう。泳ぎ過ぎて疲れたんだな。


 おかしいぞ。泳いでも泳いでも陸にたどり着けないし水面にも上がれない。いや何よりおかしいのはずっと海の中にいるのに苦しくないことか。


 だめだ、腹が減ってきた。一体いつまで泳いでいればいいんだ?


 ん?あれはなんだ?食べ物だ。なんだか美味しそうだぞ。ええい、食べちゃえ。ん?痛っ、なんだこれは、お?体が引き上げられてくぞ。何はともあれ陸に上がれるぞ。あれ?さっきの店の人?


 それが俺が見た最後の光景だった。


「さ、明日はお客さん来るかな」


 人の来ない海辺で気まぐれに丼を出す店主が呟いた。手には捕れたて新鮮な魚が一匹。魚に詳しい人ならそれが見たことのない新種だとわかるだろう。お客がいる限り食材は尽きることはない。なにせここは知る人ぞ知る穴場だから。

「うさぎ丼」もとい「うさぎどん」は、

「なあ、うさぎどん」

「なんじゃい、たぬきどん」

 といった昔話の敬称のような物です。食べるとうさぎになれるとかなれないとか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ