第8章「世界は“推し”に左右される」
今回の“推し召喚”はまさかの「法廷バトル」!
セレスの秘密を暴くべく名探偵(迷探偵)弁護士を召喚しちゃいました。
果たして、真実は明かされるのか――それとも黙秘の嵐…?
朝、森の中。
昨日のマザーマミー回で少し元気を取り戻した神門。
セレスのぬいぐるみを両手でむぎゅっと抱きしめて――
「……セレス、起きてる?」
【……おはよう。神門。少しは元気になったか?】
「うん。昨日、ちゃんと”ママ”とも話したし。
さぁ、セレス、私に何か言うことはない?」
【…なんの事だ?得には…ないな。】
「昨日、ママがセレスに話しかけてた。知ってる風に、それも、親しげに…どゆこと??」
【……さぁ…。】
「ぜーんぶ、説明してもらうから。推し召喚――今日はそのために使うんだから!」
【なに?”推し召喚”で、尋問する気か!】
“母からの本”を開いて、叫ぶ。
「セレスティアノーーート!いでよ、
『推理裁判~真実を暴け!~』の問詰学先生!」
――まばゆい光の中、
黒縁メガネにバシッとスーツ姿の
弁護士・問詰学が現れる。
「……やあ、召喚主くん。今日の依頼は“尋問”だね?」
「そうです!私はセレスに…色々聞きたいことがあって!」
学先生がカツン、と机(※魔法で法廷風に変化)を叩く。
「セレスティアノートさん、席についていただけますか?」
セレス(ぬいぐるみVer.)、なぜか証言台の上にチョコンと乗せられてる。
【な、おい!神門……なんだこの空気は】
「先生!!異議あり!ってやってもいいですか?」
「もちろんだ。ここは“真実”を追及する場だからね」
こうして始まる、
異世界×推し召喚による“推理裁判回”――スタート!
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「学先生!まずは、証人に質問して下さい!」
神門は立ち上がり、バン!と机を叩いて、先生の助手についた。
「セレス、あなたは……“神門の母、本好歩美”を知ってますね!?」
セレスはしばらく沈黙し―― 【……はい。】
「やっぱり!じゃあ、なぜママを知ってるか聞いて!!?」
「セレス、あなたは、なぜ”ママ”を知っているのかお答えください。」
【……黙秘。】
「黙秘!? 異議あり!なんで!?」
「黙秘権は認められています。意義を却下します。次の質問を」
怪しそうな裁判官が言っている。
「じゃ、じゃあ昨日の会話の中で、親しげに話しかけていたママ、そこを聞いて!」
「セレス、あなたは、”本好歩美”さんと親密な関係なのですか?」
【……そ、それは……黙秘だ。】
「先生!!セレスが動揺してる!
これは深堀しましょ!先生!続けてください」
「ゴホンっ。では続けて…」
「セレス…あなたは、”直接”本好歩美さんに会ったことはありますか?」
【……はい。】
「先生!!これはもう…!異議あり!!セレスを今すぐ逮捕し…」
「静粛に…神門さん、お静かに…」
「神門さん、取り乱してはだめですよ。私に任せなさい!キランっ」
「あ、はい学先生……。」
【なんだ、この茶番は…はぁ…】
「じゃあ、少し話題を変えて、
セレスさん、あなた魔王ノアは知っていますか?」
【……はい。】
「はっきり言った!異議あり!!なぜ狙うのか、教えてください!」
【……黙秘。】
「また黙秘ー!裁判長!異議ありーーー!!」
「…。次の質問どうぞ」
「じゃあ……じゃあ……なぜ私が、この世界に来たのか教えてください!」
「セレスさん、お願いします…」
【……黙秘。】
「……ここまできて全部黙秘!?」
「証人は頑なですね。質問を続けましょう」
「じゃ、じゃあ……!
ずっと気になってたんです!セレス、あなたは……ずばり、男性なんですか!?」
しばしの静寂。
セレス(ぬいぐるみVer.)、堂々と証言台で答える。
【……はい。】
「黙秘を遂に破った~~~~~!?」
その瞬間、召喚タイムリミットのベルが鳴り響く。
「本日の“推し裁判”はここまで!」
問詰学先生がパチンと指を鳴らすと、 法廷もセレスも一気に消えていった――
みかどはその場で膝から崩れ落ちる。
「……結局、大事な事は全部“黙秘”じゃん……」
「でも…セレスが男の子って分かっただけで、今日の尋問、ちょっとは進歩かな?」
【なんだそれ……。】
森の中に一人、ぼそりと呟く神門だった。
神門は「セレスの正体、ようやく一歩前進……なのかな?」と頭を抱えつつも、
“推し裁判”でヘトヘトになりながら、
次の「推し召喚」に淡い期待を抱くのでした――。
【……次からは普通に質問してくれ。法廷は二度とごめんだ……】
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
今回のオリジナル小説はこちら
【『推理裁判~真実を暴け!~』あらすじ】
より、名物弁護士・問詰学先生!
どんな事件も“問い詰めて、学ぶ”が信条の熱血(迷)弁護士。冷静かつ情熱的な尋問で、少し変わっているが真実を暴き出す…はずが、今回のセレスにはまさかの黙秘連発(笑)
でも最後に“セレス=男性”が判明したのは、地味に収穫でした!
また次回も、“推し召喚”をぜひお楽しみに!