表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第6章「旅の計画と迫り来る罠」

神門みかどはセレスと一緒にラテール村を旅立った。新たな旅に胸をふくらませるけど、

何やら怪しい影が――?


次なる冒険と、迫るトラブルの気配をお楽しみに!



ラテール村の皆と別れ、新しい一日がはじまる。


神門みかどはふわもこのセレスを抱えて、草原を歩きながら、しみじみため息。


「ねえ、セレス…。

これから私たち、どうしよう? このまま旅をすればいいの?ラテール村にずっと居た方が、安全だったんじゃないかな?」


セレス(ぬいぐるみVer.)が、のんびりしっぽを振る。


【ふむ……ラテール村は神門みかどが住んでも、村人たちはOKするだろうな。救世主の女神だもんな。(小さい少年に求婚もされてたしな)だがな、旅も良い…。この、広い異世界を、見て周りたくはないのか?神門みかどは何がしたい?

仲間を集めたりすのも、RPGっぽいぞ?】


「仲間……欲しい!この世界で“推し”以外の友達できたら、もっと面白そう!でも、この世界は危険なんだよね…」


【世界征服…とかもできるぞ? 一度は誰もが憧れる“大ボスムーブ”ってやつだな。】


「やめてー!推しのハロルド様に(勇者)に倒されるのだけは嫌!」


ふたりで他愛もない冗談を交わしながら、

“これからの人生プラン”を語り合う。


「とりあえず、地図とかないの?セレスは案内役でしょ?今日、野宿は嫌よ。とりあえず、村が街か見つけたいよね?」


【そうだな。“推し召喚”もうまく使いつつ、とりあえず、落ち着ける街でも探すか…】


セレスは魔法を使った。

セレスが光だし、目の前に”地図”らしきものがでてきた。


「地図あるんじゃない!ありがとう。セレスがいると何とかなる気がする!」


……そうやって気が緩んだ、ほんの一瞬――


バサッ!


突然、草むらの奥から大きな音が響いた。


「……今の音、何?」


セレスの耳がピクリと立つ。


神門みかど、気をつけろ。どうやら今日は“ただの旅”じゃ済まなそうだ…。】


草原に広がる緊張。

足元に魔法陣――次の瞬間、視界が真っ白になった。


――気づけば、魔王城の広間。


重厚な玉座の上から魔王ノア・ヘルシオンが、

神門みかどを冷たく睨んでいる。


魔物三兄弟も左右に並び、逃げ道をふさぐように立っていた。


「転移者か……また世界を乱しに来たのか?」


玉座から足を組んで睨みつけてくるノア。


「ノア様……こいつですか?ノア様が言ってた“転移者”って……」

三人のうちの一人が口を開く。

神門はあまりのことに、腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。


「こらこら、いきなり『こいつ』だなんて失礼だよ」


もう一人がたしなめる。


「ようこそ、魔王ノア様の城へ。

私たちはノア様の部下――

僕がザイラス。左が妹のライザ。そして口の悪い弟がガイラス。以後お見知りおきを」


「っけ。兄様、こんな女さっさと消してしまいましょ」


「そうだぜ兄貴、こいつら俺たちで片付けちまおう――」


「黙れ!」


ノアの一声に空気が凍りつく。

全員の視線が玉座に集まった。


「“選ばれし者”はこの世界に災いしかもたらさない。俺の“兄”が消えたのも、お前たち“転移者”のせいだ。お前が生きていても、良いことは一つもない――消えてもらおう」


ノアの手が魔力に包まれ、広間の空気がずしんと重くなる。


「やれ」


三兄弟が剣を抜き、同時に魔法の詠唱を始めた。


その瞬間、

セレス(ぬいぐるみVer.)が神門の腕の中で激しく震える。


神門みかど!今は逃げるぞ!】


「えっ、セレス……?」


【目を閉じろ!絶対、私に任せろ!】


「う、うん……!」


ノアたちの魔力が一気に解き放たれる――その瞬間。


セレスの体が虹色の光を放ち、みかどの周囲に転移の魔法陣が走る。


眩い光に包まれ、

二人は一瞬でその場から消え去った。


ノアの怒号が響く。


「……っ!追え!!」


「はっ!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


気づけば、見知らぬ森の中。


息を切らして倒れ込む神門みかど

セレスも力尽きたように、ふわっと腕の中で重くなる。


「セレス……大丈夫……?」


セレスはしばらく黙ったまま、

【……色々、聞きたいことがあると思うが……詳しい話は今はまだ“言えない”。すまない】

とだけ、ぽつりと答えた。


神門みかどは、

“なぜ自分がこんなに狙われるのか”

“セレスが何を隠しているのか”

ますます分からないまま、ただ震える手でセレスを抱きしめていた――。


神門は混乱したまま森の暗闇を見つめている。

昨日まで“村の女神様”なんていわれて、浮かれていたのに…急に命を狙われる立場になった。


胸がぎゅっと締めつけられ、涙が浮かぶ。


「……怖いよ……私、死んじゃうのかな……」


ぬいぐるみ姿のセレスが、そっと神門の腕の中で光を灯す。


【大丈夫だ、神門みかど

お前には“推し召喚”の力がある。

……そして、私も…。】


ふわっと温かい虹色の光が、森の静寂に溶ける。


「ありがとう……セレス……」


みかどはそのまま、セレスを抱いてしばらく森の木陰に身を寄せていた。


けれど…

夜が更け、森の奥から不穏な気配が近づいてくる。


バキッ……ザザッ……


どこからか、誰かの足音……

あるいは“ノアたちの追手”が、すぐそこまで迫っているのか。


【神門。まだ力は残っている。

今日の“推し召喚”、誰にするか決めてくれ。油断すれば、本当に……命が危ないぞ】


セレスの声は、珍しく強張っていた。


神門は涙をぬぐい、

震える手で“母からの本”を開いた。


森の奥に、ザザザッと草をかき分ける音が迫る。


【神門、来るぞ……!】 セレスが緊張した声で警告する。


「……セレス、もう決めた!」


みかどは涙目で本を開き、震える声で叫ぶ。



「セレスティアノーーート!いでよ、 『最強の魔王に転生します』の魔王・サタン!!」



まばゆい黒紫の光が森を満たし――

ドカンと現れたのは、漆黒のローブに赤い瞳、悪魔のような巨大な角を持つ“魔王”!


だが、その顔はどこか優しく、どぎまぎした雰囲気。


「え? ここどこ……? あ、僕また違う世界に召喚されちゃった感じですか……

えっと、こんにちは、山田勇気、いや……“魔王サタン”です!」


するとさっきの三兄弟が神門に追いつき、”推し召喚”された、魔王サタンを目にして絶句している…


「な、な、なんだ!? 魔王……!?」 三兄弟が驚愕して足を止める。


「……まさか、ノア様と互角の魔力だと?それじゃまるでこいつも魔王級じゃないか!?」


「誰なんだよ?お前…誰だ?!」


サタンは、首を傾げながら優しく微笑む。


「ちょっと待ってください、とりあえず、皆さんで話し合いませんか?僕は山田勇…魔王サタンと申します。本当は平和的に生きたいんです……とりあえず落ち着きましょ!ね!」


ガイラスが剣を振り上げる。

「チッ、遠慮はいらねえ!こいつもろとも“転移者”を――!」


その瞬間、サタンの魔力が森を震わせる。 巨大な黒い障壁がみかどたちを包み込み、三兄弟の攻撃を一瞬で跳ね返した。


「ごめんなさい、暴力は嫌いです。喧嘩はやめてください!」


三兄弟はしばらく圧倒されて、仕方なく退却する。


ザイラスが悔しそうに叫ぶ。

「…次はこうはいかないぞ、転移者!」


三兄弟が消えていくと、サタンはすぐに心配そうに神門みかどの方へ振り返る。


「大丈夫ですか?怖い思いをさせちゃって……」


「えっ、あ、はい……(やっぱり優しくてかっこいいー!きゃー!)魔王の、さ、サタン様ですよね……?」


セレスが呆れたように鼻を鳴らす。

【ノアと互角の魔力の者を召喚とは……。

それも魔王級…神門みかどの負担は大丈夫か。】


神門はサタンの優しさに安心して、ドキワクしながら、色々話そうとしたが…

サタン級の魔力が森を静かに包み込む。

神門は、安堵と疲労が一気に押し寄せ、

その場にふらりと膝をついた。


神門みかどさん!? だ、大丈夫ですか?」


サタンがすぐさま駆け寄り、

神門の小さな体をそっと支える。


「なんだか……体が……重い……」


“魔王級”の召喚は、神門の身体と心に強い負担を与えていた。


「無理は禁物です。…すみません、僕のせいで……」


サタンは迷わずみかどを優しく抱き上げ、

森の木陰の草の上に座ると、

自分の膝の上にそっと頭をのせた。


「少しでも休んで下さい。……しばらくは、僕が守ります。」


神門の頬に涙の跡が残る。

サタンは不器用に、

でもとても大切そうに、

神門の髪をなでてくれた。


――夜がふけていく中、

セレス(ぬいぐるみVer.)はそっとサタンの隣にちょこんと座った。


【……“推し召喚”の力を使いこなすには、まだ体が慣れていないようだ…。お前のような、魔力が桁外れな者を召喚するとな…】


サタンは困ったように笑って、

「そうみたいですね……でも、神門さんはとても勇敢ですね。力を使うことを恐れていない。知らない異世界で、さぞかし、不安でいっぱいか。僕にはよくわかります…。」


セレスはじっとサタンを見上げる。


神門みかどはただの転移者じゃない。……本当のことは、まだ言えないが…。サタン…君も、巻き込んですまない】


サタンは静かに首を振る。


「大丈夫じゃないですけど、大丈夫ですよ!僕は神門さんとどこか似ています。転生と転移は、全然違いますが…僕たちは何らかの世界に選ばれたんです。だから、きっと世界から認められて、いつか、幸せな道に進めると……僕はそう思います」


ぬいぐるみのセレスが、

ちょこんと羽を広げて言う。


【こっちの世界の魔王も、お前みたいな“魔王”なら神門が不安にならなくて済むんだがな……】


「ふふ、こちらの魔王様にも会ってみたかったですね。」


【もしかしたら、会えるかもな…また、神門が危ない時は、召喚されてやってくれ。】


サタンは少し照れくさそうに微笑んだ。


「はい。よろこんで!」


そして夜明け前の森。

サタンの膝の上で静かに眠るみかどの寝顔を、二人はずっと、優しく見守っていた。






ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


今回は、まさかの“魔王級推し召喚”――

まさかの推しに“ひざまくら”まで。


魔王のチカラはすごかったけど、その分、みかどの身体にはやっぱり負担も……。


今回のオリジナル物語はこちら。

【『最強の魔王に転生します』あらすじ】

元・大学生の山田勇気さんが、交通事故をきっかけに異世界で“最強の魔王サタン”に転生。

外見は圧倒的な魔王だが、心は超平和主義の草食系男子。

圧倒的な魔力と鉄壁の防御で世界最強だが、日常ではどこか天然&お人好し。

推し召喚したら、全力で守ってくれる優しい魔王!


三兄弟とのバトルも迫力満点でしたが、

サタンの魔力で“守られる側”になった神門ちゃん。


セレスとサタンも仲良くなりそうな…個人的にお気に入りです!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ