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夏のホラー参加作品

闇の中の煌めき


あぁ、やっと帰って来た。


小さくだけど青い惑星、母なる惑星地球が見える。


私は40年前地球から海王星に向けて飛び立った。


海王星に向かうのに約10年、海王星を周回して観測に費やしたのが約5年、海王星から地球に向けて帰還の旅に費やしたのが約25年。


やっとやっと帰って来れた。


青い惑星地球の姿か少しずつ大きくなって行く。


暗い闇の中に瞬く星々とも、もう直ぐお別れだ。


月に建設された月面基地から「おかえりなさい」と通信が入る。


今は太陽に遮られて見えない位置にある、火星や木星の幾つかの衛星にも基地が建設されていた。


建設に必要なデータは私と同じようにたった1人で地球を離れ、各惑星や衛星を観測して来たアストロノーツにより得られた物。


此の宇宙船に貯えられた膨大な海王星のデータも数十年後かもっと後になるか私には知りようがないが、何時の日か生かされ、何時の日か海王星に基地が建設されるのだろう。


宇宙空間から地球の青い海に向けて着陸態勢に入る。


自動的にブレーキが掛かり海に着水した。


『あ?』着水したのだが、浮き袋が作動せず海の中に沈んで行く。


遭難信号を発信。


着水予定だった海域に急行中の船舶から「もう少しで到着する、ガンバレ」と通信が入る。


私を乗せた宇宙船は深い深い海の底に向けて沈んで行く。


今のところ水圧で潰されてはいないが時間の問題だろう。


暗い宇宙の闇の中から明るい地球の海に帰って来れたのに、今宇宙船の観測窓から見えるのは、暗い海の底の闇と闇の中で瞬く深海生物の仄かな煌めきだった。






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