第五十四話 魔王軍
「まさか、援軍って」
「我々魔王軍ですよ」
そして城の中にガーゴイルをはじめとした魔物が入ってくる。
やはり他の兵士たちはユウナが考えている通り、魔物の処理に時間がかかっているのだ。
「なら私達だけで戦わなきゃならないわけね」
そうユウナは行ったが、剣聖はロランの相手で精いっぱいだし、ロティルニアとミコトがいるとはいえ、この戦力でゲルドグリスティと戦わなくてはならない。その負担ははるかなものだ。
ゲルドグリスティはユウナに炎の球を投げる。ユウナはそれを火の玉で当てて相殺させる。すると今度は「ふむ」と言って、今度はロティルニアに攻撃を当てようとする。
「今度はそっちか!!」
そう言ったユウナはその攻撃を火の玉で打ち消そうとする。
「その隙を狙ってました」
ゲルドグリスティの放った雷がユウナの背中に当たる。
「仲間などお荷物ですよ!」
その言葉通り、ミコトに対して数発雷が落ちる。
「え? え?」
動揺するミコト。それに対して、ユウナは炎を放ち雷を消し去る。だが、そのすきを突かれ、ユウナの背中に勢いよく炎の球が直撃する。
「うぅ」
ユウナはその場に倒れる。
「貴方の弱点なんてすぐに分かりますよ。ざまあみなさい!!」
「っくそ!」
ロティルニアを庇いながらではまともには戦えない。
せめて、何か手があれば。
「ユウナちゃん、私だって戦える!」
そう言ったロティルニアは、そのままゲルドグリスティに向かって走り出す。
「危険だよ!」
ユウナは叫ぶ。
「その通りですよ。わたくしみたいな魔法メインには近接戦が大事だと思ったのでしょうか、それはただの無謀ですよ」
ロティルニアのもとに魔法が数発落ちていく、その攻撃を避けるロティルニア。
だが、近くに言った瞬間に、ゲルドグリスティは、魔物を自分のもとに引き寄せた。
「魔物の存在。忘れていたでしょう? そりゃあそうだよねえ、こちらから隠してたんだから」
「っ」
「やらせない!」
その時、ミコトの手から魔法が飛んでいき、魔物を数体倒す。
「ミコト! よし私も」
ユウナも同じく、魔物に対して攻撃を当てまくる。
「なるほど、援護ですか……ですが、それは強者をサポートするから成り立つのです」
ゲルドグリスティはロティルニアの目の前に来る。ミコトはそれを見て、パフ魔法をかける……が、
「実力が足りませんよ」
そしてゲルドグリスティは姫の首をがしっとつかんだ。反応できる前に。
「雑魚はいくらサポートしても雑魚なのですよ。……死になさい」
そしてゲルドグリスティは魔法を手に持ち、姫に当てる。その時姫は目をつぶった。だが、次の瞬間失われたのはゲルドグリスティの腕だった。
「っ何だあ?」
「この俺を置いて、調子乗ってるんじゃねえよ」
そこにいたのはアーノルドだった。
「はあ、待たせたな。ミアの他にもたくさん助けてた。ロラン……てめえかなり悪さしてた見てえじゃねえか」
アーノルドは明らかな怒りの感情を見せる。このまますべてを壊しそうな危なさがある怒りだ。
だが、ユウナが真に注目してたのはその隣にいた人物だった。
そう、ウェルツだ。
「ウェルツさん……」
「ああ、待たせたな」
そしてウェルツにユウナは抱きつく。だが、それはロランの言葉で妨げられる。
「ああ? アーノルド当たり前だろ。俺はただ、力が欲しいだけだ。それよりお前こそ、国境の見張りをしてたんじゃねえのか?」
その言葉で今は戦闘中だと、ユウナは思い出した。
「魔物の動きがおかしかった。だから急いで戻ってきた。それだけだ」
「っははは、相変わらず勘が良すぎる。さっさとこの二人を始末してお前のもとに行くから、少し待ってろ」
「待たん。さっさとこいつを殺して、お前のとこに行ってやるさ」
そしてすぐさま走り、ゲルドグリスティの首を取りに行く。
「ほほほほ、私を片手間に殺す気ですか? なめないでくださいよ」
そして、ゲルドグリスティは、岩爆弾をアーノルドに向けて放つ。
「同じ手は喰らわんさ」
アーノルドは剣で岩を斬るとすぐに横に避けた。実のところ爆発の範囲とスピードはそこまでは高くない。
前回は兵士が沢山いたから被害が出たが、少人数での戦いなら避ければ被害などでない。
「ですが、空を飛んでいる相手にはどうでしょうか。今のあなたには飛ぶ力はない!」
「無い? あるだろ」
アーノルドは上を指さす。そこには空を飛んでいるユウナがいた。
「私を忘れないで」
ユウナは炎の魔法をゲルドグリスティにぶつける。それと同時に岩を動かし、アーノルドを空に上げた。
「そして!」
ユウナは一気にゲルドグリスティに向かって飛び、炎の剣で、斬りかかる。
「へえ、魔導士だと思ったら、剣も使えるのですか。ほほほ、面白い!」
ゲルドグリスティはユウナの剣を自身の剣で受ける。
「剣が使えるのが自分だけだと思ったら大違いですよお!」
剣がぶつかり合う。
「剣なら俺が一番だ」
アーノルドの剣もゲルドグリスティにぶつかる。
「二対一ですか。不利な状況ですが、ガーゴイル! 邪魔をしてやりなさい」
羽付きの魔物が複数体向かってくる。
「こいつら」
アーノルドに群がり、行動を邪魔する。アーノルドは必死で切り裂いていっているが、なかなか数が減らない。その間、ユウナがゲルドグリスティと斬り合うが、魔法の腕でも剣の腕でもゲルドグリスティの方が上手で、剣がなかなか通らなかった。しかもユウナはウェルツの乗り物となっている岩も動かさなければならない。その負担はユウナの動きを鈍らせる。
これだったら魔法で戦えばよかったかなと思うくらいだ。
ユウナはふと、向こうを見る。剣聖とミアは今苦戦状態みたいだ。
困った。ユウナは本当にそう思った。
さっさとここを倒さなきゃならないのに。
(そうだ!)
ユウナは魔法でガーゴイルを消し炭にする。自分が剣をふるうよりもヘルプに入ってアーノルドをサポートした方ががいい。
「助かったぜ!」
そしてゲルドグリスティに修羅のごとく剣をふるうアーノルド。その剣のスピードでゲルドグリスティを翻弄していく。
その間アーノルドに向かってくる魔物は皆ユウナが焼き尽くしていく。
「小癪なああ。ロラン貴様何を苦戦しているうう」
「馬鹿言うなって、こっちだって大変なんだ」
「ぬおおおおおお!!!」
「死ね!」
アーノルドはゲルドグリスティの首を取った。
「なんてね」
その声が聞こえた。すると、ゲルドグリスティの体がすぐさま膨れ、爆発した。
「ぐああ」
「きゃああ」
その爆発の影響でアーノルド、ユウナの両名はその場に倒れた。




