第五十三話 援軍
だが、ロランはその上を言っていた。ロランはすぐさまユウナを蹴り落とし、剣聖の剣を自身の剣で振り落とした。
「まさかこの俺がこいつの始末に時間がかかってるとても思ってるのか? 心外だなあ。俺は最強なんだよ!!!」
そしてロランの手により空中に大きな火の玉が出来上がる。
「さあ、死ねよ。ハールンクライン!!」
その球が地面に落ち切る前にユウナがとっさに作った火の玉と相殺された。
「私を……雑魚扱いしないでよ」
「はは、悪い。雑魚ではないな。ただの戦力外だ!!」
すぐさまロランは地面に降り、ユウナを斬ろうとする。だが、それは剣聖の手によって止められる。
「はは、お前が相手という事か?」
「そうだ!」
「ははは、ところで、君たちに残念なお知らせだ。こちらには沢山の兵がいる。さあ、これを食い止められるのかな?」
そしてロランが指をぱちんと鳴らすと、たくさんの剣士がユウナ達に向かって歩いてきた。
「ユウナちゃん!!」
ロティルニアが必死に一人ずつ斬るが、その兵の数にロティルニアの手が追い付かなくなる。
「おいおい、姫というのは足手纏いになるのが常なんだがな」
「いや、そうだとは思わないわ」
そしてロティルニアは必死で斬りまくる。
「捕まってたくせになあ」
「あれは仕方がないでしょ?」
ロティルニアは捕らえられたその日、地下に向かった。
ウェルツ、そしてミアに会うために。
そこには、ウェルツがいた。ウェルツが両手両足を縛られて、地面に転がっていた。
体は傷だらけで、見るも無残枡形だった。何があったと言いたいところだったが、それを押し殺して、自分の目的を伝える。
「私にも、完成体になる方法がありますか?」
ロティルニアには先程のユウナの圧倒的な姿は、目に焼き付き、嫉妬の対象となった。
あんな力があれば、自分だって。
国を守れるのに。
「……王女様だな」
「ええ」
「言っておくが、そんな素敵なものではない。ただの時限爆弾だ。あれは最終的には精神のコントロール権を別の人格に渡す必要がある。そんなもの、使うわけには行かない」
「……」
「だから……忘れろ。君は、まっとうな方法で強くなるんだ。完成体なんてリスキーな方法じゃなくてな」
「……うん」
ロティルニアは少しがっかりとする。
「それにな、素質がある人なんてほぼ少数だし、もし素質があったとしても、完成体になるには、辛い毎日が待っている。絶望こそが、完成体になるためのトリガーなんだから」
「……」
ロティルニアには何も言えばい。お気楽なように見えるユウナも、絶望を味わっていたのかなと、少し思った。
そして、ロティルニアはついでにという事で、ミアのところにも行った。
ミアは、今、どんな感じでいるのだろうか。
完成体の一人であるミアは。
そこに行くと、ミアのいる牢の前に一人の男がいた。
ロランだ。
「なんで貴方がここにいるんですか?」
「そりゃ、もちろん軍の隊長として、この牢の残場を見るためにな」
「……」
やっぱりこの男……
「このことは看守長の許可をもらってるのですか?」
「ああ、しっかりともらってるぜ」
そう言ったのは、看守長であり、ウェルツをこの牢に連れてきた まさにタント・ハーティその人だ。
「分かりました」
そう言ってロティルニアは上に上がろうとする。何しろ、ロランがいるということを剣聖が知っているかどうか確かめたかったからだ。
「……ま……待つの……です」
そう、ミアは言った。
「この、ロランという男は、完成体の力を調べ、国を取るつもりらしいのです。そのために魔王軍と協力しているらしいのです」
そう、ミアが力なき声で言う。
それはまさにロティルニアに助けを求める声だった。
ロティルニアはすぐさま上に走ろうとした。だが、その瞬間目の前に来たのは、看守長だった。
「ロラン様」
「ああ、仕方がない。捕える。そして、彼女を人質として、国を奪いに行く」
そう、ロランは覚悟を決めた。本格的に国を取る覚悟を。
その傍ら、ミアは、自分のせいでロティルニアが捕えられてしまったと罪悪感を感じるのであった。
戦闘過熱していき、ロティルニアの体力はどんどんと尽きていく。
「ふふふ、まだ援護はこない」
「いや、来るはず」
そしてその瞬間、ロティルニアの前にいた兵士の首が蹴られ、そのまま倒れた。
「私が来たのです!」
そしてロティルニアと兵士たちの間にニアが入り込み、全力を込めた一撃で兵士たちをぶっ飛ばす。
それを見てユウナはミア強い……と、思った。
「お前は牢に投獄してたはずだろ。っち面倒になった。ハイトはやられたのか、一体誰に。だが、お前たちに俺が倒せないという事実は変わらない。ハールンクライン一人倒したら何とかなるからな」
そしてロランは本気の目をして剣聖を斬りにかかる。剣聖は何とかそれを受けるが、勢いが強い。
「お前が俺に勝てたことはなかったよな?」
「そうだな。だが、今日は私が勝つ時だ」
そしてその頃、ユウナはニアの出現に驚いている。
「助けに来てくれたの?」
そう呟くユウナ。それに対してニアは「あの時は敵同士だっただけなのです。今は味方同士だから守りあうのは当然なのです」と返す。
「味方なの?」
「あくまで、状況的になのです。いつかあなたは組織に連れて帰るのですからね」
「わかった。その時は抵抗するよ」
それに嬉しくなったユウナは「じゃあまずは、私もミアちゃんを助けるために頑張るね」と言って援護の魔法を繰り出す。
その戦いは過熱していく。できれば早く剣聖の助けに入りたい。そう思っているユウナだが、中々敵の数が減らない。
「……おかしい」
ユウナはそう呟く。誰もかれも来ていない。何しろ、ロランの反乱軍と、国の兵士とでは明らかに後者の方が多い。ならもうだれか来ているはずだ。
それに、アーノルドがどこにいるのかも気になる。
「もしかして他にも敵軍がいる?」
そうユウナがつぶやいた瞬間、声が聞こえた。
「正解です。そういう事ですねえ」
ゲルドグリスティが窓の外にいた。




