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完成体少女  作者: 有原優


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第四十四話 帰宅

 そして私たちは馬車に乗り、町へと戻る。


「ねえ、お姉ちゃん。私ね……」


 その中で、ミコトが組織で行われたことを説明してくれた。主に私が受けたものと同じだが、少し違うのは、アメと鞭という事だ。ミコトが拷問された後にミドレムが例の優男風の面で心配して優しくしてくれるのだそうだ。ミコトは全然ミドレムにはなつかなかったが。


 やはり恐ろしいやつだ。拷問による恐怖ではなく、洗脳による恭順を選ばせるとは。

 しかも、懐いていたら絶望させることは簡単だ。敢えて不在のふりをするだとか、裏切り行為をするとか。

 そんな話をしていると、あっという間に町に着いた。


 町に着き、早速したのは町の医者に怪我人を運ぶことだ。意識が残っているウェルツユウナアトランタミコトの四人も体力がぎりぎりだし、倒れている人はもっとだ。


 そして病院で、とりあえず瀕死の人達を預けた。ミコトも念のため病院に入れた。


「……大丈夫でありますように」

「大丈夫だ。この人たちは強い。そう簡単にくたばらんさ」



 そしてミコトを連れてギルドへと向かおうとしたところ……アトランタが


「ギルドの依頼なんだから俺はいらねえだろ。俺は国の方に報告してくる」


 と言って気を失ってるミアを連れて国の首都へと向かおうとした。それを見て、


「何をしてるの!?」


 ユウナがアトランタへ掴み掛かった。


「そりゃあ連れていくだろ。こいつは俺たちに重傷を負わせたんだ。洗脳されてるから許されるわけじゃない」

「……でも」

「お前の気持ちも分かっている。手荒にはしない」

「約束だよ」

「おう」


 そしてアトランタと別れ、その足でギルドへと向かった。成功報告をするために。


 そして受付の人に報告をした。


 そんな中二人で話し合った。

 勿論あのことだ。


「ユウナ」

「うん」


 ユウナにとってもうウェルツが何を話すかどうかはわかっていた。もちろん完成体どうこうの事だろう。


「お前の存在が国にばれてしまった」

「うん」

「ここからどうなるかはわからないが、国を信用することもできる。俺が思っていることが嘘かもしれない、俺だって洗脳されているかもしれないしな。だからこれを決めるのはお前だ。国を信用するのか、それとも国の申し出を断るか」

「私は……」


 難しい問題だ。これの答えは誰でも出てこないだろう。だが、一つ、アトランタさんが何を言うかによるということだ。アトランタ、強いては国がどう判断するのか。今のところアトランタにはついてこいなんて言われてない、そこをどうとるか。


「アトランタさんがどういってくるのかで決める」

「わかった」


 そしてそのままギルドへと向かった。


「依頼終わりました」

「あれ、二人ですか?」

「うん!」


 ユウナが元気よく答えた。


「詳しくは国の方から伝えられると思いますが、他の人たちはけがをして、アトランタさんは国の方に知らせに行きました。それで依頼の方ですが、完成体と言う存在がいて、その拳によってやられかけました」

「そうですか」

「大変でした」



 そんなこんなで報告を終えた二人は宿へと戻った。戻った頃には日はもう落ちていた。

 そして宿に戻ってすぐに部屋に篭った。


「疲れたね」

「そうだな」

「寝たい」

「ご飯があるからなあ。寝れないぞ」

「まあご飯も食べたいしね。ご飯上等だよ!」

「それなんだ?」

「喧嘩上等だー! のご飯バージョン」

「それそもそも知らないんだが」


 そんな話をしながらベッドで眠りについた。


「ご飯だよ」


 そんな二人の部屋でメリーがそう呼ぶ。ご飯が出来たことを知らせにきたのだ。


「……」


 だが、二人とも寝てた。メリーはため息をついて、


「ご飯だよ!」


 と、布団を外す。


「ん? あと五分」


 ユウナはそんな異世界での朝のお約束みたいな事を言って再び寝転がる。


「もう! 私の仕事増やさないでよ!」


 メリーはユウナを無理矢理起こそうとする。そんなメリーを目が覚めていたウェルツも起こす。


「疲れてるならご飯は食べるべきだ」


 そのウェルツの声によってユウナは寝る事を諦めた。そして、


「いこー!」


 ユウナは元気よく駆け出して行った。


「元気だね」

「元気というかあれは……まあ今日は色々あったしな」

「そうなの?」

「ああ、洗脳されてた子どもがいたんだ。だから今も本当なら疲れてるはずなんだ心身両方でな」

「そうなんだ……」

「暗い話だったな。忘れてくれ」


 そう言ってウェルツはユウナを追いかけて行った。




「美味しい!!!!」


 ユウナはご飯をパクパク食べる。


「お代わり!」


 そのスピードはウェルツの食べるスピードの二倍、いや三倍ほどであった。


「どんだけお腹減ってたんだよ。お前は」

「だって!! 疲れたんだもん。魔法もたくさん使ったし」

「……そうだな」


 ウェルツは実際魔力切れの辛さはわかっている。実験の一環として魔力をギリギリまで使わせるという実験をしたことがあるからだ。

 それはユウナと出会った直後かそれくらいであっただろう、子どもに魔法を使わせ、魔法が出なくなった子どもに剣を向け、魔法をつかれるようになったら使えと言ったことがある。その時の絶望した顔は覚えている。今もひっかりと。結局彼女は目と口から血を流して死んでしまったが、今回のユウナもそのリスクがあった。

 そう考えたら恐ろしいことだ。



「何? ウェルツさんなんでこんなに見てるの?」

「いや、俺たち生きてて良かったなって。特にユウナが」

「なに? ロリコン?」

「違うわ!」


 そしてウェルツはおかわりを取りに行った。



 その頃



「お前がミアか……」


 男がミアに話しかける。


「何? なんなのですか?」


 ミアは足枷で足を手枷で手を後ろ手に縛られてる。そのほかに鎖で体をぐるぐる巻きにされている。


「お前に聞きたいことがあるんだ。完成体……ミア。お雨は元々ハーグス家の血族だったな」

「そうなのですか?」

「それすら知らなかったのか。まあいい、今聞きたいのは、お前は俺の手先となる気はないか?」

「は?」

「君たち完成体は恐ろしい成長速度と聞いている。そんなものが俺の手先となったら俺はこの国を取れる」

「……」

「だから頼む」

「……嫌なのです」


 その瞬間ミアの顔に拳が飛んできた。


「……痛いのです」

「命令するのはこっちなんだ。お前は従うしかない」

「……従うかどうかは私が決めることなのです……」

「うるさい! なあ、大人しく従っておけよ。国をとったらお前を権力者にしてやるよ」

「権力なんていらないのです」



 ミアにとって一番は組織。だが、これはウェルツが見せた資料でだいぶわからなくなってる。そして二番はみんなを助けること。彼女は魔王を倒して英雄になる。その時まで死なないと同様に、自分の心情に合わないことはしたくないのだ。



「そうか……ならいい。そこで頭を冷やしとけ」


 そしてミアは冷たい牢獄の中に一人閉じ込められた。


「くそ。この拘束具さえなければ出れるのに。出せなのです!」


 だが、その声はただ虚しく響き渡るだけだった。


 そして彼女は拘束具を取れるように力を込めるが、力を入れにくい形に拘束されているため、全く力が入らない。そんな中、彼女の中に絶望という2文字がしめるようになった。


 そして、大人しく眠るのであった。





「ねえ、ウェルツさん」

「なんだ?」

「大人しくミアを手渡して良かったのかなあ? 今なんかされてないかな……」

「まあ、お前の言いたいことはわかる。だけど、あの状況だしな」

「うん」

「それよりもだ。明日あいつらが来るかもしれねえ。準備しとけよ」

「わかった」


 この場合の準備は、いざとなれば戦う覚悟と言うことだ。以前ウェルツは国のことを信用していないのだ。


「じゃあ、もう寝よう!」

「そうだな」


 そして二人は眠りについた。

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