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完成体少女  作者: 有原優


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第四十話 ミア2


「っくそ」

「まずはあなたから殺すのです」


 ミアはアトランタの方へと少しずつ歩いてゆく。少しずつ、こぶしに力を込めながら。


「ファイヤー!!! ブレイズ!!」


 そんな中、ミアに向けて炎が発射される。ミアはそれをよけるが、くるりと返ってきてミアに当たる。


「なるほど、面白のです」


 そこまでダメージを受けていなさそうな様相のミアは、ユウナの方へと向きを変え、


「魔導士がいるのですか。魔導士からつぶすのは定石……あなたから先に倒すのです!!!」


 ミアはユウナの方へ駆けていき、こぶしをふるおうとする。


「え?」


 ユウナは反応が取れた時にはもう目の前にあった。


(まずい)


だが、もう時遅し、避けることが出来ない位置だ。


「死ぬのです!!」


 ユウナは自分の運命を悟って目をつぶった。だが、その拳が振るわれることはなかった。ウェルツがぎりぎりでその拳を剣で止めたのだ。


「っわ、あぶなー。ありがとうウェルツさん」

「これを止めるのですか。やるのです。でも、私には絶対に勝てないのですよ!!!」


 と、ミアがさらに強い力で剣を押し、ウェルツを弾き飛ばし、ウェルツはそのまま壁にたたきつけられた。


「ウェルツさん!!!」

「もうこれで君を守る人はいないのですよ。さあ死ぬのです!!!」


 今度こそと言う感じで拳がユウナへと向かってゆく。だが、まだ距離がある。

 先ほどとは違い対処は簡単だ。


「ば、バリアーーー!!」


 硬い壁を作り出し、そのバリアーがミアの攻撃を紙一重で防いだ。そして、


「フレイムメルバースト!!!」


 炎を直撃させた。そしてミアはそれにより吹き飛ばされる。そしてしばらくミアは「あつっ」「あっついのです」などと言ったが、すぐに立ち直り、「さあ、行くのです」と言ってもう一回ユウナの方に向かおうとした。


 だが、それはかなわなかった。それはすぐにアトランタによる攻撃を食らったからだ。ミアはそれを受けて


「お前が来るのですか……邪魔なのです!!!」


 と言い放ち、そのまま戦いが始まった。アトランタは丁寧に一撃ずつ剣で丁寧にいなしていく。そんな中、ユウナも魔法を放ち、ミアに地道にダメージを与えていく。


「うざいのです!」


 と、ミアはユウナの方へとターゲットを変えようとするが、八人かかりでその攻撃を防いでいく。


「まずいのです。これでは。だめなのです。私はあなた達を倒さなくてはならないのです!」


 そして、その攻撃は一人の男に当たった。その男は過去に組織討伐の際に活躍をした、ヘルマと言う男だ。彼はその攻撃によって血を吐きながら壁にたたきつけられる。一発食らっただけでこのような強い男が吹き飛ばされる。いかにも恐ろしい拳だ。


「さあ、次々倒していくのです! 覚悟しなさいなのです!」


 そして有言実行で一人ずつ弾き飛ばしていく。そして、ついにターゲットを完全にユウナに変え、ユウナの方へ走りゆき、こぶしを飛ばす。


 そしてそのままユウナは壁にたたきつけられ、ほんの僅かな隙を狙い、こぶしが突き出される。そしてユウナの髪の毛がちらっと当たる。だが、ユウナが首をぎりぎりで右に動かしたおかげで、直撃は避けられた。


「あなた。私と同じ匂いがするのです。あなたは私と同じ完成体?」

「……」


 やはり自分の正体がばれてしまった。だが、同じと言うことは完成体と言う事なのか……

 ユウナは疑問に思った。自分より強いという事は、それこそ、覚醒の段階が進んでいる恐れがある。

 という事はそれなりに拷問されてきたはずだ。なのに、彼女は自分の意思で組織に与しているのだ。


「あなたは完全体なの?」

「ええ、そうなのです。あなたこそなぜ完成体なのに、組織をつぶそうとしてるのですか?」

「私は、組織のことが嫌い!! だから今ここにいるの」

「そうなのですか。完成体と言うことはあなたもその力を組織から受けたはずでしょう。なぜ! なぜ! 組織にその大恩を返さないのですか? 私はそれが許せないのです!!」

「私は……組織から虐待みたいな処置を受けました。それはあなたも一緒で支所?」

「確かに私も完成体になるために、地獄のような訓練を受けました。でもそれは全て! 強くなるためなのです。何も恨みに思う理由なんてないのです!」


 そしてミアはこぶしを引き抜き、ユウナに向けて拳を振り上げる。


(なぜ、同じ完成体なのに!!!)


「さあ! 完成体の恥さらし! 死ぬのです!!!!」


 ミアのこぶしに対し、ユウナはバリアを張るが、バリアがバリバリ割れていく。ミアの拳が強く、その場しのぎにしかならない。


「うう」


 ユウナが死を覚悟したその時、ミアの体に剣が振り落とされた。ミアは即座にユウナの体にではなく、アトランタの剣を受け止めるためにその拳を使った。


「大丈夫か!!!」


 アトランタはユウナに向けて叫ぶ。


「うん!」

「これは時間をかけすぎてしまったのかもしれないのです。それよりあなた毎度毎度邪魔をして! 許さないのです!」


 と、アトランタにターゲットを変え、攻撃を開始していく。


「それよりだ! 完成体って、剣聖様が言ってたやつかあ?」

「剣聖って誰なのです!」

「ここにいるという情報はなかったが。はは、完成体と言うのも慣れれば大したことはないなあ」

「うるさいのです!!!」


 アトランタはミアのことを煽っていく。そのたびミアの動きは直線状になり、アトランタはさらによけやすくなる。


「無知なあなたに教えてあげるのです! 完成体と言うのはのちに生まれる魔王に対抗するため組織によって生み出された存在なのです。それはい鳥生み出すのに五〇〇〇人の犠牲が必要な。そう言わば私たち完成体は選ばれし存在なのです。それを……大したことがないというのは許さないのです!!!!」


 だが、さらに単調的になっていくミアの攻撃はアトランタにあっさりと見極められ、その攻撃は受けられる。それに、さらに、ミアの身に襲い掛かるものがもう一つある。それは体力切れだ。体力が切れてしまってはどうしようもない。


「あなただけでも倒すのです!!!!!」


 そしてミアは攻撃をさらに加速させていく。その時、


「ミア。冷静になりなさい」


 遠くから声がした。それは低く、なおかつ聞き取りやすい声だった。

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