第103話 迷宮
そしてユウナはどんどんと歩いていく。
勿論向かう先は、竜の住処。
地図を見て淡々と進んでいく。
「進むの早いのです」
その後ろをミアが続いていた。
今回はミアとユウナの二人度だ。
ミアも過去に完成体に不完全ながら覚醒したことがある。
その際に、ミアの完成体としての姿を見ている。
本当はミコトもつれていきたかったのだが、彼女は熱におかされた。
体調が悪くなっていたのだ。
そんなミコトが長旅に耐えられるわけがなく、断念した。
そのまま歩く事暫く、何もない荒野が続いていく。
その間に、景色らしい景色はなく、ただ、同じ景色が続くだけだ。
安見を挟みながら三日歩いていくが、旅の終着点は一向に見えてこない。
「うへえ、いつ着くのですか」
ミアが泣き言を漏らす。
「そこまでの距離はないはず」
「でももう、かなりの距離歩いてきたのです。途中魔物との戦闘もないですし、色々とおかしいのです」
ミアは次々に不満を告げていく。
「魔王が滅んだから、そこまで魔物は強くないみたいだね」
その時だった。古びた遺跡を発見した。
「ここ?」
ユウナは呟く。如何にもな遺跡だ。
ここを抜けた先に、竜の住処があるのだろうか。
「ここみたい、なのです」
「行くよ」
「行くのです」
そう言ってユウナとミアは遺跡の中へと入っていく。
遺跡の仲は暗く、松明の灯が必要なほどだった。
その中に、ある光が見えた。
そこは魔法陣が描かれており、そこから光が放たれている。
「ここにはいればいいのかな?」
「そう、思うのですけど」
「じゃ、入ってみよー」
ユウナは元気よく言う。
「ちょ、なんでそんなに前向きなのですか」
「いいじゃん。入ってみない事には何も変わらないんだし」
『私もそう思うよー』
「ユウリちゃんの許可も出た。じゃあ、入るよ」
「まっ待ってほしいのです」
そして嫌がるミアを連れ、強引に魔法陣の中にユウナは入っていく。
その中、向かう先は、洞穴の中だった。
「ここは……?」
「魔物なのです。叩き潰すのです」
そう言ってミアは出て着た魔物に一直線に向かっていく。
そして一瞬でそれは叩き潰された。
「ミアちゃん、相変わらず容赦ないね」
「これくらい普通なのです。進んでいくのです」
ミアは心強い存在だ。
そう、ユウナは思った。
『私もいるよー』
寂しくなったのか、脳内でユウリが出て来る。
『厳しくなったら、私が戦うよー』
「ユウリちゃん、戦いたいの?」
『そりゃ戦いたいよー』
そのユウリの言葉を聞き、ユウナはユウリに体を貸す。
「よし、頑張るぞー」
そう言ってユウリは極大の魔法をとにかく放っていく。
その状態での敵の魔物はというと、壊滅した。
文字の如く壊滅していった。
あと型もなく。
その光景を見てしまったら、魔物が可愛そうに思えるのだ。
(そう言えば、この魔物達はなんでここにいるんだろう)
ユウナの至極まっとうな疑問だ。
魔物達は、魔王の消滅により狂暴性が無くなり、また弱くなり、ほとんど人前に姿を現さなくなった。
それなのに、なぜここに出てきているのだろうか。
ここは、挑戦者を試す物ではないか、とユウナは思う。
罠にしては、おかしい。通り道にしても魔物が健在でちゃんと強いのもおかしい。
となれば、この道の先に太古の竜がいるはずだ。
『すごい』
もはや行く手を阻むものは何もない。あったとしてもそれが全て破壊されていくのだ。
そして、ついに、
その最深部へとたどり着いた。
『ここさえ乗り越えればいいんだよね」
ユウナが言う。
「さっさと倒すのです」
そこにいるのは、ゴーレムだ。まるで守護神のように、そこを守っている。
「ココハトオサナイ」
ゴーレムが片言口調で言う。
そして早速、こぶしをこつんと振り下ろしてきた。
その拳を二人は避ける。しかし、地面が揺れ、割れていく。
「こんなの、ありなのです??」
「こんなのってないよー」
二人はそう言って落ちていく。
ここが最深部のはずなのに。
そこには、水があった。
それも温もった水だ。
「暖かいのです」
『これって温泉ってやつじゃない?』
「そんなのあるのー?」
「それにしては熱すぎるのです」
ゴーレムは再び足を動かす。そして拳を振り下ろそうとする。
「させ、ないのです」
それを防ぐのは、ミアだ。
全身の筋力を使い、振り下ろされる拳を受ける。
『流石ミアちゃん』
ユウナは拍手をする。
『これは、あまり落ち過ぎたらこちらが不利になるからね。あのゴーレムは熱を感じないけど、私達は感じるからさ』
「そうなんだー」
そして、ユウリは上を見る。
「結構深くまで来たねー、ならこれはどうかなー?」
上に向けて岩弾を勢い良く飛ばす。
その岩はある程度まで行ったところで、一気に下へと落ちていく。
重力がかかり、威力が上がっている。
「くらえー」
ユウリのその言葉通りに、岩はゴーレムの頭にごつんと当たった。
「殺す気なのですか?」
その岩を間一髪でよけたユウリが突っかかる。
「えー、いいじゃないー。だってー」
「だってじゃないのです」
『ユウリちゃん、ちゃんとミアを気づつけないようにお願いね』
「分かっているのですー」
そう、唇を尖らせるユウリ。今度は地面を蹴り、勢い良く飛び跳ねる。
「もっと火力を上げるのに必要な事はねー、上から放つことー。幸い、壁を蹴れるからねー」
壁を蹴ってどんどんと上へと上がっていく。
そして、穴の上までたどり着き、その上から多数の魔法を繰り出していく。それらすべては勢いよく重力の加護を受け、ゴーレムに向かっていく。
「あなたはねー、硬いだけー。それくらいなら何とか出来るから―」
その勢いよく降り注ぐ魔法の禍根にゴーレムの体はどんどんと、崩壊していく。
「おわりだよー」
最後に、ユウリ自ら勢いよく飛び込んでくる。
拳を突き立てて。
その拳が崩壊直前のゴーレムの核に当たり、
ゴーレムは正真正銘消滅した。
「弱かったー」
「だから、私も殺すつもりなのですか?」
「別にいいでしょー」
「良くないのです」
「あ」
そうユウリがそう言って、ユウナに体の主有権を戻した。
「逃げた」
それに対し、ユウナはそう呟いた。




