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完成体少女  作者: 有原優


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第100話 褒賞式

 


 それから数日がたった。

 そして早速褒章式がやってきた。


 魔王討伐の貢献者に褒章が与えられるのだ。

 一番の立役者はユウナだ。


 ユウナに一番の褒章が与えられることになる。


 とはいえ、正式には一番の立役者はユウリなのだが。



『今日はユウリちゃんに体を任せるね』


 式の前にユウナが笑顔で言う。


「どうして?」

「決まってるじゃん。一番の功労者だもん」


 ユウナはそう言って笑う。

 ユウリは「仕方ないねー」と言って頷く。

 その顔は満更でも無さそうだ。


「というわけでウェルツさん、私はしばらくいないからよろしく」


 その言葉に合わせてユウリがウェルツにそう告げる。


「さてと、私は色々と見てくるね!!」


 そしてユウナは地面を蹴って空を飛ぶ。


「あー、いい眺め」


 そして空中から地面をじっと眺める。


「特等席で見れるの幸せ」



 そう、ユウナは呟きながら空から見下ろす。


「今のお前はユウリなんだよな」

「そうだよー」


 そう言って笑うユウリ。


「この前までは引っ込んでたけどー今は私が主役なんだからー、覚悟していてねー」

「なあ、疑問だけど」

「なにー」

「いつまでそのしゃべり方を続けるんだ?」


 その言葉にユウリは押し黙る。


「俺だってわかってるんだ。それがキャラ付けだって」

「そんなこと、ないよー」


 あくまで強情に違うと言い張るユウリ。


「私はただ、ゆるふわと生きていきたいだけ」


 今度はまじめな口調でそう言い放った。


 そして早速褒章式が始まった。

 ユウリは前に出る。そこには既に数名の人がいる。

 その際善にいるのはロティルニアだ。


 実は前日に、ロティルニアが褒章を渡す係になることが決まっていたのだ。

 理由はいたってシンプルだ。

 そう、ロティルニアが「私が褒章渡したい!!」と言い張っていたのだ。

 それに大人たちは頷き、今回この流れで褒章を渡すことが決定したのだ。


 とはいえ、渡す相手はユウナだけではなく、ユウリなのだが。


 魔王を討伐したという事で、大勢の人たちが詰めかけている。

 魔王が討伐されてからまた1週間と断っていないが、既に魔物の数は劇的に減った。


 残った魔物も狂暴ではなく、さらに強さも大したことも無いという事で、人の手で管理がしやすくなったのだ。つまり共存だ。


 このことに歓喜したのは、勿論の事大勢の人達だ。


 更に副作用がもう一つ。組織が解体されたのだ。

 首謀者ルイスが捕らえられたのだ。

 正確に言えば、魔王との戦いでダメージを負っているルイスをだが。


 勿論の事、重罪に処されることはほぼ確定事項だ。


 魔王討伐に協力してくれた、という点とギルドの長として国に貢献したことを鑑みて、多少罪は軽くなる。

しかし、それでも魔王復活や過去の様々な罪を考えると、そこまでの減罪は認められないのだ。


 そして、今。功労者に褒賞が渡されんとしている。

 まずは当然ユウリだ。


「ユウナよ」いつものおっとりとした声ではなく、しっかりと発声していく。そこには王女の品格が確かに感じ取られた。


「此度の魔王討伐御見事であった。そなたのおかげで沢山の命が救われたこと、この国の王女として誠に感謝します」


 そう言ってロティルニアは静かに頭を下げた。


『おお、やるじゃん』


 ユウナは上空からそう静かに呟いた。


『さって、ユウリちゃんはどういう感じでこれを聞いているのかな』


 そう言ってユウナはユウリの元へと急下降していく。

 そこにはしっかりとユウリの姿があった。


『さてさて」


 そこには貴人のような振る舞いで頭を下げるユウリがいた。



 そして、続いてミアも表彰を貰った。


「ありがたく頂戴します」


 ミアもまた、いつものなのです口調は封印して、毅然とした態度で受け取る。


 続いてウェルツ、剣聖、アーノルドと続いていく。


 皆褒章を受け取り、頭を下げ、戻っていく。

 そしてユウナは一気にビュンと、飛んでいき、イスの方に向かう。


『どう? 気分は』


 ユウナはユウリに静かに訊く。


「まあまあだねー」


 ユウリはそう返答する。

 その言葉を聞き、満足げにユウナは頷いた。




 そして成功ののちに褒章式が終わる。そして、ユウナはユウリの許可を貰い、自身の体に入った。


『それで、これからどうするのー?』


 ユウリが訊く。それを聞き、ユウリが「うーん」と考え込む。

 ここから先のプランはほとんどない。


「とりあえず楽しみたいけど、何をしたらいいのか分からないんだよね」


 そう、ユウナは呟く。実際手にはたくさんのおかねがある。全て褒章としてもらったものだ。

 これだけで、人生五周くらい心配なく暮らせるレベルのおかねだ。


『じゃあ、私がそのお金を代わりに使ってもいいー?」

「別に構わないよ。だって使い道ないもん」



そしてユウリは大通りに向かって歩き出す。


「ユウナ」

「ユウナちゃん」


 ミアとウェルツが手を振る。

 ミコトもそのそばにいる。


「お疲れ」


 ユウナは三人に向けてそう言った。


「お姉ちゃんも」

「私は疲れてないよ。だって、ほとんどユウリちゃんが出てたんだから」

『そうよー、もっとねぎらうべきだよー』


 ユウナの言葉にユウリもうなずく。とは言っても、ほとんど座っていただけのはずだが。


「とりあえず、みんなお疲れだな。とりあえず俺が近くに店を取ってある、行くか?」

「うん! 行きたい!!」


 ユウナはすぐに自分の気持ちを口にした。


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