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7/? 1階フロアボス撃破

「はい楽勝。すまんね、こちとら急いでるんで」


 1階のボス、メガ盛りホイップスライムは呆気なく死んだ。まあ、死んでもボス部屋を出れば復活するので幾らでも再戦できるんだけど。そうじゃないと他の冒険者パーティーも誰かがボスを倒したら階段登り放題になっちゃうから仕方がないね。寄生プレイやハイエナ行為はご法度なのだという強い意志を塔の設計者から感じる。


 俺はメガ盛りホイップスライムがドロップした特別なコイン、ボスメダルを指先でクルクル弄びながら剣を収めた。RTA走者的にはこのまま2階に突撃したいところだが、初のボス戦クリアということもあって、一休みしたい心境でもある。まだまだ体力に余裕はあるが、浮足立って調子に乗ると碌なことがないんだよな、俺の人生的に。


「うーん、どないしよ?」


 行くか。慎重なのは悪いことじゃないが、時には大胆に攻めチャーに踏み切る勇気を持つのもタイムを縮めるためのコツだ。幸いレベル13になった黒騎士(デストレーサー)はバグの恩恵により3階ボスまでは脳死で突き進んでも問題なく勝てる。幸い使えば塔の入り口まで一気にワープすることができる脱出アイテム『助かっ茶』も持っているため、いざとなればそれで引き返せば済むだろう。


「そんじゃ、ちょっと通りますよっと」


 1階のボスであるメガ盛りホイップスライムが塞いでいた扉を開け、2階へ続く階段を上る。ちなみに各階のボスがドロップするボスメダルは塔の入り口にある転送端末に使用すると、この階段の前に一気にワープできるお助け便利アイテムだ。こういうところだけゲームチックなのは助かるねほんと。


 本来であれば、メガ盛りホイップスライムは物理攻撃がほとんど通じず魔法でなんとかしなければならない強敵であり、ここまで物理でゴリ押ししてきたプレイヤーに属性魔法で弱点を突くことの大事さを教えるためのチュートリアルボスなのだが、デストレがジョブレベル1で覚えるアクティブスキル『黒の一撃』は使用するとHPを削る代わりにその戦闘中、通常攻撃に攻撃力の50%で計算する闇属性魔法攻撃が追撃として加わる効果を持つ。後はお分かりですね? そう、物理主体の前衛でありながら魔法攻撃もできるのだ。デストレーサーがソロ攻略向けのジョブと言われる所以である。


「わー、分かっちゃいたけど非常識」


 デザーの塔2階。1階はいかにも迷宮といった感じの石造りの迷宮ダンジョンだったが、2階はなんと森だった。凄いよね、建物の中なのにジメジメ鬱陶しいジャングルのような鬱蒼と生い茂った樹木と植物が道を塞いでいるんだもん。


 デザーの塔には窓がない。故に光源がどこから来ているのかも謎である。この塔は外部からの一切の干渉ができないのが特徴だ。かつては国王軍が飛行船を使って空から攻略しようと試みた事例もあったらしいのだが、どれだけ攻撃してもその外壁には傷ひとつ付かず、屋上から乗り込もうにも天辺はツルツルだったらしい。ありったけの爆薬を爆発させても全くの無傷だったと。塔に挑む者の間では有名な逸話だ。誰がいつ、どうやって建てたのかも一切謎に包まれた神秘的な大迷宮。何故なら作者の人、そこまで考えてないから! だからこその理不尽。だからこその神秘。


「なんというか、精神的に辛い!」


 ジャングルの敵は猛獣型、鳥型、そして昆虫型の魔物が主流となる。虫、苦手なんだよね俺。得意な成人も少ないだろうけど。しかも魔物だからデカいんだ。虫嫌いには辛いものがあるって。1匹だけでも気持ち悪いのに、それが2匹3匹と集団で現れた日には、HPよりもメンタルに大ダメージだ。


「うん、決めた! 2階だけはさっさと走り抜けちゃお!」


 本当に怖いのは毒でも麻痺毒でもない。見た目だ! ほんと、勘弁してください!

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