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6.神と神様

「ついたよ!」

その声と同時に俺は目を開き、上を見たと同時に目を疑った。俺はまだ足をぶらんとさせていたが、俺と彼女の目線の先には限りなく小さな穴らしきものがあった。

「これ……どう考えても通れないぞ?」

「ここが魂の裁判所の入り口。契約が必要なのはそれが理由。さっき私の輪っかを分けたのは、天使はある程度見た目を変化させられるっていう特性があるから。今のアブソリュートくんの魂は、記憶や人格を維持させるために殆ど死ぬ前と変わらない形をしているの。普通、魂はそれらの情報が全て浄化されてここを通るものだから」

「だから今の見た目が自分からも""から見た時も同じだったのか」

「うん、維持するの大変なんだから! あとはそのリングを通じて私に取り込まれることができれば、あとは私が抜けられる」

ここまで俺の記憶や人格を維持する必要があるのはなぜなのか。俺のあの人生が生きる時が来るのだろうか。だが今は彼女を信じて突き進むしかない。そう俺は思うことにした。

「じゃあ取り込むよ、はじめてはすっごく苦しいはずだから準備して!」

「了解」

そういって俺は激痛に襲われたがゆえに発狂しながらも彼女の指輪へと取り込まれたそうだ。どうやら痛みが強すぎて失神したらしい。

「……起きて、起きて、アブソリュートくん」

「ん……」

俺は目を覚ました。が、周りを見渡せば見渡すほど理解に苦しんだ。この法廷、普通じゃない。真っ白な雲の上に、私を囲むように裁判官席が置かれていた。そこに座っているのはただならぬ雰囲気を醸し出す者たち。俺たちの真正面の豪勢な席は、なぜかぽっかりと空いている。一体彼等は……?

「やっと覚めたのね、もう裁判始まってるよ! みなさまお待たせしました。隣の彼がアブソリュート・レイニンで、私があの事件の日に獄界送りにされた、"アイラ"です」

裁判官席から少し遠くに、それもまた裁判官席を取り囲むように置かれた傍聴席。そこを埋める聴衆や裁判官らはざわめき始める。アイラは有名人なのか? そう思っていると、ある男の裁判官が口を開いた瞬間、そのざわめきは瞬時にして静寂へと変わった。

「元四天使のアイラ……か。神に近づきすぎたがゆえに消された"筈"の天使……。今度は世界を壊す気にでもなった……か? 隣の魂……。頑なにパートナーを作らなかっ……た、お前が……か」

「色々と裏をかいてみました。あとパートナーがどうとかって話は裁判と関係ないのでやめてください。恥ずかしいので……」

「……どういうことだ? アイラってそんなに凄い天使なのか?」

「私を差別してくる神が大嫌いだったから、神様の守護天使の最高峰、四天使にまで成り上がっただけだよ。でもやっぱり神に作られた身、神は越えられなかった」

「やはり、さっきはスルーされたけど、神と神様、区別して呼称するのには理由が?」

「……それは」

とアイラがいいかけたとき、俺の頭の中に男性か女性かわからない、中性的な者の声が響いた。

「神様はシステムであり、自由意志はありません」

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