4.例の少年
「私の探しているとある男の子はね、すっごく素直で優しくて、昔から私と仲良くしてくれてたんだ。私って、家柄的にあまり天界ではいい立場じゃなくてね。それでも、家柄なんて関係ないって言ってくれて」
「俺が言うのもなんだけど、いい方ですね」
「うん、そうなの。そのこともあってか、彼は私にとって、大切な数少ない友達の一人だったの。だけど、地界が何日も大嵐に見舞われたとき、『あいつらの怠慢がみんなを苦しめている』といってしびれを切らして、天候担当の神々のところへ行っちゃったんだ」
「その男の子が……か」
「うん。気になって見に行ったら、案の定言い合いをしてて。この件とは別に、その神々へ憤りを感じていた友達のドルスト君も参戦しちゃって大変なことになったんだ」
「……えっと、とりあえずドルストってのは神様で、もう一人の男の子は?」
「正確には龍の神とかいて龍神さん……かな! もう一人の男の子は私と同じく天使だよ!」
龍神とお友達のこの天使さん、一体何者なのだろう。そんな疑問と共に、
「そ、そっか、ゼルビメットさんはすごい方なんですね」
と独りでに言葉が出た。それを聞いた彼女は、ニコッとかわいげに笑った。