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羽
からすと過ごす夜は、
ひとつの夢を二人で編むような時間へと変わっていった。
誰も訪れない古い温室の中、
ひび割れた硝子越しに月明かりが降り注ぐ。
私たちはその光を浴びながら、
まるで羽を透かし合うように、互いの影を重ねた。
「ふくろう、聞こえる?」
からすは囁く。
静かな夜気の奥から、
見たこともない旋律が立ちのぼってくる。
それは風でもなく、虫の声でもなく、
ただ二人の沈黙が奏でる調べだった。
その調べに導かれるように、私たちは踊った。
足音は落ち葉をかすめ、
羽音は宙にひそやかに響いた。
世界が音もなく回転し、
教室の白い光も、昼のざわめきも、
遠い夢のかけらに変わっていった。
「鳥は檻に戻らない」
からすは微笑んで、そう言った。
その言葉は誓いのように私の胸に刻まれ、
私は答えの代わりに、彼女の唇にそっと羽を触れさせた。
その瞬間、夜はただの夜ではなくなった。
空は深い海となり、
私たちはふたつの星となって漂った。
愛は言葉を超えて、
夢と現の境界をあざやかに溶かしていった。




