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夜と昼
夜と昼
からすと過ごす日々は、
夜の森をさまようような時間だった。
昼の世界では、私はただの少女であり、
教室の片隅で、窓の外の空を眺めるだけの存在だった。
けれど夜になると、ふくろうとしての私が羽ばたく。
からすと共に、名を持たぬ街路を歩き、
声を潜めて秘密を分かち合った。
彼女はときおり、何かを隠すように黙り込む。
笑みの奥に、暗い影を抱えているのを感じた。
それでも私は、問いかけることができなかった。
ただ寄り添い、羽音を重ねることしかできなかった。
「ねえ、ふくろう」
からすは夜空を仰ぎながら言った。
「鳥は空を飛べるのに、どうして檻に戻るんだろう」
その問いは、彼女自身の心の叫びのように思えた。
私は答えられず、ただ彼女の手を強く握った。
世界は少しずつ揺らぎ、
昼と夜の境界は曖昧になっていった。
私が生きているのは、果たしてどちらの世界なのだろう。
教室の白い蛍光灯の下か。
それとも、からすの瞳に映る暗い月か。
十八歳の私は、答えを持たないまま、
ただ羽音に導かれて飛び続けていた。




