1/3
???神??殿?
神殿は紅に染められていた。
焔は舐めるように白一色の清らかな建物を包み込み、煤と灰に還していく。
クスクスと、少年とも少女ともつかない妖しげな笑い声が残響を残す。
「ねぇ、にいさま……シンお兄さま」
「なんだい、エラ……可愛いエラ」
「もうあたしたちしかいませんわね……」
「そうだね、エラ……ぼくたちだけだ」
「みんなみんな、灰になってしまいました……」
「そうだね、ぼくたちが……燃やしてしまった」
クスクス。クスクス。
「ゆきましょうか、にいさま……」
「そうだね、エラ……」
華奢な人影が、神殿の焔の中に揺らめいた。
鏡に手を添えて、その密やかな影は笑う。
「あら。見ているのは、だぁれ」